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沼牛駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
沼牛駅
廃止前の駅舎(1995年8月)
ぬまうし
Numaushi
鷹泊 (10.6 km)
(2.0 km) 新成生
所在地 北海道雨竜郡幌加内町下幌加内
北緯43度57分34.3秒 東経142度9分29秒 / 北緯43.959528度 東経142.15806度 / 43.959528; 142.15806
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 深名線
キロ程 37.9 km(深川起点)
電報略号 ヌウ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
開業年月日 1929年昭和4年)11月8日[1]
廃止年月日 1995年平成7年)9月4日[1]
備考 深名線廃線に伴い廃駅
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1977年の沼牛駅と周囲約500m範囲。上が朱鞠内方面。単式ホーム1面1線と外側に副本線、駅横に引込線を持っていた。副本線も引込線も色が薄く、この頃は殆ど使用されていないようである。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

沼牛駅(ぬまうしえき)は、北海道空知支庁雨竜郡幌加内町下幌加内にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)深名線廃駅)である。事務管理コードは▲121405[2]

歴史

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駅名の由来

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当駅の所在地近辺の地名より[4]。由来は諸説あるが山田秀三は現在の沼牛川のアイヌ語名である「ヌマウㇱホㇿカナイ(numa-us-horkanay)」(毛が・多い・幌加内川〔の支流〕)が原型ではないか[4][5]、としている。山田はこの場合「ヌマ(numa)」(毛)が指しているのは水草ではないか、としている[4]。なお、山田以外に以下の説が紹介されたことがある。

  • 「沼牛川と幌加内川の合流点に牛の伏した如き沼があった為[6]
    • 国鉄北海道総局による『駅名の起源』では昭和25年版で改定される以前までこの説で紹介されていた[4]
  • ヌㇺウㇱホㇿカナイ(num-us-horkanay)…果実(クルミ)が・多い・幌加内川(の支流)[7][8][5]
    • 『駅名の起源』は高倉新一郎知里真志保更科源蔵が参画した昭和25年版以降この説を採用している[4]
    • ここでの「ヌㇺ(num)」はクルミを指したものとされている[7]
    • 先に述べた山田の説はこの説をベースに「ヌㇺ(num)」より「ヌマ(numa)」の方が「原音に近いのかもしれない[4]」として考案された説である。
  • ヌㇷ゚(nup)…野[8]
    • 本多貢が『北海道地名漢字解』で掲載している。

駅構造

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廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する地上駅であった。ホームは線路の東側(名寄方面に向かって右手側)に存在した[9]。そのほか本線の深川方から分岐し駅舎南側への側線を1線有していた[9]。かつては列車交換可能な交換駅であった。1983年(昭和58年)時点では使われなくなった対向ホーム側の1線は交換設備運用廃止後も分岐器が深川方、名寄方の両方向とも維持された形で側線として残っていたが(但しホームは撤去されていた)[10]、その後1993年(平成5年)までには撤去された[9]。ホーム前後の線路は分岐器の名残で湾曲していた[9]

無人駅となっていたが、有人駅時代の駅舎が残っていた。駅舎は構内の西側に位置しホーム北側に接していた[9]。古ぼけた木造で[10]、傷みが激しかった[9]

利用状況

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  • 1992年度(平成4年度)の1日乗降客数は8人[9]

駅周辺

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駅跡

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1995年(平成7年)9月の駅廃止後、駅舎は幌加内町の所有となった[新聞 1]。1996年(平成8年)に、当時地元でそば農家を営んでいた男性が、駅舎を町から譲り受けた[新聞 1]

2000年(平成12年)時点では、駅舎とホームが放置状態で残存していた[12]。駅前の農業倉庫も残っていた[12]。2010年(平成22年)時点[13]、2011年(平成23年)時点でも同様であった[14]。ホームには駅名標の枠が半分だけ残存しており、ホームの下の線路跡にはバラストが残存していた[14]

2015年(平成27年)7月18日、当年9月で廃止後20年になるのを記念して、町民や鉄道ファンにより数か月をかけて倉庫として使用されてきた駅舎を清掃・修復して、駅名板を旧ホームに設置するなど廃止前の姿を復元するイベント「おかえり沼牛駅」が開催された[15][新聞 2]

2016年(平成28年)5月に解体された旧・北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線上利別駅の駅舎の部材も活用し、同年9月から改修作業が行われた[新聞 3]。同工事は同年11月6日に完成し、同日お披露目となった[新聞 4]

2020年(令和2年)時点、駅舎内部は通常非公開であり、イベント開催時のみ一般公開が行われている[16]

おかえり沼牛駅実行委員会が北海道内の鉄道ファンから2018年に譲り受けていた腕木式信号機が2021年10月25日、点灯可能な状態で設置された。委員会は活動費用を募るため、クラウドファンディング線路下にあった砂利を入れた缶詰の販売なども行っている[新聞 5]

2022年10月7日放送の「沁みる夜汽車 2022追想」(NHK BS1) の中の「廃駅舎と生きる」で紹介された。

隣の駅

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北海道旅客鉄道(JR北海道)
深名線
鷹泊駅 - 沼牛駅 - 新成生駅

脚注

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注釈

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  1. ^ 1990年(平成2年)7月1日時点では既に完全無人化されている。小冊子『HANDBOOK 1990』「駅は旅の出発点」(発行:北海道旅客鉄道、1990年発行)より。

出典

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  1. ^ a b c d e f 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、846頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、223頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362022年12月10日閲覧 
  3. ^ 「通報 ●深名線上多度志駅ほか9駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1982年9月29日、3面。
  4. ^ a b c d e f 山田秀三 (2018-11-30). 北海道の地名. アイヌ語地名の研究 別巻 (2 ed.). 浦安市: 草風館. p. 82. ISBN 978-4-88323-114-0 
  5. ^ a b アイヌ語地名リスト トヨト~ノブシ P91-100”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年10月28日閲覧。
  6. ^ 札幌鉄道局 編『駅名の起源』北彊民族研究会、1939年、35頁。NDLJP:1029473 
  7. ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、113頁。ASIN B000J9RBUY 
  8. ^ a b 本多 貢 (1995-01-25). 児玉芳明. ed (日本語). 北海道地名漢字解. 札幌市: 北海道新聞社. p. 72. ISBN 4893637606. OCLC 40491505. https://www.worldcat.org/oclc/40491505 2018年10月28日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g 『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館1993年6月発行)75ページ
  10. ^ a b 『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館、1983年7月発行)204ページ
  11. ^ a b c d 書籍『北海道道路地図 改訂版』(地勢堂、1980年3月発行)15ページ
  12. ^ a b 『鉄道廃線跡を歩くVII』(JTBパブリッシング2000年1月発行)35ページ
  13. ^ 『新 鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』(JTBパブリッシング、2010年4月発行)41ページ
  14. ^ a b 本久公洋著『北海道の鉄道廃線跡』(北海道新聞社、2011年9月発行)175-176ページ
  15. ^ さよなら深名線 廃止20年企画 おかえり沼牛駅~深名線廃止20年、沼牛駅が1日限定で復活します~”. 幌加内町. 2016年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月13日閲覧。
  16. ^ 旧 深名線 沼牛駅ホームページ”. おかえり沼牛駅実行委員会. 2020年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月13日閲覧。

新聞記事

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  1. ^ a b “腕木式信号機“化粧直し” 幌加内、旧沼牛駅 保存団体がペンキ塗り”. 北海道新聞. (2020年10月13日). オリジナルの2020年10月13日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/VumL0 2020年10月13日閲覧。 
  2. ^ 廃止から20年の駅が「復活」…JR北海道・深名線の沼牛駅舎公開 Response.(2015年7月20日)2020年12月5日閲覧
  3. ^ 森脇敬三 (2016年10月22日). “幌加内の沼牛駅舎、6日お披露目 外壁塗装など改修着々”. 北海道新聞. どうしんウェブ/電子版(道北) (北海道新聞社). オリジナルの2016年10月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161023080431/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0329536.html 2016年10月23日閲覧。 
  4. ^ “旧沼牛駅舎 感謝の再出発 幌加内 全国からの資金で改修”. 北海道新聞. どうしんウェブ/電子版(暮らし・話題) (北海道新聞社). (2016年11月6日). オリジナルの2016年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161107150146/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0335194.html 2016年11月8日閲覧。 
  5. ^ 腕木式信号機 旧沼牛駅に再現/駅舎維持へランドマーク 幌加内」『北海道新聞』朝刊2020年11月29日「地域から 179の窓」特集:心の鉄道 愛着深く(14面)2020年12月5日閲覧

関連項目

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