ボーイング軌道飛行試験2
ISSに接近するスターライナー | |
名称 | Boe-OFT 2 |
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任務種別 | 試験飛行 |
運用者 | ボーイング |
COSPAR ID | 2022-055A |
任務期間 | 5日 23時間 55分 |
特性 | |
宇宙機 | スターライナー宇宙船2号 |
宇宙機種別 | スターライナー |
製造者 | ボーイング |
打ち上げ時重量 | 13,000 kg (29,000 lb) |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 2022年5月19日 22:54:47 UTC |
ロケット | アトラスV N22(AV-082) |
打上げ場所 | ケープ・カナベラル、SLC-41 |
打ち上げ請負者 | ユナイテッド・ローンチ・アライアンス |
任務終了 | |
着陸日 | 2022年5月25日 22:49 UTC |
着陸地点 | ホワイトサンズ・ミサイル実験場 |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
傾斜角 | 51.66° |
国際宇宙ステーションのドッキング(捕捉) | |
ドッキング | ハーモニー 前方側 |
ドッキング(捕捉)日 | 2022年5月21日 00:28 UTC |
分離日 | 2022年5月25日 18:36 UTC |
ドッキング時間 | 4日 18時間 8分 |
NASAとEventbriteによるボーイング スターライナー軌道飛行テスト2ミッションパッチの代替 |
COSPAR ID | 2022-055A |
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画像外部リンク | |
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Boeing OFT-2 Mission Patch |
Boe-OFT 2としても知られるボーイング・スターライナー軌道飛行試験2(ボーイングスターライナーきどうひこうしけんに、Boeing Starliner Orbital Flight Test 2)は、CST-100 スターライナー宇宙船のボーイングによる成功しなかった1度目の軌道飛行試験(Boe-OFT)のやり直しである。この無人ミッションはNASAの商業乗員輸送計画の一環として実施された[1]。スターライナー宇宙船2号を使用したOFT-2は2022年5月19日に打ち上げられ、6日後に終了した。スターライナーは2022年5月21日に無事国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。同機はドッキング解除するまで4日間滞在し、2022年5月25日にホワイトサンズ宇宙港に着陸した[2]。
積み荷
[編集]カプセルは、宇宙飛行士と貨物を搭載する将来のミッションを模擬するためにおよそ245 kg (540 lb)の補給品と試験装置を輸送した[3]。貨物の中には歴史的黒人大学の旗とロージー・ザ・リベッターのピンズ、それにEMUの水分吸収パッド16枚が含まれていた[4][5]。
スターライナーには、大部分が食料と船外活動装備からなる250kg近いISS貨物が搭載された。宇宙飛行士はこれらの貨物を取り出し、その代わりに272kgの窒素酸素差重点タンクを地上に戻すために積み込んだ。このタンクは地上に戻ったのちに改修され、その後再び飛行することになる。
スターライナーには人型試験装置(ATD)のロージー(「ロージー・ザ・ロケッティア」とも)の2回目のフライトとして再び搭載された。また、Kerbal Space ProgramのキャラクターのJebediah KermanがゼロGインジケーターとして搭載された[6]。
ミッション
[編集]2019年12月に行われたスターライナーの最初飛行であるOFTはソフトウェアの問題によって宇宙ステーションとのランデヴーに失敗した。ボーイングとNASAは、この宇宙船システムでのさらなる無人飛行試験を行うことで合意した。当初からの費用固定型契約の一部として、このフライトの費用はボーイングが負担し、ボーイングの自己負担額は4億1000万ドルと推定されている[7][8]。このミッションでは、当初Boe-CFT有人飛行試験で使用する予定だったハードウェア、スターライナー宇宙船およびアトラスVロケットの使用が計画された[9]。
AV-082の識別コードが与えられた2機目のアトラスV N22がスターライナー宇宙船を国際宇宙ステーションへの2回目の無人試験飛行のために打ち上げた。カプセルは、ボーイング有人飛行試験に向けてISSにドッキングし、その後軌道上での慣らし飛行を終えたのちに地球に帰還してアメリカ合衆国西部に着陸した[9]。
OFT-2はアトラスVにとって2回目となるペイロードフェアリングなしでのフライトであるとともに、デュアルエンジン・セントール 第二段を使用した2回目のフライトでもあった。デュアルエンジン・セントールは2基のRL-10を使用し、スターライナーの飛行での打ち上げ軌道を提供するために求められるミッションの時点でも安全に中止する能力を有している[10]。
ボーイングはOFT-1フライトの後でスターライナーのドッキングシステムを設計変更し、カプセルが炎上しながら大気圏を降下する際の保護を強化するために、使い捨てノーズコーンの下にスペースX ドラゴン2のオーズコーンで使用されていたのと同様のヒンジ付きの再突入カバーを追加した。このシステムはOFT-2ミッションでテストされた[11][12]。このフライトは、ドラゴン2のドッキング機構がスペースX自身によって設計されていたことから、NASAドッキング機構が商業宇宙船で使用される初めてのフライトでもあった[13]。
打ち上げの遅延
[編集]2020年12月9日に、NASAとボーイングは2021年3月29日がOFT-2ミッションの目標打ち上げ日であることを発表した[14][11]。2020年12月16日、ボーイングは軌道飛行試験2の公式ミッションパッチを公開した[15][16][17]。2021年1月18日、ボーイングおよびNASAはOFT-2ミッションに向けてスターライナー宇宙船のソフトウェアの再検証を完了したと発表した[18][11]。2021年2月に、打ち上げ日が2021年3月25日、4月2日、そして4月中頃へとシフトした。2021年4月中には打ち上げ予定は2021年8月ないし9月であり、詳細な日時は未定となった[19]。2021年5月に打ち上げは2021年7月30日予定とされた。
OFT-2の打ち上げに先立って、Crew-2ミッションでISSのハーモニー 前方側ポートにドッキングしていたクルードラゴン・エンデバーが2021年7月21日 10:45 UTCにドッキング解除し、11:35 UTCにハーモニー 天頂側ポートに再ドッキングした[20]。OFT-2の打ち上げは2021年7月30日 18:53:32 UTCに予定された[21]。2021年7月27日、NASA、ボーイングおよびULAは当ミッションの飛行準備完了確認審査(FDR)を完了した。
2021年7月29日、打ち上げの準備作業がケープカナベラル宇宙軍施設第41発射施設で進められていた。スターライナーを搭載したアトラスVは垂直統合施設(VIF)から打ち上げパッドに出てきたばかりだった。まったく別のミッションでナウカモジュールが朝早くに宇宙ステーションにドッキングしていたが、ナウカのスラスターが予定外の噴射を行って深刻な異常が発生したために、この事態が収拾されるまではOFT-2がドッキングすることができなくなった。アトラスVは即座にVIFに戻され、打ち上げは2021年8月3日 17:20:18 UTCまで延期された。
2021年8月 バルブ故障
[編集]アトラスVは2021年8月2日に再び引き出された。8月3日の打ち上げの試みはスターライナーの推進システムの技術的問題が発生し、さらに24時間のリサイクルが必要となったに中止され、打ち上げの予定は2021年8月4日 16:57 UTCに変更された[22]。スターライナーの推進システムで想定外のバルブ位置が表示されたため、技術チームがこの問題を調査するために打ち上げはさらに8月後半にまで延期された。その結果、アトラスVは更なる試験のためにVIFに引き戻された[23]。2021年8月13日、ボーイングは13個の推進システムバルブのより深いレベルの問題解決のために宇宙船を商業乗員および貨物処理施設に戻すことを決定したため、打ち上げは翌年に持ち越しとなった[1]。問題の分析と修正に時間が必要だったため、打ち上げは発射施設が再び利用可能になる2022年5月まで延期された[24]。
再打ち上げの試み
[編集]ユナイテッド・ローンチ・アライアンスの垂直統合施設でのロケットの組み立てが完了したのちに、2022年5月19日の22:54 UTCに打ち上げが行われ、ミッション開始31分後に軌道投入燃焼を完了した。この燃焼中、サービスモジュールの12個のスラスターのうち2個のOMACスラスターが点火直後に故障したが、船内の飛行制御システムが予備のスラスターに切り替えて燃焼を正常に完了し、スターライナーは良好な軌道に到達した[25]。ミッション開始後26時間34分後に、スターライナーは1回目のドッキングの試みで暫定的ドッキング状態(ソフトキャプチャー)に到達した[26]。その20分後に宇宙船は確定的ドッキング(ハードキャプチャー)を達成した。ドッキングは、NDSドッキングインターフェースのリングクランプを引っ込めて再度伸ばす必要があったため、予定から約1時間遅れて行われた[27]。5月21日 16:04 UTC、初めてハッチが開放された。5月24日 19:00 UTCに出発準備のためにハッチが閉鎖された。5月25日 18:36 UTC、スターライナーはISSからドッキング解除し、22:49 UTCにニューメキシコ州ホワイトサンズへの着陸に成功した[28]。
ギャラリー
[編集]-
垂直統合施設から打ち上げパッドに引き出されるCST-100 スターライナー宇宙船とアトラスVロケット
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アトラスVで打ち上げられるOFT-2
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ISSに接近するスターライナー
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同時にハーモニーモジュールのポートにドッキングしたどちらも商業有人宇宙船であるクルードラゴンとスターライナーが
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商業乗員輸送計画の宇宙船であるスターライナーとドラゴン
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スターライナーを見守るNASAの宇宙飛行士チェル・リンドグレンとボブ・ハインズ
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ニューメキシコ州ホワイトサンズに着陸するスターライナー
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着陸後のスターライナー
関連項目
[編集]- Crew Dragon Demo-1、クルードラゴンを使用した、スペースXの初の(無人)軌道飛行ミッション
脚注
[編集]- ^ a b "Starliner Returning to Factory to Resolve Valve Issue" (Press release). Boeing. 13 August 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月13日閲覧。
- ^ Clark, Stephen (22 June 2021). “Starliner capsule fueled for unpiloted test flight to International Space Station”. Spaceflight Now. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 23 June 2021閲覧。
- ^ Graham, William (3 August 2021). “Atlas V's launch of Starliner OFT-2 test flight delayed”. NASASpaceflight.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 5 August 2021閲覧。
- ^ Pearlman, Robert Z. (17 June 2021). “HBCU flags and 'Rosie' coins among Boeing Starliner OFT-2 cargo”. Space.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 20 June 2021閲覧。
- ^ Foust, Jeff (18 May 2022). “NASA puts ISS spacewalks on hold to investigate water leak”. SpaceNews 19 May 2022閲覧。
- ^ @BoeingSpace (2022年5月21日). "@NASA_Astronauts open Starliner's hatch on @Space_Station for the first time and welcome #RosieTheRocketeer and Jebediah Kerman". 2022年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2024年5月2日閲覧。
- ^ Roulette, Joey (28 July 2021). “After years of turmoil, Boeing's starliner capsule is set for a do-over”. The Verge. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。
- ^ Foust, Jeff (6 April 2020). “Boeing to fly second Starliner uncrewed test flight”. SpaceNews
- ^ a b Burghardt, Thomas (7 July 2020). “NASA and Boeing Complete Starliner Orbital Flight Test Investigation”. NASASpaceflight.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 10 August 2020閲覧。
- ^ Gebhardt, Chris (21 November 2019). “Starliner arrives at launch pad in major pre-flight milestone”. NASASpaceflight.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 17 December 2019閲覧。
- ^ a b c Clark, Stephen (18 January 2021). “Boeing making progress on Starliner software for test flight in March”. Spaceflight Now. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 18 January 2021閲覧。
- ^ Clark, Stephen (25 August 2020). “Boeing plans second Starliner test flight in December 2020 or January 2021”. Spaceflight Now. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 26 August 2020閲覧。
- ^ Sesnic, Trevor (11 May 2022). “Boeing, NASA teams give Starliner final go for OFT-2 mission”. NASASpaceflight.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 12 May 2022閲覧。
- ^ "NASA and Boeing Target New Launch Date for Next Starliner Flight Test" (Press release). Boeing. 9 December 2020. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月9日閲覧。
- ^ "A significant symbol for Starliner: Program's newest flight test patch revealed" (Press release). Boeing. 16 December 2020. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月18日閲覧。
- ^ Pearlman, Robert Z. (17 December 2020). “Boeing reveals mission patch for second Starliner orbital flight test”. Space.com. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 18 January 2021閲覧。
- ^ Hall, Zac (16 December 2020). “Boeing unveils "personal" OFT-2 mission patch ahead of next Starliner spacecraft orbital flight test”. Space Explored. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 18 January 2021閲覧。
- ^ "Boeing Completes Software Qualification for Second Starliner Test Flight" (Press release). Boeing. 18 January 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月18日閲覧。
- ^ "NASA and Boeing Targeting August/September for Starliner's Uncrewed Orbital Flight Test-2 Launch" (Press release). Boeing. 17 April 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月17日閲覧。
- ^ Potter, Sean (15 July 2021). "NASA TV to Air Crew Dragon Port Relocation on Space Station" (Press release). NASA. M21-082. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月16日閲覧。 この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
- ^ "Boeing and NASA Update Launch Target for Next Starliner Test Flight" (Press release). Boeing. 6 May 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月6日閲覧。
- ^ "NASA-Boeing to Delay Starliner Launch" (Press release). Boeing. 3 August 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月3日閲覧。
- ^ "ULA, Boeing Update Schedule To Move Starliner, Atlas V To Vertical Integration Facility" (Press release). Boeing. 4 August 2021. 2022年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月5日閲覧。
- ^ Sheetz, Michael (13 August 2021). “Boeing delays test flight of Starliner crew spacecraft for at least two months after valve problems”. CNBC. オリジナルの17 May 2022時点におけるアーカイブ。 13 August 2021閲覧。
- ^ “Boeing's Starliner encounters propulsion problems on way to ISS”. INQUIRER.net. Agence France-Presse. (20 May 2022). オリジナルの23 May 2022時点におけるアーカイブ。
- ^ "Starliner Docks to the International Space Station for the First Time" (Press release). Boeing. 20 May 2022. 2022年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月21日閲覧。
- ^ Foust, Jeff (20 May 2022). “Starliner docks with ISS for the first time” 21 May 2022閲覧。
- ^ Potter, Sean (26 May 2022). "NASA, Boeing Complete Starliner Uncrewed Flight Test to Space Station" (Press release). NASA. 22-050. 2022年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月27日閲覧。