イエロー・シャーク
『イエロー・シャーク』 | ||||
---|---|---|---|---|
フランク・ザッパ の ライブ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1992年9月 | |||
ジャンル | 現代音楽 | |||
時間 | ||||
レーベル | バーキング・パンプキン・レコード | |||
プロデュース | フランク・ザッパ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
| ||||
フランク・ザッパ アルバム 年表 | ||||
|
『イエロー・シャーク』(原題:The Yellow Shark)は、フランク・ザッパが1993年11月に発表したアルバム。1992年9月、ドイツの室内楽団アンサンブル・モデルンが「The Yellow Shark」と題されたコンサートでザッパの曲を演奏し、本作にはその時のライブ音源が収録された。ザッパはプロデュースに加えて、一部の曲で指揮も担当している。なお、ザッパは1993年12月4日に死去しており、本作が生前最後のリリースとなった。
背景
[編集]ザッパが過去に発表した曲のオーケストラ・アレンジ版と、新曲が収録された。コンサート及びアルバムのタイトルは、ザッパのリスニング・ルームに置かれていたガラス繊維製の魚の模型に由来している[4]。
1991年7月、アンサンブル・モデルンはロサンゼルスを訪れてザッパ所有のスタジオ「ジョーズ・ガレージ・スタジオ」で2週間リハーサルを行い、更に1992年7月には、逆にザッパがドイツを訪れてアンサンブル・モデルンと共に2週間リハーサルを行った[5]。ザッパの没後の1999年に発表されたアルバム『Everything Is Healing Nicely』には、本プロジェクトのために行われたリハーサルの録音が収録されている[6]。
「The Yellow Shark」と題されたコンサートは、1992年9月17日から19日にフランクフルト公演、22日と23日にベルリン公演、26日から28日にウィーン公演という日程で行われた[5]。そのうちフランクフルト公演の初日と3日目にはザッパ本人も出演し、司会や一部の曲の指揮を担当した[4]。しかし、当時ザッパの健康状態は悪化しており、フランクフルト公演のうちの2日目や、その後のベルリン公演及びウィーン公演はザッパ抜きで行われた[4]。
反響・評価
[編集]アメリカでは『ビルボード』のクラシカル・クロスオーヴァー・チャートで2位を記録した[7]。また、オーストリア、ドイツ、オランダでは総合アルバム・チャート入りしている。
François Coutureはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「この男のロック・ミュージックを愛する平均的なファンは、恐らく『イエロー・シャーク』に戸惑うだろうが、彼のシリアスな音楽に興味のある人々には、『ロンドン・シンフォニー・オーケストラ』や『オーケストラル・フェイヴァリッツ』といったアルバム以上に必携のアイテムである」と評している[8]。また、トム・ウェイツは2005年3月20日付の『オブザーバー』紙において、本作を「彼の最後の大傑作だ。畏敬すべきアンサンブルだよ」と評している[9]。
収録曲
[編集]全曲ともフランク・ザッパ作(ただし1.は楽曲でなくMC)。
- イントロ ("Intro") - 1:43
- ドッグ・ブレス・ヴァリエーションズ ("Dog Breath Variations") - 2:07
- アンクル・ミート ("Uncle Meat") - 3:24
- アウトレイジ・アット・ヴァルデズ ("Outrage at Valdez") - 3:27
- タイムズ・ビーチ2 ("Times Beach II") - 7:31
- スリー・リヴァイズド ("III Revised") - 1:45
- ザ・ガール・イン・ザ・マグネシウム・ドレス ("The Girl in the Magnesium Dress") - 4:33
- ビー・バップ・タンゴ ("Be-Bop Tango") - 3:43
- 壺の中の眠り ("Ruth Is Sleeping") - 5:56
- ナン・オブ・ジ・アバーヴ ("None of the Above") - 2:17
- ペンタゴン・アフタヌーン ("Pentagon Afternoon") - 2:28
- クエスティ・カッツイ・ディ・ピッチョーネ ("Questi Cazzi Di Piccione") - 3:03
- タイムズ・ビーチ3 ("Times Beach III") - 4:26
- フード・ギャザリング・イン・ポスト・インダストリアル・アメリカ1992 ("Food Gathering in Post-Industrial America, 1992") - 2:52
- ウェルカム・トゥ・ザ・ユナイテッド・ステイツ ("Welcome to the United States") - 6:39
- パウンド・フォー・ア・ブラウン ("Pound for a Brown") - 2:12
- エクササイズ#4 ("Exercise #4") - 1:37
- ゲット・ホワイティ ("Get Whitey") - 7:00
- G-スポット・トルネード ("G-Spot Tornado") - 5:17
参加ミュージシャン
[編集]- フランク・ザッパ - 指揮(on 14. 15. 19.)、プロデュース
- Ali N. Askin - アレンジ(on 2. 3. 7. 8. 9. 19.)
- アンサンブル・モデルン
- Peter Rundel - 指揮、ヴァイオリン
- Dietmar Wiesner - フルート
- Catherine Milliken - オーボエ、イングリッシュホルン、ディジュリドゥ
- Roland Diry - クラリネット
- Wolfgang Stryi - バスクラリネット、テナー・サクソフォーン、コントラバスクラリネット
- Veit Scholz - バスーン、コントラバスーン
- Franck Ollu - ホルン
- Stefan Dohr - ホルン
- William Formann - トランペット、フリューゲルホルン、ピッコロトランペット、コルネット
- Michael Gross - トランペット、フリューゲルホルン、ピッコロトランペット、コルネット
- Uwe Dierksen - トロンボーン、ソプラノ・トロンボーン
- Michael Svoboda - トロンボーン、ユーフォニアム、ディジュリドゥ、アルプホルン
- Daryl Smith - チューバ
- Herman Kretzschmar - チェレスタ、ハープシコード、ヴォイス、ピアノ
- Ueli Wiget - チェレスタ、ハープシコード、ハープ、ピアノ
- Rainer Römer - パーカッション
- Rumi Ogawa-Helferich- パーカッション、ツィンバロム
- Andreas Böttger - パーカッション
- Detlef Tewes - マンドリン
- Jürgen Ruck - ギター、バンジョー
- Ellen Wegner - ハープ
- Mathias Tacke - ヴァイオリン
- Claudia Sack - ヴァイオリン
- Hilary Sturt - ヴィオラ、ヴォイス
- Friedemann Dähn - チェロ
- Thomas Fichter - コントラバス、エレクトロコントラバス
脚注
[編集]- ^ Frank Zappa - The Yellow Shark - austriancharts.at
- ^ officialcharts.de
- ^ Frank Zappa - The Yellow Shark - dutchcharts.nl
- ^ a b c Zapping All Those Rumors : New music: After illness forced him to cut short a European tour, Frank Zappa is back in harness. Says a friend of the composer: 'He's just not going to be bothered by something as stupid as cancer.' - Los Angeles Times - article by Rip Rense - 2014年12月9日閲覧
- ^ a b アメリカ盤CD(R2 71600)ライナーノーツ(Rip Rense)
- ^ Everything Is Healing Nicely - Frank Zappa | AllMusic - Review by William Ruhlmann
- ^ The Yellow Shark - Frank Zappa | Awards | AllMusic
- ^ The Yellow Shark | AllMusic - Review by François Couture
- ^ Tom Waits on his cherished albums of all time - The Guardian - 2014年12月9日閲覧