無情の世界
「無情の世界」 | ||||||||
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ローリング・ストーンズ の シングル | ||||||||
初出アルバム『レット・イット・ブリード』 | ||||||||
A面 | ホンキー・トンク・ウィメン | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | 7インチ・シングル | |||||||
録音 |
ロンドン、オリンピック・スタジオ、1968年11月15日 – 17日 1969年2月-5月 | |||||||
ジャンル | ロック、ゴスペル | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル |
デッカ・レコード ロンドンレコード | |||||||
作詞・作曲 | ジャガー/リチャーズ | |||||||
プロデュース | ジミー・ミラー | |||||||
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「無情の世界」 | ||||
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ローリング・ストーンズの楽曲 | ||||
収録アルバム | 『レット・イット・ブリード』 | |||
リリース | 1969年12月5日 | |||
録音 | ロンドン、オリンピック・スタジオ、1968年11月15日 – 17日 1969年2月-5月 | |||
ジャンル | ロック、ゴスペル | |||
時間 | 7分30秒 | |||
レーベル | Decca/ABKCO | |||
作詞者 | ジャガー/リチャーズ | |||
プロデュース | ジミー・ミラー | |||
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「無情の世界」(You Can't Always Get What You Want)は、1969年に発表された、ローリング・ストーンズの楽曲。作詞・作曲はミック・ジャガーおよびキース・リチャーズ。アルバム『レット・イット・ブリード』収録。
解説
[編集]荘厳なコーラスを取り入れた、7分を超える大作。1969年7月発表のシングル「ホンキー・トンク・ウィメン」のB面曲として発表された時は、イントロのコーラスと、ヴァースの一部分をカットした短縮バージョンで、モノラルにて収録された。同年12月発表の『レット・イット・ブリード』で、初めてフル・レングス・バージョンが登場した。日本では1973年に独自にA面扱いでシングルカットされている。作詞作曲について、リチャーズは自著で「基本的にすべてミックが書いた。彼がスタジオに来て、“こんな曲があるんだけど”と言ったのを覚えている。俺はリズムを考えなければならなかった」と述べている[1]。ジャガー自身もこの曲を気に入っているようで、「一緒に歌いやすいコーラスがついているのと、“欲しいものがいつでも手に入るとは限らない”というリスナーがアイデンティファイしやすいメッセージ性がこの曲の人気の理由だろう。メロディもすごくいい」と評している[2]。
1968年11月、ロンドンのオリンピック・スタジオにて最初のレコーディングが行われ[3]、同年12月に製作されたTVショー「ロックンロール・サーカス」でもいち早く披露されている。翌1969年3月のレコーディングにて、ジャック・ニッチェによる編曲で、コーラス隊のオーバーダブが行われた[4]。当時はまだブライアン・ジョーンズがバンドに在籍していたが、彼はこの曲には一切関わっていない。この曲の録音に参加したアル・クーパーによれば、ジョーンズはスタジオにはいたが、床に寝そべって植物に関する本を読んでいるだけだったという[5]。また、ドラムスはプロデューサーのジミー・ミラーが担当したため、チャーリー・ワッツもこの曲の録音には参加していない。ジャガーによれば、ワッツがこの曲独特のグルーヴを演奏することができなかったため、ミラーが代わりに担当したのだという。クーパーは「チャーリーは面白くなさそうだったが、潔く振舞っていた」と回想している[5]。
2016年、第45代アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプが、自身の選挙集会で本曲や「スタート・ミー・アップ」をストーンズに無許可で使用したことに、バンド側は楽曲使用の即時停止を要求したが、トランプはこれを無視し、以降も繰り返しストーンズの曲を使用し続けた。なお、トランプの楽曲使用については、ニール・ヤングやR.E.M.、アデルらからも抗議を受けている[6]。
2020年4月18日(アメリカ時間)、レディー・ガガが発起人となり、WHOと慈善団体「Global Citizen」は、新型コロナウイルス対策支援のバーチャル・コンサート「One World: Together at Home」を開催した。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッド、チャーリー・ワッツの4人はこのプロジェクトに参加し、Web会議システムを利用してそれぞれの自宅で「無情の世界」を演奏。撮影したライブ演奏を配信した[7][8]。
評価
[編集]ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2010年版)では101位にランクされている[9]。
コンサート・パフォーマンス
[編集]この曲の初演は、上記の通り、1968年の『ロックンロール・サーカス』である。その後数年間はストーンズのコンサートでは演奏されなかったが、1972年からレパートリーに加えられるようになり、以降直近の2019年まで、ストーンズのほぼ全てのツアーで披露されている[5]。1977年の『ラヴ・ユー・ライヴ』、1991年の『フラッシュポイント』、2004年の『ライヴ・リックス』など、複数のライブ盤にも収録されている。
レコーディング・メンバー
[編集]※アルバム『レット・イット・ブリード』記載のクレジットに準拠
- ローリング・ストーンズ
- 参加ミュージシャン
- ジミー・ミラー - ドラムス
- アル・クーパー - ピアノ、オルガン、フレンチホルン
- ロッキー・ディジョン - パーカッション
- ジャック・ニッチェ - コーラス編曲
- マドリーヌ・ベル、ドリス・トロイ、ナネット・ニューマン、ロンドン・バッハ合唱団 - コーラス
カバー
[編集]- ベット・ミドラー - 映画『Divine Madness』のサウンドトラック盤に収録(1980年)。
- アレサ・フランクリン - アルバム『Love All the Hurt Away』に収録(1981年)。
- ジョージ・マイケル - 本曲をベースにしたシングル「Waiting for That Day」を発表(1990年)。
- デフ・レパード - シングル「Have You Ever Needed Someone So Bad」のカップリングに収録(1992年)。
- ネヴィル・ブラザーズ - ライヴ・アルバム『ライヴ・オン・プラネット・アース』に、スティーヴン・スティルスの「愛への讃歌」とのメドレーとして収録(1994年)[10]。
脚注
[編集]- ^ 『Life:Keith Richards (English Edition)』キース・リチャーズ著、 Weidenfeld & Nicolson刊、2010年、ISBN 978-0-297-85862-1(Kindle版、位置No. 4082-4084/9615)
- ^ SIGHT VOL.14 特集「ロックの正義!!ストーンズ全100ページ」(株式会社ロッキング・オン、2003年)58頁
- ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、 筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)177頁
- ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、 筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)187頁
- ^ a b c “You Can't Always Get What You Want” (英語). 2021年8月10日閲覧。
- ^ “トランプ氏、ストーンズの楽曲使用中止要求に「倍返し」 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News”. 2021年8月10日閲覧。
- ^ Allaire, Christian (2020年4月20日). “新型コロナウイルス対策支援コンサート「One World: Together at Home」のベストパフォーマンス10。”. ヴォーグ 2020年4月29日閲覧。
- ^ “The Rolling Stones perform "You Can't Always Get What You Want" One World: Together At Home”. Global Citizen (2020年4月19日). 2020年4月29日閲覧。
- ^ The Rolling Stones, 'You Can't Always Get What You Want' | 500 Greatest Songs of All Time | Rolling Stone
- ^ Live on Planet Earth - Neville Brothers | AllMusic