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情熱 (吉田拓郎のアルバム)

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『情熱』
吉田拓郎スタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ニューミュージック
レーベル フォーライフ
プロデュース 吉田拓郎
チャート最高順位
  • 週間10位オリコン[1]
  • 登場回数6回(オリコン)
  • 売上3.2万枚(オリコン)
吉田拓郎 アルバム 年表
マラソン
1983年
情熱
(1983年)
FOREVER YOUNG
1984年
『情熱』収録のシングル
  1. I'm In Love
    リリース: 1983年11月5日
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情熱』(じょうねつ)は、1983年11月5日吉田拓郎がリリースしたオリジナル・アルバムである[2][3][4]

解説

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  • 前作に引き続きすべて作詞・作曲・編曲を吉田拓郎が担当している[3][4]
  • ロックンロール調や明るい曲調が多く[3][4]、全体的にキャッチーでポップな印象のアルバムである[3][4]1980年代の拓郎のポップな側面が最もよく表れているのが本アルバムといえる[4]
  • 1970年代に上の世代や権威の象徴に対して反抗的であることを旗印にしていた学生運動アングラ演劇ミニコミ自主映画などのサブカルチャーと呼ばれたジャンルに関わった人たちにとって、吉田拓郎の勢いはその象徴でもあったが[4]1980年代に入ると"軽薄短小"がもてはやされ、自分たちの時代が遠くなったことを痛切に感じさせた[4]。異例の年2枚のオリジナルアルバム発売は、拓郎が音楽活動にのめり込んでいたことを意味する[4]。また同時に女性スキャンダルマスメディアを賑わせていた時期でもあり[3][4][5]、歌詞にそれを示唆する曲も多い他[2][3][4]、内容的に時代の移り変わりについて歌った曲が多い[4][6]
  • 拓郎は1983年11月4日の埼玉県越谷市から始まるコンサートツアー『TOUR 1983 〜情熱〜』の数日前につま恋で行われたツアーリハーサル田家秀樹の取材に答え、収録曲「男と女の関係は」は、森下愛子のことを歌ったものとはっきり明言した[7]ジェンダー問題が煩い2020年代の今日ではなかなかお目にかかれない歌詞である[2]。1970年代後半から「ニューミュージック=軟弱」というイメージが広がったことに関して[8]、拓郎は「男が軟弱になっちまってるコトにイライラする」などと週刊誌上で吼えていた[9]。アルバムリリース当時は森下との不倫がスキャンダラスに報道されていた時期で[2][4][5][7]、コンサートではほぼ喋らなかった(MCなし)[7]。またこの時点で二度目のつま恋オールナイトを来年やると話したが[2][7]、実施は1985年夏になった(吉田拓郎 ONE LAST NIGHT IN つま恋)。
  • 月刊明星』「'83音楽総決算」に於いて吉見佑子が1983年度のベストアルバムに選出した[10]。吉見は「もうオジサンだけどスキャンダルを起こすたびに質のいいアルバムを出すとこなんか、シンガーソングライターの鏡だと思う」と評した[10]

収録曲

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  1. Woo Baby
  2. 何処へ
  3. 男と女の関係は
  4. I'm In Love
  5. 情熱
  6. SCANDAL
  7. 風の時代
  8. チェックイン ブルース
  9. 別離(わかれ)
  10. 若い人

参加ミュージシャン

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  • A.Guitar, E.Guitar & Percussion:吉田拓郎
  • E.Guitar, A.Guitar & All Splendid Solo Guitar:青山徹
  • Drums & Percussion:島村英二
  • Bass:武部秀明
  • A.Piano, E.Piano, Organ, Synthesizer:中西康晴・エルトン永田

脚注

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  1. ^ 「オリコンチャートブック〈LP編(昭和45年‐平成1年)〉」ORICON BOOKS、1990年5月1日、310ページ。
  2. ^ a b c d e 田家秀樹「「CONTENTS 第五章 '83–'85 ジョン・レノンの悲劇が80年代の幕開けになった その歳までは歌うー彼はそう口にした」」『吉田拓郎ヒストリー1970-1993』ぴあ〈ぴあbook. ぴあmusic collection ; 4〉、1994年、78–80頁。 
  3. ^ a b c d e f 音楽出版社 編「CD GUIDE 吉田拓郎の音盤 文・飯野公一」『吉田拓郎読本』音楽出版社、2008年、91頁。ISBN 978-4-86171-041-4 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 田家秀樹、前田祥丈、菅岳彦、池田謙、村野弘正「ORIGINAK ALBUM 情熱」『アーティストファイル 吉田拓郎 オフィシャル・データブック』ヤマハミュージックメディア、2014年、68–69頁。ISBN 9784636904413 
  5. ^ a b 「口説いてるんだけどスキがない」吉田拓郎と浅田美代子「離婚」の陰にいた女優/壮絶「芸能スキャンダル会見」秘史
  6. ^ 吉田拓郎 / 情熱 [紙ジャケット仕様]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2022年6月29日閲覧。
  7. ^ a b c d 田家秀樹「Show Business 最前線 JUL. 映画・演劇・音楽情報コーナー 『もはや拓郎は喋らない』」『噂の眞相』1984年1月号、噂の眞相、100頁。 
  8. ^ スージー鈴木. “俺たちニューミュージック世代 俺たちのニューミュージック愛”. 昭和40年男 (クレタパブリッシング) (2022年12月号 vol.76): 10–13. https://www.crete.co.jp/s40otoko/vol_076/. 
  9. ^ 「インタビュー・吉田拓郎 『みんな親の保護から飛び立て!」『月刊明星』1979年8月号、集英社、78頁。 
  10. ^ a b 北中正和吉見佑子平山雄一「HOT SCRAMBLE '83音楽と映画・芝居の総決算!!」『月刊明星』1984年1月1日号、集英社、154頁。 

関連項目

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