EVD
Enhanced Versatile Disk EVD | |
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メディアの種類 | 光ディスク |
記録容量 | 片面1層4.7GB |
コーデック | VP5・VP6・EAC2.0 |
読み取り方法 | 650nm赤色ヒ化ガリウムレーザー |
策定 | 北京阜国数字技術 |
主な用途 | 動画 |
ディスクの直径 | 12cm |
大きさ | φ12cm×1.2mm |
上位規格 | なし |
下位規格 | なし |
EVD(Enhanced Versatile Disk、イーブイディー)は、中国で独自に開発され、中国国内のみで利用されているデジタル記録式の光学記憶媒体。光ディスク。
概要[編集]
EVDを日本語訳すると強化多用途ディスクとなり、DVD(デジタル多用途ディスク)を拡張した規格だと謳う。張宝全が中心人物となり、規格の普及活動が中国国内で行われている。
中国政府の支援の下、海爾集団(ハイアール)やTCL集団などの19社の中国の電機メーカーが参加する北京阜国数字技術によって1999年より開発が開始され、2003年11月に規格が策定された。メディアのディスク構造は現行のDVDと同様の、1層0.6mmのポリカーボネートを2層張り合わせた構造となっており、厚さは1.2mm、直径12cmである。また使用する光源もDVDと同様の650nm赤色ヒ化ガリウムの固体半導体レーザーを用い、片面1層4.7GB、片面2層8.5GBの記憶容量を持つ。ファイルシステムは光ディスク共通のユニバーサルディスクフォーマット (UDF) であるが、映像と音声の記録形式がDVDと異なる。映像の記録形式はOn2 TechnologiesのVP5およびVP6を使用し、音声の記録形式はCoding TechnologiesのEAC2.0 (Enhanced Audio Codec 2.0) を使用する。これらはDVDが使用しているMPEG-2に比べライセンス料が著しく安い。それは中国国内でのデジタル形式のビデオプレイヤーの低価格化を狙って策定した本来の理由からによるものである。
動画サイズは1080i(1920×1080ピクセル)と720p(1280×720ピクセル)での記録が規格化されており、標準的なデータ転送速度は1080iで16Mbps、720pで9Mbpsとなっている。
また北京阜国数字技術に参加する中国の電機メーカーはDVD単体機の生産を2008年までに中止すると発表しており[1]、これにより中国国内ではEVDが標準規格となることが一部では期待されていた。
なお、EVD2と呼ばれる規格も存在し、最新のEVD規格としてセールスが行われているが、これは以前HVDと呼ばれていた全く別の規格であり、元々のEVDとは互換性を持っていない[2]。
改名[編集]
2008年3月、技術的な改良に伴い、HD-EVDへと名称の変更が発表される。新たなHD-EVD再生機は2008年末に発売される予定で、価格は1000元(約1万3653円)程度と予想される[3]。また、NNA ASIAによると、業界内では悪あがきとの声が強いという[4]。
撤退の危機[編集]
2008年3月、HD DVDに続き、EVDも撤退の危機に直面していると北京日報により報じられる[5]。ブルーレイへの規格統一もあり、更に記録媒体の構造ではDVDと同等のEVDはセキュア面で脆弱ともいえるため、ハリウッドもEVDのサポートに消極的であり、中国国内の家電店からもEVD機器は殆ど姿を消しつつあるという。これにより、中国独自規格による日本企業への[要検証 ]ロイヤリティ回避は実質不可能となった。
発売されている主なタイトル[編集]
- ブラックマスク2(2002年)
- ビッグ・ママズ・ハウス(2002年)
- HERO ディレクターズカット版(2002年)
- LOVERS(原題『十面埋伏』、House of Flying Daggers)(2004年)
脚注[編集]
- ^ 「中国、独自DVDを推進・現行機生産08年までに停止」、日本経済新聞、2006年12月3日。
- ^ 山谷剛史、「迷走する“EVD”を試しに購入してみた(前編)(後編)」、ITmedia、2007年1月28日。
- ^ 中国EVD:HD―EVDと改名、ブルーレイと競争開始、China Press、2008年3月18日
- ^ 名称HD-EVDに、定着狙う中国独自規格[家電]、NNA.ASIA、2008年3月26日(会員登録が必要)
- ^ EVDも危機に直面、業界団体は撤退の可能性示す、中国情報局NEWS 2008年3月4日