Portal:法学/ニュース/過去ログ
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Portal:法学/ニュース/過去ログは、Portal:法学の「法学関連のニュース・ニュースの中の法律用語」の項に関する過去ログを保存している。掲載された過去の記事につき月単位にて再編成してある。
2017年2月
[編集]- (法律)2月27日 - 衆参両院正副議長、天皇の生前退位のための制度整備について各政党・会派代表者が協議するための全体会議を3月上旬にも開催する方針。
- (法律)2月27日 - 自民党、フィンテック推進のための銀行法改正案を閣議決定したい意向を示す。
- (裁判)2月27日 - 名古屋地裁、ラーメン店での強盗殺人事件で元従業員に無期懲役判決。
- (裁判)2月27日 - 千葉地裁、教会に立てこもりカウンセラーの女性らに傷害を負わせた罪で男に懲役5年の判決。
- (裁判)2月24日 - 静岡地裁、野焼き作業中の死亡事故で責任者らに業務上過失致死の罪で有罪判決。
- (事件)2月21日 - 文部科学省、国家公務員の天下りに関し新たに17事案で違法行為の存在を確認。
- (法律)2月21日 - 政府、強姦罪を「強制性交等罪」とする刑法の改正法案を閣議決定する方針。男性被害者を対象に含め、法定刑を引き上げ、非親告罪化することが狙い。
- (裁判)2月20日 - 東京地裁、ウェブサイト運営者に対する、サイト上の中傷記事削除要請は本人または代理人弁護士にしか行えず、代行は弁護士法違反となるとの判決。
- (裁判)2月20日 - エジプトで、2012年に発生したプロサッカーの試合でのサポーター衝突事件において、計画的に相手チームサポーターを殺害した10名に死刑判決。
- (裁判)2月17日 - 東京地裁(裁判員裁判)、控訴審で破棄差し戻しとなった覚せい剤取締法等違反事件で、シンガポール人被告に対し無罪判決。
- (法律)2月11日 - 文化庁、書籍の全文検索サービスにおいて著作権者の同意を不要とする著作権法改正の方針を固める。
2015年4月
[編集]- (法律)4月14日 - 都市農業の振興と、安定的継続を図り、良好な都市環境の形成に資することを目的とする都市農業振興基本法が成立した。
- (法律)4月14日 - 改正在外公館法が成立し、グルジアの国名表記がジョージアに改められた。
- (裁判)4月9日 - 責任を弁識する能力のない未成年者が他人に損害を加えた場合において,その親権者がb:民法第714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったとはいえない。
2015年3月
[編集]- (ニュース)3月28日 - 最高裁判所と法務省は、司法試験の合格率が低い法科大学院に平成27年度から教員として裁判官・検察官を派遣しないことを決めた。24校のうち17校は募集停止しているか募集停止を予定している。法科大学院は既に24校が募集停止しているか募集停止を決めており、再編がさらに加速することが予想される。
- (裁判)3月27日 - 条例で、入居者が暴力団員であることを理由として、市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定めることは、憲法14条1項及び22条1項に違反しない。
- (裁判)3月24日 - 別件で刑事施設に収容されている再審請求人の届出住居に宛てて行った同人に対する再審請求棄却決定謄本の付郵便送達は有効である。
- (裁判)3月24日 - 競馬の当たり馬券の払戻金は所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たり、また外れ馬券の購入代金について雑所得である当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができる。
2009年6月
[編集]- (裁判)6月26日 - 入学許可の仮の義務付け[broken anchor] - 行政事件訴訟法#義務付けの訴え
- (法律)6月18日 - 臓器移植法改正案衆院可決 - 人の終期、脳死
- (事件)6月13日 - 岡山駅突き落とし殺人 - 殺人罪、少年法、不定期刑
- (事件)6月13日 - 拉致被害者失踪宣告取消し - 失踪宣告、民法、戸籍
- (裁判)6月4日 - 足利事件 - 再審請求、無期懲役、無罪、冤罪
- (判例)6月2日 - 最高裁第三小法廷判決 - 商法676条2項の規定は、生命保険金の被保険者と受取人の死亡の前後が明らかでなく、民法32条の2の規定によって同時死亡が推定される場合にも類推適用されるべきものであり、この場合、受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者(すなわち、被保険者自身)またはその相続人は、同項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には当たらないと解すべきとした事例(最高裁判所判例検索システム)。
2009年5月
[編集]- (社会)5月23日 - ウィキペディアライセンス変更 - 著作権、GNU Free Documentation License、クリエイティブ・コモンズ
- (法律)5月21日 - 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律施行 - 裁判員制度、刑事訴訟法、公判前整理手続、司法制度改革
- (事故)5月21日 - 明石花火大会歩道橋事故、検察審査会に3回目の審査申し立て - 業務上過失致死傷罪、書類送検、起訴、神戸地方検察庁、検察審査会法
- (裁判)5月15日 - 福岡飲酒運転事故福岡高裁判決 - 危険運転致死傷罪、業務上過失致死傷罪、道路交通法、飲酒運転、ひき逃げ
2009年4月
[編集]- (裁判)4月30日 - 横浜事件 - 再審、免訴、刑事補償、治安維持法
- (判例)4月28日 - 最高裁第三小法廷判決 - 殺害行為から約26年後に自首した加害者が、被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、相続人が確定しないまま殺害の時から20年が経過した場合において、その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法160条の法意に照らし、同法724条後段の効果(除斥期間による損害賠償請求権の消滅)は生じないとした事例。(最高裁判所判例検索システム)
2008年10月
[編集]- (新判例)10月24日付-最高裁第二小法廷判決-都民税の法人税割について、税務署の決定に基づき都民税を申告納付した後に日独租税条約に基づく相互協議の結果により法人税額が減額更正され都民税について過納金が生じた場合において、納税者に過納金を生じさせた帰責事由がなく、そのまま放置して都民税について決定を受けたほうが利益を受けるという不合理な結果になるとして、その還付に際して加算すべき還付加算金の算定の起算日が、地方税法(平成14年法律第80号による改正前のもの)17条の4第1項1号の場合と同様に、納付の日の翌日であると解された事例。
- (人事)10月21日付-最高裁判事に竹内行夫が就任した。
- (新判例)10月16日付-最高裁第一小法廷決定-危険運転致死傷罪の構成要件である赤色信号を「殊更に無視し」とはおよそ赤色信号に従う意思のないものをいい、赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても、信号の規制自体に従うつもりがないため、その表示を意に介することなく、たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も、これに含まれる。
- (新判例)10月10日付-最高裁第二小法廷判決-20歳前障害基礎年金の支給要件を定めた国民年金法30条の4にいう「その初診日において20歳未満であった者」とは、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師等の診療を受けた日において20歳未満であった者をいうものであり、統合失調症発症から医師の診療を受けるに至るまでの期間が長期化しがちであるという特質があることなどを理由として、統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において20歳未満であったことが、医師の事後的診断等により医学的に確認できた者については、初診日要件を満たすものと解することはできない。
- (新判例)10月10日付-最高裁第二小法廷判決-振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合においても受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては、払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって、詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど、これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは、権利の濫用に当たるとしても、受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは、権利の濫用に当たるということはできない。
- (新判例)10月7日付-最高裁第三小法廷判決-交通事故の加害者が被害者に賠償すべき人的損害の額の算定にあたり、被害者の父が被害者を対象者に含む人身傷害補償条項のある自動車保険契約を締結し保険金が支払われた場合に、代位に関する条項があったとしても、それだけでは、当然に保険会社が保険金額に対応する被害者の損害賠償請求権を代位取得するとはいえず、被害者の損害額から被害者の過失割合による減額をし、その残額から本件傷害保険金の金額を控除することもできないとされた事例。
- (新判例)10月3日付-最高裁第二小法廷判決-都市公園法に違反し、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいる者について、テントの所在地に住所があると認められなかった事例。-ホームレス、住民票
2008年9月
[編集]- (新判例)9月30日付-最高裁第一小法廷決定-警察官が私費で購入したノートに記載した取調べメモについて、犯行の捜査の過程で作成され、公務員が職務上現に保管し、かつ、検察官において入手が容易なものに該当し、また、弁護人の主張と本件メモとの間に一定の関連性を認めることができ証拠開示を求める必要性もこれを肯認することができないではないなどとして、捜査メモの証拠開示を認めた事例。-公判前整理手続
- (人事)9月24日付-法務大臣に森英介が就任した。
- (新判例)9月16日付-最高裁第三小法廷判決-減価償却資産は法人の事業に供され、その用途に応じた本来の機能を発揮することによって収益の獲得に寄与するものと解されるところ、PHS事業者が大量に保有するエントランス回線利用権は、1回線をもってその本来の機能を発揮し収益に寄与しうるとして、エントランス回線1回線に係る権利1つをもって、1つの減価償却資産とみることができ、1回線7万2800円で取得したといえるから取得価額が10万円未満のものである法人税法施行令133条でいう少額減価償却資産として即時償却できるとされた事例。
- (新判例)9月12日付-最高裁第二小法廷判決-法人税法が、公益法人等の所得のうち収益事業から生じた所得について、同種の事業を行うその他の内国法人との競争条件の平等を図り、課税の公平を確保するなどの観点からこれを課税の対象としていることにかんがみれば宗教法人の行うペット葬祭業が法人税法施行令5条1項10号の請負業等に該当するか否かについては、事業に伴う財貨の移転が役務等の対価の支払として行われる性質のものか,それとも役務等の対価でなく喜捨等の性格を有するものか、また、当該事業が宗教法人以外の法人の一般的に行う事業と競合するものか否か等の観点を踏まえた上で、当該事業の目的、内容、態様等の諸事情を社会通念に照らして総合的に検討して判断するのが相当である。宗教法人の行うペット葬祭業が、料金が定められ、その目的、内容、料金の定め方、周知方法等の諸点において、宗教法人以外の法人が一般的に行う同種の事業と基本的に異なるものとはいえないとして法人税法施行令5条1項1号、9号及び10号に規定する事業に該当し、法人税法2条13号の収益事業に当たるとされた事例。
- (新判例)9月12日付-最高裁第二小法廷判決-Xの友人Aが、Xの父親Bの所有する自動車を運転して交通事故を起こしてXが傷害を負った事件で、BがXに対して自動車を運転することを許容されていた中で、Xが実家からバー(酒場)まで車を運転し、バーでAと共に飲酒しXが泥酔し、AがXを自動車の助手席に寝かせて実家に送り届ける途中で事故が生じた場合において、BはAと面識がなく、Aという人物の存在すら認識していなかったとしても、本件運行は、Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり、Bは、客観的外形的に見て、本件運行について、自動車損害賠償保障法3条の運行供用者に当たるとされた事例。-交通事故
- (人事)9月11日付-最高裁判所判事に桜井龍子が就任した。
- (ニュース)9月11日付-新司法試験の合格者が発表され、2065人が合格し合格率は33%であった。
- (新判例)9月10日付-最高裁大法廷判決-市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たり、取消訴訟の対象となる。最高裁1966年2月23日大法廷判決及び最高裁1992年10月6日第三小法廷判決は変更する。
- (新判例)9月8日付-最高裁第二小法廷判決-土人形を指定商品とする商標「つつみのおひなっこや」と商標「つゝみ」「堤」の類否を判断するに当たって、「つつみ」のの文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできず、また、上記「つつみ」の文字部分が、審決当時、本件指定商品の取引者や需要者に対し後者の商標の商標権者が本件指定商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったということはできず、さらに、「おひなっこや」の文字部分については、これに接した全国の本件指定商品の取引者、需要者は新たに造られた言葉として理解するのが通常であると考えられ自他商品を識別する機能がないということはできないなどの理由で、「つつみ」の文字部分を取り出して判断することは許されず、構成部分全体を対比するのが相当であるとして、類似性を否定した事例。-登録商標、日本の商標制度、堤焼
- (人事)9月3日付-最高裁判所判事に宮川光治が就任した。
2008年8月
[編集]- (新判例)8月27日付-最高裁第二小法廷決定-火災原因の調査、判定に関して特別の学識経験を有する私人が作成した燃焼実験の報告書について、刑事訴訟法312条3項に基づいて証拠能力を認めることはできないが、学識経験に基づいて燃焼実験を行い、その考察結果を報告したものであって、かつ、その作成の真正についても立証されていると認められるとして同条4項に基づいて証拠能力を認めた事例。-伝聞証拠禁止の原則
- (人事)8月2日付-法務大臣に保岡興治が就任した。2度目の就任。
2008年7月
[編集]- (ニュース)7月18日付-日弁連が法曹人口問題に関する緊急提言を採択し、2010年頃に合格者3000人程度にするという数値目標にとらわれることなく、慎重かつ厳格な審議がなされるべきとして、当面の法曹人口増員のペースダウンを求める方針を打ち出した。-司法試験
- (新判例)7月18日付-最高裁第二小法廷決定-地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され、被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合においても、当該訴訟を簡易裁判所に移送すべきか否かは、訴訟の著しい遅滞を避けるためや、当事者間の衡平を図るという観点(民事訴訟法17条参照)からのみではなく、同法16条2項の規定の趣旨にかんがみ、広く当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点から判断されるべきものであり、簡易裁判所への移送の申立てを却下する旨の判断は、地方裁判所の合理的な裁量にゆだねられており、裁量の逸脱、濫用と認められる特段の事情がある場合を除き、違法ということはできない。簡易裁判所の管轄が専属的管轄の合意によって生じた場合であっても同様である。
- (新判例)7月18日付-最高裁第二小法廷判決-1998年3月期決算時において、銀行が関連ノンバンクに対する貸出金について従来の基準にしたがって償却、引当などを行わなかったとしても、1998年3月期決算から適用されるとされた改正後の新たな通達等の内容が具体性、定量性に欠け、関連ノンバンクに対する貸出金についても従来の基準を変更して償却、引当を要求するか不明確であったなどとして、従来の基準にしたがって計算書類を作成しても旧商法32条2項(現会社法431条)にいう「公正ナル会計慣行」に反するものではないとして、これに基づき有価証券報告書を提出し配当を行ったとしても虚偽記載有価証券報告書提出罪及び違法配当罪は成立しないとされた事例。-日本長期信用銀行
- (新判例)7月17日付-最高裁第一小法廷判決-入会集団の一部の構成員は、訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え構成員全員が訴訟当事者となる形式で、第三者に対して入会権の確認の訴えの提起をすることができる。-固有必要的共同訴訟
- (新判例)7月11日付-最高裁第三小法廷決定-強盗致傷事件に関する少年審判において、第1次抗告審が非行事実認定の主たる証拠とした少年の自白や共犯者とされた者の自白の信用性を否定し、第1次審判決定において重大な事実誤認の疑いがあるとして差し戻した場合において、第2次審判において検察官が取調べを請求した証拠を取り調べなかったことが、第1次審判においてこれと類似する証拠が既に取り調べられていたなどの事情の下で取調べを行わなかったのは合理的な裁量の範囲内であり、受差戻審は、新たな証拠調べを行わない以上、第1次抗告審決定が示した消極的否定的判断に拘束されることとなるから、非行なしとして少年を保護処分に付さなかった第2次家裁決定に法令違反は認められないとされた事例。-少年法、少年保護手続、大阪地裁所長襲撃事件
- (新判例)7月10日付-最高裁第一小法廷判決-違法な仮差押命令により損害を被ったとして不法行為に基づく損害賠償として、土地の買収が遅れたことにより買収金の遅延損害金相当額の賠償を求めた訴訟で、前事件反訴において違法な仮差押命令による弁護士費用相当額についての請求が認められ確定していた事案で、前訴で原告が本件仮差押命令の申立ては、被告らによる買収金の受領を妨害する不法行為であると主張していたことから、原告は、既に前事件において、違法な本件仮差押命令の申立てによって本件弁護士費用損害のほかに本件買収金の受領が妨害されることによる損害が発生していることをも主張していたものということができ、弁護士費用損害と遅延金損害とは、実質的な発生事由を異にする別種の損害といえ、遅延金損害額も前訴係属時には確定せず、被告は弁護士費用以外の損害も発生していることを認識しえたから、前事件反訴においては、本件仮差押命令の申立ての違法を理由とする損害賠償請求権の一部である本件弁護士費用損害についての賠償請求権についてのみ判決を求める旨が明示されていたものと解すべきであり、本件遅延金損害について賠償を請求する本件訴訟には前事件の確定判決の既判力は及ばないものとされた事例。-既判力
- (新判例)7月10日付-最高裁第一小法廷判決-特許異議申立事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合、特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正については、訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであり、一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に適合しないことのみを理由として、他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されない。-日本の特許法における手続の補正
- (新判例)7月4日付-最高裁第二小法廷判決-Aが運転しBが同乗していた自動二輪車が、Aらの暴走行為を停止させようとして進路上に停車していたパトカーに衝突し、Bが死亡した事故で、AとBは自動二輪車を交代して運転しながら暴走行為を繰り返しパトカーを発見してこれから逃れるため制限速度を大きく超過して運転するなどの事情の下で、AとBは共同暴走行為の一環を成すといえ、パトカーの運転供用者との関係でAの過失もBの過失として考慮して民法722条2項に基づく過失相殺をすべきとされた事例。
- (新判例)7月4日付-最高裁第二小法廷判決-コンビニエンス・ストアのフランチャイザーに加盟店に対し、フランチャイザーが加盟店に代わって支払った商品支払代金の具体的内容について報告(以下「本件報告義務」)をすることが困難でなく、本件委託契約が利息償還請求権(民法650条)や報酬請求権(商法512条)がないとしてもこれはフランチャイザーが仕入代金を加盟店の売上金の管理等をする一元的な決済システムにより決済されることに伴う結果によるものでフランチャイザーも利益を得ているとして、準委任契約に基づく受任者の報告義務(民法656条、645条)に基づく本件報告義務が認められた事例-フランチャイズ
- (人事)7月1日付-検事総長に樋渡利秋前東京高検検事長が就任した。
2008年6月
[編集]- (新判例)6月25日付-最高裁第一小法廷決定-第一暴行と第二暴行の間に時間的、場所的に連続しているが侵害者による侵害の継続性や被告人の防衛の意思の有無の点で断絶があるとして、両者を一体と見て過剰防衛とすることなく、第一暴行には正当防衛を認めたが、第二暴行には正当防衛はもとより過剰防衛を論ずる余地はないとされた事例。
- (新判例)6月25日付-最高裁第三小法廷決定-犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であって、捜査の経過その他参考となるべき事項が記録され、捜査機関において保管されている書面は、当該事件の公判審理において、当該捜査状況に関する証拠調べが行われる場合、証拠開示の対象となり得る。警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象となるものであるか否かの判断は、裁判所が行うべきものであるから、裁判所は、その判断をするために必要があると認めるときは、検察官に対し、同メモの提示を命ずることができる。検察官がこの提示命令に応じなかった場合、メモの開示を命じることは違法でない。
- (新判例)6月24日付-最高裁第二小法廷決定-訴訟関係人のする刑事確定訴訟記録法に基づく保管記録の閲覧請求であっても、それが権利の濫用に当たる場合には許されない。同法6条の規定に照らすと、関係人の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされた閲覧請求は、権利の濫用として許されない。
- (新判例)6月24日付-最高裁第三小法廷判決-米国債の購入資金に充てるとして騙取した金員についての不法行為に基づく損害賠償にあたって、被害者が仮装配当金を受領した場合でも、民法708条の趣旨に照らし仮装配当金分を損益相殺ないし損益相殺的調整として控除することが許されないとされた事例。-不当利得
- (新判例)6月18日付-最高裁第三小法廷決定-妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴、妄想等に基づいて行為を行った行為が心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律2条2項の対象行為に該当するかどうかの判断は対象者が幻聴、妄想等により認識した内容に基づいて行うべきでなく、対象者の行為を当時の状況の下で外形的、客観的に考察し、心神喪失の状態にない者が同じ行為を行ったとすれば、主観的要素を含め、対象行為を犯したと評価することができる行為であると認められるかどうかの観点から行うべきであり、これが肯定されるときは、対象者は対象行為を行ったと認定することができる。
- (新判例)6月12日付-最高裁第一小法廷判決-放送法3条等の規定の趣旨は、放送事業者による放送は、国民の知る権利に奉仕するものとして表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあることを法律上明らかにするとともに、放送事業者による放送が公共の福祉に適合するように番組の編集に当たって遵守すべき事項を定め、これに基づいて放送事業者が自ら定めた番組基準に従って番組の編集が行われるという番組編集の自律性について規定したものと解される。放送事業者又は制作業者から素材収集のための取材を受けた取材対象者が、取材担当者の言動等によって、当該取材で得られた素材が一定の内容、方法により放送に使用されるものと期待し、あるいは信頼したとしても、その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならない。当該取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において、取材担当者が、そのことを認識した上で、取材対象者に対し、取材で得た素材について、必ず一定の内容、方法により番組中で取り上げる旨説明し、その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときで、結果として放送された番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合には、当該番組の種類、性質やその後の事情の変化等の諸般の事情により、当該番組において上記素材が上記説明のとおりに取り上げられなかったこともやむを得ないといえるようなときは別として、放送事業者や制作業者に不法行為責任が認められる余地がある。放送事業者や制作業者と取材対象者との間に番組内容について説明する旨の合意が存するとか、取材担当者が取材対象者に番組内容を説明することを約束したというような特段の事情がない限り、放送事業者や制作業者に番組の編集の段階で本件番組の趣旨、内容が変更されたことを原告に説明すべき法的な説明義務が認められる余地はない。-NHK番組改変問題
- (新判例)6月10日付-最高裁第三小法廷判決-会社が不法行為責任を負うとしても、代表取締役個人の不法行為責任を免れさせるものではない。採石権侵害の損害賠償請求事件において、一定の土地について和解がなされ和解後は加害者側に採石権を認めるが、和解前の損害賠償請求については妨げない旨の和解がなされ、その一定の土地が被害者に採石権を有していた場合で、加害者が一定の土地における和解前と和解後の採石量が明確に区分できず、損害額の立証が極めて困難であったとしても、民事訴訟法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、相当な損害額が認定されなければならず、損害を発生することを前提に損害額が不明なことを理由に原告の請求を棄却することは許されないとされた事例。
- (新判例)6月10日付-最高裁第三小法廷判決-反倫理的行為に該当する不法行為の被害者が、これによって損害を被るとともに、当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には、同利益については、加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく、被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも、民法708条の趣旨に反するものとして許されない。ヤミ金融業者が著しく高額な利率で被害者から違法な金員の交付を受ける目的で貸し付けた場合、反倫理的行為に当たるとして、元金相当額の損益相殺ないし損益相殺的な調整として被害者の損害から控除することは許されないとされた事例。-五菱会
- (新判例)6月10日付-最高裁第三小法廷判決-預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において、ゴルフ場の事業が譲渡され、譲渡会社が用いていたゴルフクラブの名称を譲受会社が引き続き使用しているときには、譲受会社が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り、譲受会社は、会社法22条1項の類推適用により、当該ゴルフクラブの会員が譲渡会社に交付した預託金の返還義務を負うものと解され、このことは、ゴルフ場の事業が譲渡された場合だけではなく、会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継された場合にも同様に妥当する。単に、会社分割された会社が会員に対し株主会員制に移行し、新会社の株式に転換するよう求めた書面を送付するのみでは上記特段の事情にあたらないとされた事例。-事業譲渡、ゴルフ会員権、名板貸
- (新判例)6月4日付-最高裁大法廷判決-国籍法3条1項が、日本国民である父と外国人である母の間で生まれた後に認知されたのみの子には国籍の取得を認めず、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合のみ届出により日本国籍の取得を認めるのと比較して、国籍の取得に関し著しく不利益な差別的取扱いを生じさせており立法目的のと間で合理的関連性がなく、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する。日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは、同項に基づいて日本国籍を取得することが認められる。-国籍法3条1項違憲訴訟
2008年5月
[編集]- (新法)5月30日付-保険法が成立した。医療保険などの第三分野保険の規定が新設されるなどの改正。-保険
- (新判例)5月20日付-最高裁第二小法廷決定-相手方から攻撃されるのに先立ち、被告人が相手方に暴行を加え、その反撃として被告人が相手方に暴行を加えた事例で被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえるから、相手方の暴行が被告人の暴行を大きく越えるものでないなどの事実関係で被告人において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないとして正当防衛が否定された事例。
- (新判例)5月19日付-最高裁第一小法廷決定-銀行の頭取らがした融資の特別背任行為につき、銀行の頭取らがした融資が銀行の頭取としての任務に違背し銀行に損害を与えることを十分認識した上で、融資の申込みをしたにとどまらず、融資の前提となる再生スキームを提案し、担保価値を大幅に水増しした不動産評価鑑定書を作成させるなど本件融資の実現に積極的に加担したものであり、頭取らの特別背任行為に積極的に加功したものとして、融資先の会社の実質的経営者に身分なき共犯としての特別背任罪の共同正犯を肯定した事例。-石川銀行
- (新判例)5月8日付-最高裁第三小法廷決定-婚姻費用の分担に関する処分の家事審判に対する即時抗告審で、相手方に不利益に変更する際に、抗告状及び抗告理由書の副本を送付しなくても裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反しない。-離婚
2008年4月
[編集]- (新判例)4月25日付-最高裁第二小法廷判決-責任能力の判断の前提となる生物学的要素である精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度については、専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には、鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり、鑑定の前提条件に問題があったりするなど、これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り,その意見を十分に尊重して認定すべきである。統合失調症の幻覚妄想の強い影響下で行われた行為について、被告人が正常な判断能力を備えたいたと思われる事情について二重見当識により説明できる点もあるとして弁識能力及び制御能力が全く欠いていたとまではいえないとして、心神耗弱に判断することは困難であるとして、差し戻した事例。
- (新判例)4月24日付-最高裁第一小法廷判決-一般に、チーム医療として手術が行われる場合、チーム医療の総責任者は、条理上、患者やその家族に対し、手術の必要性、内容、危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有する。しかし、チーム医療の総責任者は、上記説明を常に自ら行わなければならないものではなく、手術に至るまで患者の診療に当たってきた主治医が上記説明をするのに十分な知識、経験を有している場合には、主治医に上記説明をゆだね、自らは必要に応じて主治医を指導、監督するにとどめることも許される。チーム医療の総責任者は、主治医の説明が十分なものであれば、自ら説明しなかったことを理由に説明義務違反の不法行為責任を負うことはない。また、主治医の上記説明が不十分なものであったとしても、当該主治医が上記説明をするのに十分な知識、経験を有し、チーム医療の総責任者が必要に応じて当該主治医を指導、監督していた場合には、同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わない。
- (新判例)4月24日付-最高裁第一小法廷判決-特許法104条の3第1項に基づく無効主張を採用して特許権に基づく損害賠償請求を棄却した控訴審判決に対し、第1審当時から上告受理申立理由書提出期限まで特許請求の範囲の減縮の訂正審判請求を5度にわたり繰り返し控訴審判決言渡し後上告受理申立理由書提出期限前の5度目の訂正審判請求認められ訂正審決が確定した事案で、このことを理由に民事訴訟法338条1項8号の再審事由があるとして上告受理申立てで主張することは、特許法104条の3の趣旨に照らし許されないとされた事例。特許法104条の3第2項の趣旨により、無効主張のみならず、無効主張を否定し、又は覆す主張(「対抗主張」)も却下の対象となり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を理由とする無効主張に対する対抗主張も、審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められれば、却下されることになる。
- (新判例)4月22日付-最高裁第三小法廷判決-麻薬特例法11条1項(2条3項)、13条1項は薬物犯罪の犯罪行為により得られた財産等である薬物犯罪収益等をこれを得た者から没収・追徴することを定めた規定である。幇助犯は、薬物犯罪の正犯が薬物犯罪収益等を得たとしても、幇助犯から没収・追徴できるのは、幇助犯が薬物犯罪の幇助行為により得た財産等に限られる。これに反する1997年(平成9年)3月26日大阪高裁判決及び2005年(平成17年)6月3日東京高裁判決は変更する。なお、1994年(平成6年)6月21日名古屋高裁金沢支部判決は共同正犯たる被告人からの追徴に際して判断を示したもので、事案を異にし、本件に適切でない。
- (新判例)4月18日付-最高裁第二小法廷判決-公立小学校3年の児童が、離席を禁じられた朝自習の時間に落ちていたベストのほこりを払おうとして、当初上下に振るなどしていたが、後に頭上で振り回して落とそうとして、ランドセルをロッカーにしまおうとした児童にぶつかって負傷を負わせた事件で、担任教諭は他の児童との応対中であった場合において、離席自体は正当な理由があるからそれをもって注意をする義務もないし、加害児童は特に問題行動が無かったのであり、他の児童と話をしていて加害児童の行動に気づかなかったとしても、担任教諭に児童の安全確保又は児童に対する指導監督についての過失があるということはできないとされた事例。
- (新判例)4月15日付-最高裁第二小法廷決定-京都府学連事件等の判例は、警察官による人の容ぼう等の撮影が、現に犯罪が行われ又は行われた後間がないと認められる場合のほかは許されないという趣旨まで判示したものではない。捜査機関が被害者のATMから預金を下ろそうとして防犯カメラに写っていた人物と被告人の容ぼう等を照合する目的で、被告人宅近くに駐車させた捜査車両や付近に借りたマンションから公道上を歩いている被告人を撮影することや、防犯カメラに写っていた人物のしていた腕時計と被告人のしていた腕時計の同一性を照合するため、パチンコをしていた被告人を撮影しても、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法とされた事例。公道上のごみ集積所に排出されたごみについて、捜査機関は、捜査の必要がある場合には,刑訴法221条により、これを遺留物として領置することができる。
- (新判例)4月15日付-最高裁第三小法廷判決-旧監獄法45条2項は接見の対象となる受刑者の利益と規律及び秩序の確保等の要請を図る規定であって、受刑者との接見を求める者の固有の利益と規律及び秩序の確保等の要請を図る規定ではなく、刑務所長に対し接見の許否を判断するに当たり接見を求める者の固有の利益に配慮すべき法的義務を課するものではない。弁護士会の設置する人権擁護委員会の活動として、法律上人権擁護委員会に強制的な調査権限が付されていない以上、人権擁護委員会の調査活動の一環として行われる受刑者との接見の申し入れを受け入れる法的義務を刑務所長に認められない。-刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
- (新判例)4月14日付-最高裁第一小法廷判決-共有の性質を有する入会権の慣習の効力は、入会権の処分の効力にも及び、慣習が入会権の処分につき入会集団の構成員の全員の同意を要件としなくても、公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限りその効力は認められる。入会権の処分について、入会集団の役員会の全員一致によるという慣行についてその有効性が認められ、入会権を有する土地の交換契約により入会権を喪失させたことが有効とされた事例。-上関原子力発電所
- (新判例)4月11日付-最高裁第二小法廷判決-管理権者が管理する公務員宿舎の各号棟の1階出入口から各室玄関前までは刑法130条(住居侵入罪)にいう「人の看取する邸宅」に該当し、各号棟の敷地のうち建造物が建築されていない部分は周囲が金網フェンス等で囲まれていることから、「人の看守する邸宅」の囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になるとされた事例。自衛隊イラク派遣に反対する旨のビラを自衛隊員宿舎の新聞受けに投函する目的でその敷地部分等に立ち入った行為を刑法130条前段で処罰しても表現の自由を定めた憲法21条1項に反しないとされた事例-立川反戦ビラ配布事件
2008年3月
[編集]- (新判例)3月27日付-最高裁第一小法廷判決-被害者の基礎疾患を理由に民法722条2項の不法行為の過失相殺に関する規定を類推適用するに当たり賠償義務者による主張を要せず、第1審においてそのことを主張せず控訴審において主張したことが第1審段階で被告は被害者が家族性コレステロール血症にかかっていることを知らなかったとして訴訟上の信義則に反するとはいえないとされた事例。被害者が急性心筋虚血により死亡したのは、業務上の過重負荷と被害者が有していた基礎疾患とが共に原因となったも、家族性高コレステロール血症(ヘテロ型)にり患し、冠状動脈の2枝に障害があり,陳旧性心筋梗塞の合併症を有していたという被害者の基礎疾患の態様、程度、会社が被害者の健康状態に十分な注意を払わず雇用形態及び処遇形態の変更に伴う研修を行わせたという会社の不幸行為の態様に照らし、会社に死亡による損害を全て賠償させるのが、公平を失するとされた事例。
- (新判例)3月27日付-最高裁第三小法廷決定-参議院議員であった者が、職人大学の設置を目指す団体から、本会議における代表質問で国策として職人大学の設置を支援するよう提案するなどの質問をすることや他の議員に委員会で同趣旨の質疑等の大学設置の勧誘説得するよう請託を受け金員の収受を受けたことが受託収賄罪に当たるとされた事例-KSD事件、村上正邦
- 3月27日追加-法科大学院の第三者認証評価について、日弁連法務研究財団が実施したものについては愛知大学が、大学評価・学位授与機構が実施したものについては、北海道大学、千葉大学、一橋大学、香川大学(愛媛大学と連合)について、不適合とした。
- (新判例)3月24日付-最高裁第二小法廷決定-再審請求において提出された各証拠が刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たらないとして、再審請求を棄却された事例-袴田事件
- (新判例)3月18日付-最高裁第三小法廷判決-準拠法が韓国法になる場合で、韓国民法865条が定める実親子関係不存在確認請求訴訟は、真実の実親子関係と戸籍の記載が異なる場合には、実親子関係が存在しないことの確認を求めることができるのが原則というべきだが、真実の親子関係と異なる出生の届出に基づき戸籍上甲の実子として記載されている乙が、甲との間で長期間にわたり実の親子と同様に生活し、関係者もこれを前提として社会生活上の関係を形成してきた場合において、戸籍上の両親以外の第三者であるが,乙とその戸籍上の父である甲との間の実親子関係が存在しないことの確認を求めている場合において、甲乙間に実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ、判決をもって実親子関係の不存在を確定することにより乙及びその関係者の受ける精神的苦痛、経済的不利益、改めて養子縁組届出をすることにより乙が甲の実子としての身分を取得する可能性の有無、丙が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び請求をする動機、目的、実親子関係が存在しないことが確定されないとした場合に丙以外に著しい不利益を受ける者の有無等の諸般の事情を考慮し、実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには、当該確認請求は、韓国民法2条2項にいう権利の濫用に当たり許されない。
- (新判例)3月14日付-最高裁第一小法廷判決-宮城県警察本部総務課の出張旅費につき1年を経過して住民監査請求をした案件につき、当初情報公開請求によって当該具体的な出張の内容が開示されず、その後その具体的内容が開示されて1ヵ月後に住民監査請求した事案で、地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるとされた事例-住民訴訟
- (新判例)3月14日付-最高裁第二小法廷判決-旧刑事訴訟法が適用されて再審が開始された場合、最新の審判手続において免訴事由が存する場合、免訴に関する規定の適用を排除して実体判決をすることは予定されていない。原確定判決後に、刑の廃止又は大赦が行われた場合、免訴事由に関する規定の適用が無いということはできない。再審の審判手続において、免訴判決に対し被告人が無罪を主張して上訴をすることは許されない。再審の審判手続が開始され、第1審及び控訴審判決が言い渡された後、さらに、上告に及んだ後に、再審請求人が死亡しても、同請求人が既に上告審の弁護人を選任しており、かつ、同弁護人が、同請求人の死亡後も引き続き弁護活動を継続する意思を有する限り、再審の審判手続は終了しない。-横浜事件
- (新判例)3月13日付-最高裁第一小法廷決定-民事再生法174条2項3号の「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」には,議決権を行使した再生債権者が詐欺、強迫又は不正な利益の供与等を受けたことにより再生計画案が可決された場合はもとより、再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合も含まれる。再生債務者(株式会社)の関係者が再生手続開始の申立て直前に回収見込みがない再生債務者への債権を譲受け、再生債務者関係者以外の再生債権者にとってはが民事再生手続を利用する方が抗告人につき破産手続が進められるよりも再生債務者に対する債権の回収に不利であり、上記譲受けがなければ再生計画案が可決する見込がなかった事案で、再生計画の決議は、法172条の3第1項1号の少額債権者保護の趣旨を潜脱し、再生債務者らの信義則に反する行為によって成立するに至ったとして、再生計画の決議は不正の方法によって成立したものとして不認可となった事例。
- (新判例)3月6日付-最高裁第一小法廷決定-独占禁止法97条は、排除措置命令に違反したものには過料に処する旨を定めているが、裁判所は、審理の結果、排除措置命令に違反する行為が認められる場合には、原則として、当該行為をした者を過料に処すべきであるが、違反行為の態様、程度その他諸般の事情を考慮して、処罰を必要としないと認めるときは、上記の者を処罰しない旨の決定をすることもできる。当事者は、公正取引委員会から、一般消費者の誤認を排除するための措置として、本件商品の原産国について相手方が行った表示が事実と異なるものであり、一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること等を命じる旨の審決を受けたにもかかわらず、同審決の履行をけ怠していたものであるが、当事者が本件商品の不当表示を同審決を受ける約2年半前に取り止めた上、ウェブサイトや店頭告知で不当表示をしていた事実を公表し、商品の回収や代金の返還にも応じて、一般消費者の誤認やその結果の排除に努めていたことなどに照らせば、相手方を処罰しないこととした原審の判断が結論において是認された事例。-不当景品類及び不当表示防止法
- (新判例)3月6日付-最高裁第一小法廷判決-憲法13条は個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有することを保障している。住民基本台帳法30条の34等の本人確認情報の保護規定は、行政機関個人情報保護法の規定に優先して適用される。行政機関が住基ネットにより住民のの本人確認情報を管理、利用等する行為は、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものということはできず、当該個人がこれに同意していないとしても、憲法13条により保障された上記の自由を侵害するものではない。-プライバシー、住民票コード
- (新判例)3月4日付-最高裁第二小法廷決定-児童ポルノであるDVDを日本国内で運営されているインターネットオークションに出品して、外国から日本に居る落札者に郵便で送付する行為は、本件児童ポルノを送付する時点では特定の者にあてているといえるが、インターネットオークションで不特定の者から入札を募り、最高値入札者を落札者と決定し落札者に送付しているといえるから、本件輸出行為は上記DVDの買受人の募集及び決定並びに買受人への送付という不特定の者に販売する一連の行為の一部であるといえ、児童買春・児童ポルノ処罰法7条6項、4項所定の不特定の者に提供する目的で児童ポルノを外国から輸出したといえる。
- (新判例)3月4日付-最高裁第三小法廷判決-北朝鮮から覚せい剤を輸入しようとして、密輸船を日本近海まで航行させ、積み込んだ覚せい剤を同船から海上に投下し、小型船舶で回収させようとした事件で、事件当日は荒天で風波が激しかったが、覚せい剤の包みをブイをつけた上、簡単に流されないよう重みをつけて流したが、小型船舶がすぐに出港できず翌日になって出港し結局回収できなかった事案で、回収担当者が覚せい剤をその実力的支配の下に置いていないばかりか、その可能性にも乏しく、覚せい剤が陸揚げされる客観的な危険性が発生したとはいえないから、本件各輸入罪の実行の着手があったものとはいえず未遂罪は成立せず予備罪にとどまるとされた事例。
- (新判例)3月3日付-最高裁第二小法廷決定-行政指導や国の監督権限を行使することへの不作為が公務員の含む場の責任や国の賠償責任が生じる場合でも、公務員に刑事法上の責任を直ちに生じさせるものではない。しかし、第Ⅸ非加熱製剤中にはHIVに汚染されたものが相当数存在し、これを使用した場合エイズを発症し多数の者が死に至る高度な蓋然性のあったこと、医師及び患者にはHIVに汚染されているか否か区別できないこと、少なくとも医療上やむを得ない場合以外は使用が控えられるべきであるにもかかわらず、国が明確な姿勢を示さずその取扱を製薬会社等に委ねればそのおそれが現実化する具体的な危険が存在していた事情で、厚生大臣が薬事法上の強制監督措置の前提となる重大な危険の存在が認められ、薬務行政上、その防止のため必要かつ十分な措置をとるべき具体的義務が生じたのみならず、刑事法上も、本件非加熱製剤の製造、使用や安全確保に係る薬務行政を担当する者には、社会生活上、薬品による危害発生の防止の業務に従事する者としての注意義務が生じたものといえる。そして、その防止措置の中には、任意の措置を促すことで防止の目的を達成することが合理的に期待できるときは、そのような措置も含まれ、厚生省薬務局生物製剤課長にあった者に、必要に応じて他の部局等と協議して所要の措置を採ることを促すことを含め、薬務行政上必要かつ十分な対応を図るべき義務があったことも明らかであり、かつ、回収等の措置を採ることを不可能又は困難とするような重大な法律上又は事実上の支障も認められないのであって、1986年4月に肝機能障害患者に本件非加熱製剤を投与されHIVに感染し、エイズで死亡させたことについて業務上過失致死罪の成立を認めた事例。-血友病、薬害エイズ事件
- 3月1日付け-労働契約法が施行された。
2008年2月
[編集]- (新判例)2月29日付-最高裁第二小法廷判決-借地借家法32条1項の賃料増減請求権は賃料自動改定特約で排除することのできない強行法規であり、同項の規定に基づく賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のもの(直近合意賃料)を基にして、同賃料が合意された日以後の経済事情の変動等諸般の事情を考慮して定められるべきで、賃料自動改定特約が存在してもそれに拘束されることなく諸般の事情を考慮する際の一事情になりうるに過ぎない。したがって、自動増額特約によって増額された賃料額は、件賃貸契約締結時における将来の経済事情等の予測に基づくものであり、自動増額時の経済事情等の下での相当な純賃料として当事者が現実に合意したものではないから、本件各減額請求の当否及び相当純賃料の額を判断する際の基準となる直近合意賃料と認めることはできないから、自動増額特約によって増額された賃料を基にして、増額前の経済事情の変動等を考慮の対象から除外し、増額された日から減額請求の日までの間に限定して、その間の経済事情の変動等を考慮して判断することは許されず、本件各減額請求の直近合意賃料である本件賃貸借契約締結時の賃料を基にして、同賃料が合意された日から本件各減額請求の日までの間の経済事情の変動等を考慮して判断されなければならないとされた事例。
- (新判例)2月28日付-最高裁第一小法廷判決-被害少年が加害少年2人に暴行されているのに対し、傍観していた少年について、傍観していた少年は暴行にいたる経緯を知らずに現場に呼び出され赴き、実行行為や暴行の共謀をしておらず、少年の年齢、関係等に照らし、加害少年による恐れを抱いたのは無理からぬ事情があるなどとして、暴行を制止したり現場から立ち去るべき法的義務を否定し、救急車を呼んだり第三者に通報しなかったことも、救急車を呼ぶことも加害少年から拒否されたりした等の事情の下で、被害少年が死ぬかも知れないという認識を有していたとしても、仕返しを恐れを克服し被害少年を救護することへの法的義務を否定し、損害賠償請求を否定した事例。-作為義務
- (新判例)2月28日付-最高裁第一小法廷判決-国外に現在している要保護者であっても、生活保護法19条所定の「居住地」に当たると認められる居住の場所を国内に有しているものは、同条に基づき当該居住地を所管する実施機関から保護の実施を受けられ、当初の居住地を離れ、国外に滞在し続けることになった結果、国内に居住地も現在地も有しない場合に限り、保護の停止又は廃止を決定すべきである。生活保護を受けている者が、海外渡航費(79,082円)を保護を受け始めて間もない期間に支出した場合においたことから、少なくとも渡航費用を支出することができるだけの額の、本来その最低限度の生活を維持するために活用すべき金銭を保有しているといえるから、上記金額を超えない限度で生活扶助の支給額を減額する保護の変更決定が適法とされた事例。
- (新判例)2月28日付-最高裁第一小法廷判決-保険金請求手続をした日から30日以内に保険金を支払うという約款があった事案で、保険金支払条項に基づく履行日を過ぎてから保険金受取人に保険会社が調査中であり、調査への協力を求める書面(協力依頼書)を送付し、その後免責通知書により保険金を支払えない旨通知した事案で、協力依頼書の送付行為は調査の協力を求め、調査結果が出るまで保険金の支払ができないことへの了承を求め、保険金受取人が調査に応じたことにより、保険金支払いの履行期の期日を延期することを合意したものと解するのが相当であるから、保険金請求権の消滅時効の起算点は約款の規定により免責通知書到達日の翌日であるとされた事例。
- (新判例)2月26日付-最高裁第三小法廷判決-会社法346条1項に基づき役員の退任後もなお役員としての権利義務を有する者(役員権利義務者)に対して解任の訴えをすることは許されない。
- (新判例)2月22日付-最高裁第二小法廷判決-会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う。会社の貸付けが代表取締役の情宜に基づくものであるとみる余地があるとしても、他にこれをうかがわせるような事情が存しない以上、会社の貸付けが、商行為によって生じた債権に該当し、商事消滅時効を定めた商法522条が適用されるとされた事例。
- (新判例)2月19日付-最高裁第三小法廷判決-我が国において既に頒布され、販売されているわいせつ表現物を税関検査による輸入規制の対象にすることが表現の自由を定めた憲法21条1項に反しない。ロバート・メイプルソープの写真集が税関検査で関税定率法21条1項4号(当時)にいう「風俗を害すべき書籍」に該当する旨の通知処分について、本件写真集に記載されている写真の一部は、男性性器を直接的、具体的に写し画面の中央に目立つよう配置したといえるなどの事情からいずれも性器そのものを強調し、その描写に重きを置くものといわざるを得ないが、メープルソープは写真家として美術評論家から高い評価を受けていたこと、本件写真集がメイプルソープの主要作品集であり芸術的観点から編集されたものであること、本件写真集はポートレート、花、男性女性のヌードなど写真を幅広く収録し、問題となった写真の占める割合も384ページ中19ページに過ぎないこと、本件写真はモノクロームで性交等の状況を直接描写したものではないことから、本件写真集における芸術性など性的刺激を緩和させる要素の存在、本件各写真の本件写真集全体に占める比重、その表現手法等の観点から写真集を全体としてみたときには、本件写真集が主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難といわざるを得ず、本件通知処分当時(1999年10月)の一般社会における健全な社会通念に照らして関税定率法21条1項4号(当時)にいう「風俗を害すべき書籍、図画等」に該当しない。なお、最高裁1999年(平成11年)2月23日第三小法廷判決の事案とは、一部本件と同じ写真が含まれているが本件写真集と異なるカタログを扱い対象とされた処分時点(1992年)も異なり抵触しない。もっとも、本件通知処分当時、上記判例の存在等により税関支署長が「風俗を害すべき書籍、図画等」に該当すると判断したことに相当な理由がないとはいえないなどから国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けることはないとされた。‐メイプルソープ事件
- (新判例)2月19日付-最高裁第三小法廷判決-被害者が老人保健法に基づく医療給付を受けてもなおてん補されない損害について自賠責の直接請求行使をする場合、他方で市町村長が老人保健法41条1項により代位取得した直接請求権を行使することにより、両者の合計額が自賠責の保険金額を超える場合は、被害者の直接請求権が優先して保険金額の範囲内で自動車損害賠償保障法16条1項に基づき損害賠償額の支払を求めることができる。
- (新判例)2月18日付-最高裁第一小法廷決定-家庭裁判所から選任された未成年後見人が未成年被後見人の財産を横領した場合でも、刑法255条で準用される244条1項で刑が免除されず、未成年後見人が刑法244条1項にいう親族関係があったとしても刑は免除されない。-親族相盗例
- (新判例)2月15日付-最高裁第二小法廷判決-証券取引法(現金融商品取引法)17条に規定する損売賠償の責任主体である虚偽記載のある目論見書を使用して「有価証券を取得させた者」には、発行者や有価証券の募集や売出しをした者や証券会社に限られず、虚偽記載のある目論見書等を使用して有価証券を取得させたといえる者であれば足り、虚偽記載のある目論見書等を使用してあっせん、勧誘して有価証券を取得した者も含む。
- (人事)2月9日付-8日実施された次期日弁連会長選挙で宮崎誠(大阪弁護士会所属)が当選する。任期は4月1日から。
2008年1月
[編集]- (新判例)1月28日付-最高裁第二小法廷判決-銀行の取締役に対し、株式の引き受け資金を株式発行会社(以下「本件会社」という)の関連会社に融資し、保証人が本件会社の経営者でその資産が本件会社の株式であり、本件会社の業績が悪化すれば当然関連会社の業績も悪化し担保株式は下落することが予想され、担保株式の発行済株式総数に占める割合が大きく担保株式を売却すれば大幅に株価が下落するおそれが容易に想定でき、本件会社の財務状況が不透明であったにも関わらず融資したことと、本件会社を延命させるため本件会社が行っていたリゾート事業(以下「本件リゾート事業」)の完成による担保額の増加を期待して行った融資も、担保が大幅に不足しかつ本件リゾート事業の採算性に問題があり本件会社が本件リゾート事業の会員権売上金を流用し、また、本件会社を数ヶ月延命させたとしても、関連企業などの破綻は避けられる状況にはなかったとして、上記融資はいずれも銀行の取締役として一般的に期待される水準に照らし著しく不合理なものといえ、善管注意義務違反、忠実義務違反を理由に会社に対する損害賠償責任が認められた事例。-北海道拓殖銀行、カブトデコム、ホテルエイペックス洞爺
- (新判例)1月28日付-最高裁第二小法廷判決-銀行の取締役に対し、支払可能残高を越えて他行支払小切手を即日入金の上払い戻す取扱(過振り)を受けていた債務者に対し、過振り金は株の仕手戦等に利用し、不渡りを出すことが危ぶまれる状況にあり、追加融資をしてはならない事案であり、追加融資を合理的ならしめるとすれば追加融資の担保の提供を受けることにより、通常予測不可能な担保不動産の下落のない限り、本件不動産をすぐに換価することで追加融資の回収が可能な状態が必要であるところ、実態とかけ離れた担保評価(地上げ途中の物件でも更地評価した不動産鑑定士の評価)に基づき、慎重な検討をすることもなく追加融資に応じたことが、忠実義務、善管注意義務違反に反し会社に対する損害賠償責任が公定された事例。-北海道拓殖銀行
- (新判例)1月28日付-最高裁第二小法廷判決-旧商法266条1項5号(現会社法423条1項)に規定する取締役の会社に対する任務懈怠行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は商事消滅時効の5年ではなく、民事消滅時効の10年である。
- (新判例)1月24日付-最高裁第一小法廷判決-民法1041条1項に基づく受遺者に対する遺留分減殺請求権について、遺留分権利者が価額弁償を請求する権利を請求した場合、当該遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得することとなる。したがって、同条に基づく価額弁償請求権の遅延損害金の起算点は、遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得し、かつ、受遺者に対し弁償金の支払を請求した日の翌日となる。-遺留分
- (新判例)1月22日付-最高裁第一小法廷決定-就寝中の被害者にわいせつな行為をした者が、その後被害者が覚醒し被告人に対し抵抗したことにより被害者へのわいせつな行為を行う意思を喪失した後、その場から逃走するため被害者に暴行を加えた場合に強制わいせつ致傷罪が成立するとされた事例-結果的加重犯
- (新判例)1月18日付-最高裁第二小法廷判決-土地開発公社が普通地方公共団体との間の委託契約に基づいて先行取得を行った土地について、当該普通地方公共団体が当該土地開発公社とその買取りのための売買契約を締結する場合において、当該委託契約が私法上無効であるときには、当該普通地方公共団体の契約締結権者は、無効な委託契約に基づく義務の履行として買取りのための売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っていて契約締結権者がその義務に違反して買取りのための売買契約を締結すれば、その締結は違法なものになり、公社に委託した市の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり、本件委託契約を無効としなければ地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められるという場合には、委託契約は私法上無効となる。また、先行取得の委託契約が私法上無効ではないものの、これが違法に締結されたものであって、当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや、当該委託契約が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し、かつ、客観的にみて当該普通地方公共団体が当該委託契約を解消することができる特殊な事情があるときにも、当該普通地方公共団体の契約締結権者は、これらの事情を考慮することなく、漫然と違法な委託契約に基づく義務の履行として買取りのための売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っていると解すべきであり、契約締結権者がその義務に違反して買取りのための売買契約を締結すれば、その締結は違法なものになる。さらに、本件売買契約の締結が財務会計法規上の義務に違反する違法なものである場合において、本件委託契約が私法上無効であるときには、市は本件公社に対し本件委託契約に基づく事務を処理するために要した費用を支払うべき義務を負わないことになるし、本件委託契約が私法上無効ではないときであっても、上記財務会計法規上の義務が尽くされ、本件委託契約が解消されていれば、市は上記費用を支払うべき義務を負わないことになるのであって買取のための売買契約締結により市が新たに損害が発生する余地があり市長の職にあった者の損害賠償責任は発生する余地がある。本件土地を取得する必要性及びその取得価格の相当性の有無にかかわらず本件委託契約が私法上無効になるものではないとして本件売買契約の締結が違法となることはないとして、直ちに市長の職にあった者の損害賠償責任を否定することはできない。-住民訴訟
- (新判例)1月18日付-最高裁第二小法廷判決-同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが、過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず、その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には、第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り、第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は、第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されない。そして、第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、上記合意が存在するものと解することができる。基本契約1の完済時から基本契約2の締結時まで取引中断期間が約3年間と長期間に渡り、基本契約1と基本契約2は利息、遅延損害金の利率を異にする場合において、この間に基本契約1を終了させる手続が執られた事実はないことなどだけでは事実上1個の連続した貸付取引と評価することができないとして原審に差し戻した事例。-利息制限法
- 1月1日付け-借地借家法が改正され、事業用定期借地権の存続期間の上限が50年未満にすることが可能に。