マティアス・ドルダラー
マティアス・ドルダラー Mattias Dolderer | |
---|---|
レッドブル・エアレース・パイロットのドルダラー(撮影:ジェイソン・ジャネツキー) | |
生誕 | 1970年9月15日(54歳) |
国籍 | バーデン=ヴュルテンベルク州オクセンハウゼン |
レース経歴 | |
初出場 | 2009年 |
最高順位 | 1位(2016年) |
機体 | ジブコ エッジ540 |
公式サイト | |
matthiasdolderer.com |
マティアス・ドルダラー(Matthias Dolderer、1970年9月15日 - )は、ドイツのプロのレースパイロット[1]。バーデン=ヴュルテンベルク州オクセンハウゼン出身。2009年からレッドブル・エアレース・ワールドシリーズに参戦していた[2]。
経歴
[編集]飛行キャリアの始まり
[編集]ドルダラーはかつて、時速約400kmで飛ぶレッドブル・エアレースの正確な飛行と、車庫に車を駐車することとを比較した。フライト・スクールを営む両親の元で育ち、3歳の時に父親と初めて飛行機に乗り、14歳で単独飛行を果たした。「初めて飛んだ時から、飛ぶことは私の情熱であり、インスピレーションそのものなんだ。私は人生のほとんどをハンガーや飛行場、コックピットで過ごしてきたからね。」と話している。
17歳の時にグライダーとウルトラライトプレーンのライセンスを取得、その翌年にはプライベート・パイロットのライセンスを取得した。その数日後に参加したドイツ選手権で3位入賞を果たした。1988年から1991年には、ドイツ選手権に4度、ヨーロッパ選手権に2度参戦し、世界選手権のウルトラライトプレーンのナショナル・チームのメンバーに選出された。国内チャンピオンになったのを機に、ウルトラライトプレーンのキャリアを終えた
21歳の時、ドイツで最年少のフライトの教官になった。妹のヴェレナ (Verena) と共に、“プロアマ問わず飛行家たちやファンが集う場所を作りたい」という家族の夢を叶えるためにタンハイム飛行場を引き継ぎ、1993年にヨーロッパ最大の飛行イベントフライ・インを開催することで実現した。
1993年から、ヨーロッパ各地のエアショーに参加しており、1年の内、300日ほどを150種以上の飛行機のコックピットで過ごしている。2002年、オーストリアのフライング・ブルズのオフィシャル・パイロットになり、現在も別の機体であるがフライング・ブルズでパフォーマンスをしている[3]。
フロリアン・バーガーはドルダラーのフライト・スクールで曲技飛行の訓練を開始した。
競技型曲技飛行
[編集]2006年、将来的にレッドブル・エアレースのパイロットになりたいとの思いを強くし、競技志向の曲技飛行へ活動の重点を移していった。それから1年後には、曲技飛行世界選手権でアンリミテッド部門に参加した。2008年、厳しいトレーニングを終えた後に大きく飛躍し、曲技飛行のドイツ選手権で優勝し、ワールド・エアロバティック・カップのような国際大会でも上位入賞を果たすようになった。
2008年9月末に、スペイン・カサルビオスで行われたレッドブル・エアレースの予選キャンプに招待され、自らの道を切り開いた。6人の候補者の内、5人が世界選手権出場に必要なスーパーライセンスを取得。最終的にドルダラーも4人のルーキーの1人に残ることが出来た。
レッドブル・エアレースでは「Matthias Dolderer Racing」として活動していた。
2015年までの最高位は3位だったが、2016年、第2戦で初優勝[4]。第4戦ではファイナル4が中止になるという事態が起こったが、2勝目を挙げた[5]。第7戦で3勝目を挙げ[6]、最終戦を前にワールドチャンピオンとなることが決定した[7]。
戦績
[編集]レッドブル・エアレース
[編集]金色 | 銀色 | 銅色 | ポイント圏内完走 | ポイント圏外完走 |
1位 | 2位 | 3位 | 4-11位(2009年・2010年) 4- 8位(2014年・2015年) 4-10位[注 1](2016年 - 2018年) 4-13位(2019年 - [注 2]) |
12位以下(2009年・2010年) 9位以下(2014年・2015年) 11位以下[注 1](2016年 - 2018年) 14位(2019年 - ) |
マティアス・ドルダラー レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ戦績 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開催年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ポイント | 勝利数 | 最終順位 |
2009年 | 11位 1 |
13位 0 |
13位 0 |
5位 7 |
6位 6 |
3位 9 |
23 | 0 | 9位 | ||
2010年 | 7位 5 |
7位 5 |
10位 2 |
5位 7 |
10位 2 |
7位 5 |
26 | 0 | 8位 | ||
2011年から2013年はレース休止 | |||||||||||
2014年 | 6位 3 |
9位 0 |
8位 1 |
11位 0 |
4位 5 |
4位 5 |
3位 7 |
11位 0 |
21 | 0 | 7位 |
2015年 | 9位[9] 0 |
3位[10] 7 |
6位[11][12] 3 |
7位[13][14] 2 |
10位[15] 0 |
6位[16] 3 |
5位[17] 4 |
3位[18] 7 |
26 | 0 | 5位 |
2016年 | 2位[19] 12 |
1位[4] 15 |
8位[20] 3 |
1位[5] 11.25 |
2位[21] 12 |
2位[22] 12 |
1位[6] 15 |
中止[23] |
80.25 | 3 | 1位[7] |
2017年 | 4位[24] 7 |
3位[25] 9 |
4位[26] 7 |
13位[27] 0 |
10位[28] 1 |
8位[29] 3 |
12位[30] 0 |
2位[31] 12 |
39 | 0 | 7位 |
2018年 | 13位[32] 0 |
2位[33] 12 |
8位[34] 3 |
DNS[35] 0 |
13位[36] 0 |
9位[37] 2 |
11位[38] 0 |
13位[39] 0 |
17 | 0 | 12位 |
2019年 | 11位 3 |
DNS 0 |
13位 1 |
12位 2 |
3 | 6 | 14位 |
曲技飛行大会
[編集]開催期間 | 競技名 | 開催場所 | クラス | 順位 | 使用機 | 機体記号 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2006年 | 第46回 ドイツ選手権 | ドイツ タンハイム | Advanced | 8位 | EA-300L | D-EXPS | [40] |
2007年 | 第47回 ドイツ選手権 | ドイツ コッホシュテット | Unlimited | 6位 | EA-300S | N8JX | [41] |
フリースタイル | 4位 | [42] | |||||
2008年 | 第48回 ドイツ選手権 | ドイツ コッホシュテット | Unlimited | 1位 | EA-330SC | D-EXMD | [43] |
フリースタイル | 2位 | [44] | |||||
2008年 7月5日 - 13日 | 第16回 FAI曲技飛行ヨーロッパ選手権 | チェコ フラデツ・クラーロヴェー | Unlimited | 19位 | EA-330SC | D-EXMD | [45] |
その他
[編集]- 1988年 - 1991年
-
- マイクロライトプレーン ドイツ選手権優勝[1]
- 1988年
-
- マイクロライトプレーン ヨーロッパ選手権優勝
- 1990年
-
- マイクロライトプレーン 世界選手権優勝
- 1991年
-
- マイクロライトプレーン ヨーロッパ選手権優勝、ドイツ国内チャンピオン
- 2006年
-
- ドイツ・エアロバティック選手権アドバンスト部門参加
- 2007年
-
- ドイツ・エアロバティック選手権アンリミテッド部門参加
- エアロバティック世界選手権アンリミテッド部門参加
- 2008年
-
- ヨーロッパ・エアロバティック選手権アンリミテッド部門 19位[46]
- エアロバティック・ワールドカップ(チェコ)アンリミテッド部門 2位
- ドイツ・エアロバティック選手権アンリミテッド部門 1位
- ドイツ・エアロバティック選手権 4分間フリースタイル・プログラム 2位
- 2009年のレッドブル・エアレース参戦権を獲得
脚注・出典
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b Dolderer, Matthias. “Matthias Dolderer-Pilot Vita”. 2008年12月13日閲覧。
- ^ “Four Rookie For 2009”. Red Bull Air Race GmbH (2008年11月19日). 2008年12月13日閲覧。
- ^ Red Bull Air Race. “Matthias Dolderer-Pilot Biography”. 2008年12月13日閲覧。
- ^ a b “シュピールベルク決勝:パイロットリアクション”. Red Bull Air Race (2016年4月24日). 2016年4月25日閲覧。
- ^ a b “Dolderer unstoppable in Budapest”. Red Bull Air Race (2016年7月17日). 2016年7月18日閲覧。
- ^ a b “インディアナポリス:決勝レース・リアクション”. Red Bull Air Race (2016年10月2日). 2016年10月3日閲覧。
- ^ a b “インディアナポリス:ドルダラーが優勝&ワールドチャンピオンを達成”. Red Bull Air Race (2016年10月2日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “2019シーズン:ルール&チーム変更詳細”. Red Bull Air Race (2019年1月30日). 2019年2月10日閲覧。
- ^ “Reactions: Race Day from Abu Dhabi”. Red Bull Air Race (2015年2月14日). 2016年2月3日閲覧。
- ^ “ボノムが開幕戦アブダビに続き2連勝!”. Red Bull Air Race (2015年5月17日). 2015年10月11日閲覧。
- ^ “第3戦ロヴィニ:決勝レース終了後パイロットリアクション”. Red Bull Air Race (2015年5月30日). 2015年10月11日閲覧。
- ^ 浅田真樹 (2015年6月2日). “【エアレース】室屋義秀、第3戦で10位もトップ争いへ視界良好”. Web Sportiva. 集英社. 2015年10月11日閲覧。
- ^ “ブダペストはハンネス・アルヒが優勝!”. Red Bull Air Race (2015年7月5日). 2015年10月11日閲覧。
- ^ 浅田真樹 (2015年7月8日). “【エアレース】室屋義秀が強くなったからこそ味わう「勝つことの難しさ」”. Web Sportiva. 集英社. 2015年10月11日閲覧。
- ^ 浅田真樹 (2015年8月19日). “【エアレース】今季初の表彰台獲得。室屋義秀が「さらに上を狙える」根拠”. Web Sportiva. 集英社. 2015年10月11日閲覧。
- ^ “第6戦シュピールベルク:決勝レース後リアクション”. Red Bull Air Race (2015年9月6日). 2015年10月11日閲覧。
- ^ “Bonhomme takes decisive win in Fort Worth”. Red Bull Air Race (2015年9月27日). 2015年10月11日閲覧。
- ^ “第8戦ラスベガス:決勝レース後リアクション”. Red Bull Air Race (2015年10月18日). 2015年10月20日閲覧。
- ^ “アブダビ決勝: パイロットリアクション”. Red Bull Air Race (2016年3月12日). 2016年3月14日閲覧。
- ^ “Muroya celebrates stunning home victory”. Red Bull Air Race (2016年6月5日). 2016年6月5日閲覧。
- ^ “アスコット:決勝レース・リアクション”. Red Bull Air Race (2016年8月14日). 2016年8月15日閲覧。
- ^ “Lausitz 2016: Master Class Race Day reactions”. Red Bull Air Race (2016年9月4日). 2016年9月5日閲覧。
- ^ “NEWS UPDATE: Las Vegas race cancelled due to desert wind”. Red Bull Air Race (2016年10月17日). 2016年10月17日閲覧。
- ^ “アブダビ:ソンカがキャリア初優勝”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月14日閲覧。
- ^ “サンディエゴ:室屋義秀が優勝!”. Red Bull Air Race (2017年4月16日). 2017年4月17日閲覧。
- ^ “千葉:室屋がホームレース2連覇を達成”. Red Bull Air Race (2017年6月4日). 2017年6月4日閲覧。
- ^ “ブダペスト:チャンブリスが優勝 室屋は3位”. Red Bull Air Race (2017年7月2日). 2017年7月3日閲覧。
- ^ “カザン:チャンブリスが2連勝”. Red Bull Air Race (2017年7月23日). 2017年7月24日閲覧。
- ^ “Sonka stuns rivals with Porto win”. Red Bull Air Race (2017年9月3日). 2017年9月4日閲覧。
- ^ “Muroya the master of Lausitz”. Red Bull Air Race (2017年9月17日). 2017年9月18日閲覧。
- ^ “インディアナポリス:室屋が優勝&ワールドチャンピオン獲得”. Red Bull Air Race (2017年10月15日). 2017年10月16日閲覧。
- ^ “2018シーズン開幕戦アブダビ:優勝はグーリアン 室屋は2位”. Red Bull Air Race (2018年2月3日). 2018年2月4日閲覧。
- ^ “Hall has the Edge in Cannes with historic win”. Red Bull Air Race (2018年4月22日). 2018年4月26日閲覧。
- ^ “千葉:マット・ホールが優勝”. Red Bull Air Race (2018年5月27日). 2018年5月28日閲覧。
- ^ “BREAKING NEWS: Dolderer unable to race in Budapest due to illness”. Red Bull Air Race (2018年6月23日). 2018年6月26日閲覧。
- ^ “Sensational scenes in Kazan as Sonka takes dramatic victory”. Red Bull Air Race (2018年8月26日). 2018年8月27日閲覧。
- ^ “ウィーナー・ノイシュタット:決勝レース後 パイロットリアクション”. Red Bull Air Race (2018年9月15日). 2018年9月27日閲覧。
- ^ “Goulian becomes a home race hero in Indy”. Red Bull Air Race (2018年10月7日). 2018年10月8日閲覧。
- ^ “フォートワース:決勝レース後 パイロットリアクション”. Red Bull Air Race (2018年11月18日). 2018年12月3日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Contest Profile - Aerobatic Contest Archive”. Aerobatic Contest Archive. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Combined Results (overall)”. Aerobatic Contest Results Organiser. 2018年6月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- Matthias Dolderer – 公式サイト
- マティアス・ドルダラー (MDolderer) - Facebook
- マティアス・ドルダラー (@md21_racing) - X(旧Twitter)
- マティアス・ドルダラー (@matthiasdolderer) - Instagram
- マティアス・ドルダラー - YouTubeチャンネル
- レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ – 公式サイト
- Air Races
タイトル | ||
---|---|---|
先代 ポール・ボノム (2015) |
レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ チャンピオン 2016 |
次代 室屋義秀 (2017) |