千のナイフ
『千のナイフ』 | ||||
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坂本龍一 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
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ジャンル | ||||
レーベル | 日本コロムビア/Better Days | |||
プロデュース | 坂本龍一 | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
坂本龍一 アルバム 年表 | ||||
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『千のナイフ』(せんのナイフ、Thousand Knives)は、1978年10月25日に日本コロムビアから発売された坂本龍一の1作目のオリジナルアルバム及び楽曲。タイトルはベルギーの詩人アンリ・ミショーがメスカリン体験を記述した書物『みじめな奇蹟』冒頭の一節より。
制作
[編集]担当ディレクターによるとレコーディングは、日本コロムビアの第4スタジオで延べ339時間を費やした[1]。当時の坂本は、昼間にスタジオ・ミュージシャンをこなし、夜12時から朝までこのアルバムを作成。何か月もかかったが、寝なくても平気だったと回想している[2]。
コンピュータ・オペレーターは松武秀樹が担当。その他ギターで渡辺香津美、カスタネットで山下達郎が参加。初回プレスはわずか500枚だった[3]。売上は200枚で、残りの200枚は返品された[1]。16分音符の「ハネ方」を数学的に計算した痕跡が残っている[4]。
プロモーション
[編集]本作発売に伴い、1978年10月25・26日に東京・六本木のピットインで「千のナイフ発売記念ライヴ[5]」が開催された。
パッケージ、アートワーク
[編集]初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。
- そして今、
- すべては透明になった。
- 滅亡の時を前にして。
- 現在最も進んだセッションプレイヤー、
- アレンジャーとして活躍する鬼才
- 坂本龍一が、11台のシンセサイザーと
- コンピューターを駆使して織りなす壮大な
- リューイチ・サウンド。今ここにベールをぬぐ。
ジャケット写真のスタイリストは後に坂本と共にYMOのメンバーとなる高橋幸宏が担当。長髪にヒゲ[6]にTシャツという、ファッションとは無縁な風貌だった坂本に、ジョルジオ・アルマーニのジャケットにリーバイス501ジーンズというスタイリングで、坂本に対し周囲が持っていたイメージを一変させた。
ライナーノーツ
[編集]ライナーノーツは、坂本のほか、林光、細野晴臣が寄稿。細野は自らのコンセプト「イエローマジック」に絡めた文を掲載している。
収録曲
[編集]- 全作曲:坂本龍一
Side A
[編集]- 千のナイフ THOUSAND KNIVES – (9分34秒)
- 坂本のヴォコーダー(KORG VC-10)による毛沢東の詩(1965年に毛沢東が井崗山を訪問したときに作成した「水調歌頭 重上井岡山」)の朗読で幕を開け、印象的な響きの和音が平行移動するイントロへとつながる。イントロ後の速いパッセージ部分のメロディーの音色は大正琴のシミュレート。坂本はレゲエや賛美歌、ハービー・ハンコックの「Speak Like A Child」にインスパイアされたと発言している。ギターソロは渡辺香津美。
- 後にYMOもライブで演奏しており、1981年発表のYMOのアルバム『BGM』にてセルフカバー。
- 坂本のコンサートツアー『トリオ・ワールド・ツアー・1996』では、ピアノ三重奏のアレンジで演奏された。
- 2002年にリリースされた『US』では冒頭の詩の朗読とフェードアウト部分がカットされている。2005年9月28日リリース『/05』ではピアノ連弾にアレンジされたヴァージョンが収録されている。
- ISLAND OF WOODS – (9分50秒)
- GRASSHOPPERS – (5分16秒)
Side B
[編集]- 新日本電子的民謡 DAS NEUE JAPANISCHE ELEKTRONISCHE VOLKSLIED – (8分05秒)
- PLASTIC BAMBOO – (6分31秒)
- 16分音符のウラにアクセントがある、クネクネした独特なメロディーが特徴。初期YMOのライヴで演奏された。
- THE END OF ASIA – (6分21秒)
Chronological Collection 1978-1981 (Columbia Years)
[編集]※コロムビア時代のアルバムを集めた『Chronological Collection 1978-1981 (Columbia Years)』では、曲順がLP版のA面とB面が入れ替わった形に変更されている。
- DAS NEUE JAPANISCHE ELEKTRONISCHE VOLKSLIED
- PLASTIC BAMBOO
- THE END OF ASIA
- THOUSAND KNIVES
- ISLAND OF WOODS
- GRASSHOPPERS
クレジット
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Castanets: Tatsuro Yamashita |
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Recording Engineer: Toshihiko Takahashi |
Mixed by Toshihiko Takahashi, Ryuichi Sakamoto |
リリース一覧
[編集]# | 発売日 | リリース | 規格 | 規格品番 | 備考 |
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1 | 1978年10月25日 | Better Days / Columbia | YX-7586-ND | ||
2 | 1980年6月25日 | CTK-7004-ND | |||
3 | 1984年4月 | DENON / Columbia | CD |
35C38-7137 | 初CD化 |
4 | 1988年5月21日 | Better Days / Columbia | 28CY-2366 | 品番改定によるリイシュー盤 | |
5 | 1990年 | DENON / Columbia | DC-8571 | 品番改定によるリイシュー盤 | |
6 | 1991年10月21日 | Columbia | COCA-9206 | 品番改定によるリイシュー盤 | |
7 | 1993年5月21日 | Better Days / Columbia | COCA-10818 | 品番改定によるリイシュー盤 | |
8 | 1994年11月21日 | Better Days / Columbia | COCA-12152 | 「CD文庫1500」シリーズの一枚。 | |
9 | 2005年4月20日 | Jroom Jazz / Columbia Music Entertainment | COCB-53330 | 「BetterDays レプリカ・コレクション」シリーズの一枚。リマスタリング音源使用。 | |
10 | 2016年1月20日 | Better Days / Columbia | COGQ-87 | 坂本龍一監修、オノ・セイゲンによるリマスタリング音源使用。紙ジャケット仕様。 | |
LP |
COJY-9300 | 坂本龍一監修、オノ・セイゲンによるリマスタリングおよびEQ、180g重量盤。完全限定生産。 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 千のナイフ2016年版ライナーノーツ
- ^ ワッツイン 1989年12月号
- ^ “坂本龍一さん秘話発掘「デビュー盤は売上200枚」「カフェ店員から『この音楽じゃモテないですよ』」”. news.yahoo.co.jp. NEWSポストセブン (2023年4月7日). 2023年4月7日閲覧。
- ^ 坂本龍一全仕事, 太田出版, 1991, p.52
- ^ “千のナイフ発売記念ライヴ”. bug98.jugem.jp. bug98.jugem.jp (2005年3月9日). 2023年4月7日閲覧。
- ^ 青春の音楽 原田力男の仕事 p.12
- ^ “【LIFE MUSIC. ~音は世につれ~】第27回忘れがたいものになった12のスケッチ by青野賢一”. mikiki.tokyo.jp. mikiki.tokyo.jp. 2023年4月7日閲覧。
参考文献
[編集]- 坂本龍一全仕事,太田出版,1991
- 青春の音楽 原田力男の仕事 2002
外部リンク
[編集]- 日本コロムビア
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- 千のナイフ – DISCOGRAPHY
- 千のナイフ【アナログ】 – DISCOGRAPHY
- Ryuichi Sakamoto Chronological Collection 1978−1981[Columbia Years] – DISCOGRAPHY