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水素化カルシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
水素化カルシウム
識別情報
CAS登録番号 7789-78-8 チェック
PubChem 105052
ChemSpider 94784 チェック
EC番号 232-189-2
特性
化学式 CaH2
モル質量 42.094 g/mol
外観 灰色粉末 (純粋なものは無色)
密度 1.70 g/cm3, 固体
融点

816 °C

への溶解度 激しく反応
溶解度 アルコールと反応
構造
結晶構造 斜方晶系
空間群 Pnma, No. 62
危険性
Hフレーズ H260
EU分類 強い可燃性(F)
EU Index 001-004-00-5
Rフレーズ R15
Sフレーズ (S2), S7/8, S24/25, S43
関連する物質
その他の陽イオン 水素化ナトリウム,
水素化カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

水素化カルシウム(すいそかカルシウム、Calcium hydride)は、化学式CaH2で表されるカルシウム水素化物である。カルシウムヒドリド、カルシウムハイドライド、略してカルハイとも呼ばれる。純粋な物は白色だが、通常は灰色の粉末。と激しく反応して水素ガスを放出することから、有機合成において乾燥剤として用いられる。

水素化カルシウムはヒドリドであり、塩化鉛(II)と同様の結晶構造を持つ[1]アルカリ金属アルカリ土類金属はみなヒドリド塩を形成するが、それらと同様、反応しない有機溶媒に対しては不溶でもある。

乾燥剤としての利用

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水素化カルシウムはと以下のように反応する。

生じた水素(気体)と水酸化カルシウム固体)は蒸留濾過デカンテーションによって容易に除くことができる。

水素化カルシウムは比較的マイルドな乾燥剤なので、金属ナトリウムナトリウムカリウム合金に比べて安全である。アミン類やピリジンのような塩基性の溶媒の乾燥に広く用いられている[2]。より反応性の高い乾燥剤を使う前のプレ乾燥にも用いられる。

欠点

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水素化カルシウムは確かに便利であり頻繁に使用される乾燥剤であるが、いくつかの欠点がある。

  • (反応しない)有機溶媒には不溶のため、エーテル系溶媒に可溶な水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などと比べて乾燥速度が遅い。
  • 水素化カルシウムと水酸化カルシウムは見た目でほとんど区別が付かないので、水素化カルシウムの試料の質が視覚的に判断できない。
  • 水素化カルシウムは溶媒中に溶解した酸素を除くことはできないので、溶媒の脱気には使えない(cf. ナトリウムベンゾフェノンを用いた方法)。

脚注

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  1. ^ Wells, A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry, Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-855370-6.
  2. ^ Gawley, R. E.; Davis, A. "Calcium Hydride" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York. doi:10.1002/047084289X.rc005.