ミーツ・ザ・マザーズ・オブ・プリヴェンション
『ミーツ・ザ・マザーズ・オブ・プリヴェンション』 | ||||
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フランク・ザッパ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | ロック、実験音楽 | |||
レーベル | バーキング・パンプキン・レコード | |||
プロデュース | フランク・ザッパ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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フランク・ザッパ アルバム 年表 | ||||
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『ミーツ・ザ・マザーズ・オブ・プリヴェンション[3]』(原題:Frank Zappa Meets the Mothers of Prevention)は、フランク・ザッパが1985年に発表したスタジオ・アルバム。
内容
[編集]本作はザッパがシンクラヴィアに傾倒した時期の作品で、「エアロビクス・イン・ボンディッジ」や「チビ・ベージュ・サンボ」は全編シンクラヴィアによって作られ、「ヨー・キャッツ」や「ホワッツ・ニュー・イン・ボルティモア?」はコンピューターの演奏と人間の生演奏の両方が取り入れられた[4]。
1985年9月19日、ザッパはPMRCの主張により開催された上院委員会の公聴会に出席し、PMRCの推進する音楽検閲に反対した[5]。「ポルノ・ウォーズ」は、この公聴会の録音を編集して作られた曲で、ザッパ・バンドのメンバーであるアイク・ウィリスのモノローグが追加され、また、PMRC側の発言の中から、敢えて「セックス」等の卑猥な言葉をリピートする編集も行われた[6]。なお、ザッパの妻ゲイルはザッパの没後、PMRCの設立者で中心人物のティッパー・ゴアと親しくなる[7]が、その一方で2010年には、1985年9月の公聴会の模様を収録したアルバム『Congress Shall Make No Law…』を発売して[8]、「彼女(ティッパー)の悲しくて複雑な記憶を掘り起こしているのかもしれないけど、それでも私は彼女を本当に尊敬している。彼女自身がアーティストなのよ」とコメントしている[7]。
リリース
[編集]アメリカ盤LPは7曲入りで発売されたが[9]、ヨーロッパ盤では「アメリカ国外のリスナーにとっては面白くない政治的な曲」という理由で「ポルノ・ウォーズ」が外され、代わりに3曲の新曲が追加された[10]。ヨーロッパ盤LPに収録された「H.R.2911」のタイトルは、当時RIAAが導入を推進していたブランク・テープ税の正式名称に由来しており、ザッパはRIAAとPMRCが結託していると主張して両者を批判した[11]。
後のリマスターCDは、アメリカ盤とヨーロッパ盤の内容を統合した10曲入りとなり、曲順も変更されている。
反響・評価
[編集]アメリカのBillboard 200では153位に達し、結果的には生前最後の全米トップ200入りとなった[2]。オランダでは1986年3月29日付のアルバム・チャートで初登場60位となり、その後53位に達した[1]。
François Coutureはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け「すぐに古臭くなってしまった政治的な作品"Porn Wars"を別とすれば、印象的な瞬間に欠ける」と評している[4]。また、John Semleyは The A.V. Clubにおいて「フラストレーションを取り込もうとしたのだろうが、当てつけめいた自虐になってしまった、無味乾燥な論文のレコード」と評している[12]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はフランク・ザッパ作。
アメリカ盤LP
[編集]サイド1
[編集]- "We're Turning Again" - 4:55
- "Alien Orifice" - 4:03
- "Yo Cats" (Frank Zappa, Tommy Mars) - 3:31
- "What's New in Baltimore?" - 5:21
サイド2
[編集]- "Little Beige Sambo" - 3:02
- "Porn Wars" - 12:04
- "Aerobics in Bondage" - 3:16
ヨーロッパ盤LP
[編集]サイド1
[編集]- "We're Turning Again" - 4:55
- "Alien Orifice" - 4:03
- "Yo Cats" (F. Zappa, T. Mars) - 3:31
- "What's New in Baltimore?" - 5:21
サイド2
[編集]- "I Don't Even Care" (F. Zappa, Johnny "Guitar" Watson) - 4:43
- "One Man - One Vote" - 2:36
- "H.R. 2911" - 3:35
- "Little Beige Sambo" - 3:02
- "Aerobics in Bondage" - 3:16
リマスターCD
[編集]- アイ・ドント・イーヴン・ケア ("I Don't Even Care") (F. Zappa, J. Watson) - 4:44
- 一人一票 ("One Man, One Vote") - 2:35
- チビ・ベージュ・サンボ ("Little Beige Sambo") - 3:02
- エアロビクス・イン・ボンディッジ ("Aerobics in Bondage") - 3:17
- ウィー・アー・ターニング・アゲイン ("We're Turning Again") - 4:54
- エイリアン・オリファイス ("Alien Orifice") - 4:12
- ヨー・キャッツ ("Yo Cats") (F. Zappa, T. Mars) - 3:34
- ホワッツ・ニュー・イン・ボルティモア? ("What's New in Baltimore?") - 5:25
- ポルノ・ウォーズ ("Porn Wars") - 12:02
- H.R.2911 ("H.R. 2911") - 3:36
参加ミュージシャン
[編集]- フランク・ザッパ - リードギター、シンクラヴィア、ボーカル
- アイク・ウィリス - ギター、ボーカル
- レイ・ホワイト - ギター、ボーカル
- スティーヴ・ヴァイ - ギター
- ボビー・マーティン - キーボード、ボーカル
- トミー・マーズ - キーボード
- スコット・チュニス - エレクトリックベース
- チャド・ワッカーマン - ドラムス
- エド・マン - パーカッション
- ムーン・ザッパ - ボーカル
- ドゥイージル・ザッパ - ボーカル
- ジョニー・"ギター"・ワトソン - ギター、ボーカル(on "I Don't Even Care")
- アル・ゴア、ティッパー・ゴア、ジョン・ダンフォース、アーネスト・ホリングス、ポール・S・トライブル・ジュニア、ポーラ・ホーキンス、J・ジェームズ・エクストン - ボイス(on "Porn Wars")
脚注
[編集]- ^ a b Frank Zappa - Meets The Mothers Of Prevention - dutchcharts.nl
- ^ a b Frank Zappa | Awards | AllMusic
- ^ 2002年再発CD(VACK-1257)の日本語タイトルに準拠。日本初回盤(MSI / RCD 10023)は『ザッパ検閲の母と出会う』、1995年再発CD(VACK 5049)は『ザッパ・ミーツ・ザ・マザーズ・オブ・プリヴェンション』となっている
- ^ a b Frank Zappa Meets the Mothers of Prevention - Frank Zappa | AllMusic - Review by François Couture
- ^ Beaujon, Andrew (2015年2月2日). “5 Excellent Moments From The Senare's 1985 Rock-Lyrics Hearings”. Washingtonian. 2015年6月6日閲覧。
- ^ Porn Wars - The Mothers of Invention, Frank Zappa | AllMusic - Song Review by François Couture
- ^ a b Reesman, Bryan (2010年9月20日). “25 Years After Tipper Gore's PMRC Hearings, the Opposing Sides Aren't So Far Apart”. Vulture.com. New York Media, LLC. 2015年6月6日閲覧。
- ^ "Congress Shall Make No Law…" - globalia.net
- ^ Frank Zappa - Frank Zappa Meets The Mother Of Prevention (Vinyl, LP, Album) at Discogs - アメリカ盤LPの情報
- ^ Frank Zappa Meets The Mother Of Prevention (European Version) (Vinyl, LP, Album) at Discogs
- ^ H.R.2911 - Frank Zappa | AllMusic - Song Review by François Couture
- ^ Semley, John (2012年8月9日). “Where to dive into Frank Zappa's weird, unwieldy discography”. The A.V. Club. 2015年6月6日閲覧。