過去・現在・未来そして夢
『過去・現在・未来そして夢』 | ||||
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ローランド・カーク の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | ジャズ | |||
時間 | ||||
レーベル | アトランティック・レコード | |||
プロデュース | ジョエル・ドーン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
ローランド・カーク アルバム 年表 | ||||
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『過去・現在・未来そして夢[注釈 1]』(原題:The Case of the 3 Sided Dream in Audio Color)は、アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン、ローランド・カークが1975年にアトランティック・レコードから発表したスタジオ・アルバム。
背景
[編集]オリジナルLPは2枚組だが、実際に曲が収録されているのはサイド1からサイド3までで[2]、サイド4は約8分の無音状態を経てカークの笑い声、それから約3分の無音状態を経てカークが電話をかける声が収録された[3]。なお、LPのサイド4に当たる部分は、リマスターCDでは「テレフォン・カンヴァセーション」というタイトルが付いている。
本作では列車の音、馬の足音、クラクション、爆発音、クラシック音楽の断片、ビリー・ホリデイの声を含む様々なサウンド・エフェクトが使用された[4]。当時ジョエル・ドーンのアシスタントを務めていたハル・ウィルナーは、本作を「ジャズのサージェント・ペパーズ」と表現しており、ジョン・クルースは自著『ローランド・カーク伝 溢れ出る涙』において本作と『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の類似点を指摘している[5]。
「バイ・バイ・ブラックバード」で使用された「トランバフォン」と呼ばれる楽器は、トランペットにソプラノ・サクソフォーンのマウスピースを付けたものである[6]。
反響・評価
[編集]『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートでは34位に達した[7]。
Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「"Bye, Bye, Blackbird"におけるマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの模倣から、甲高くファンキーな解釈の"High Heel Sneakers"、そして"The Entertainer"のデルタとニューオーリンズを行き来したヴァージョンに至るまで、カークはグルーヴの深みの中にいる。しかし、カークが生み出すグルーヴは極めて巨大、宇宙的、深遠、そして穏やかで、商業主義と革新性のせめぎ合いという次元を超越している」と評している[8]。また、Jim SantellaはAll About Jazzにおいて「親しみやすいブルース・ベースのメインストリーム・ジャズと、短くて奇妙なサウンド・エフェクトをプログラムに溶け込ませた」と評している[3]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はローランド・カーク作。オリジナルLPでは1. - 7.がサイド1、8. - 13.がサイド2、14. - 20.がサイド3に収録されていた[2]。
- カンヴァセーション - "Conversation" - 0:58
- バイ・バイ・ブラックバード - "Bye Bye Blackbird" (Mort Dixon, Ray Henderson) - 2:39
- ホーシズ(モノグラム/リパブリック) - "Horses (Monogram/Republic)" - 0:19
- ハイ・ヒール・スニーカーズ - "High Heel Sneakers" (Robert Higginbotham) - 4:48
- ドリーム - "Dream" - 0:51
- 幼年時代とオハイオからの響き - "Echoes of Primitive Ohio and Chili Dogs" - 6:52
- エンターテイナー(ドーン・イン・ザ・スタイル・オブ・ザ・ブルース) - "The Entertainer (Done in the Style of the Blues)" (Scott Joplin) - 6:01
- フリークス・フォー・ザ・フェスティヴァル - "Freaks for the Festival" - 4:00
- ドリーム - "Dream" - 1:30
- 貴婦人の肖像 - "Portrait of Those Beautiful Ladies" - 6:22
- ドリーム - "Dream" - 0:58
- エンターテイナー - "The Entertainer" (S. Joplin) - 6:17
- ドリーム - "Dream" - 1:03
- ドリーム - "Dream" - 0:23
- 貴婦人の肖像 - "Portrait of Those Beautiful Ladies" - 7:55
- ドリーム - "Dream" - 0:51
- フリークス・フォー・ザ・フェスティヴァル - "Freaks for the Festival" - 5:32
- ホーシズ - "Sesroh" - 0:22
- バイ・バイ・ブラックバード - "Bye Bye Blackbird" (M. Dixon, R. Henderson) - 2:35
- カンヴァセーション - "Conversation" - 0:54
- テレフォン・カンヴァセーション - "Telephone Conversation" - 12:40
参加ミュージシャン
[編集]- ローランド・カーク - テナー・サクソフォーン、バス・サクソフォーン、フルート、トランペット、マンツェロ、アレンジ
- コーネル・デュプリー - ギター
- ヒュー・マクラッケン - ギター
- キース・ラヴィング - ギター
- アーサー・ジェンキンス - アレンジ、キーボード
- ヒルトン・ルイズ - キーボード
- リチャード・ティー - キーボード
- フランシスコ・センテーノ - ベース
- マティアス・ピアソン - ベース
- ビル・ソルター - ベース
- ソニー・ブラウン - ドラムス
- スティーヴ・ガッド - ドラムス
- ジョン・ゴールドスミス - ドラムス
- ラルフ・マクドナルド - コンガ、パーカッション
- ローレンス・キリアン - コンガ
- パット・パトリック - バリトン・サクソフォーン
- ウィリアム・イートン - アレンジ
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 2014年再発CD (WPCR-27949)の帯に準拠。2010年再発CD (WQCP-935)の帯では『ケイス・オブ・ザ・スリー・サイデッド・ドリーム・イン・オーディオ・カラー』と表記されていた。
出典
[編集]- ^ ジョン・クルース 著、林建紀 訳『ローランド・カーク伝 溢れ出る涙』河出書房新社、2005年、292頁。ISBN 4309268250。
- ^ a b Rahsaan Roland Kirk* - The Case Of The 3 Sided Dream In Audio Color (Vinyl, LP, Album) at Discogs
- ^ a b Santella, Jim (1999年8月1日). “Rahsaan Roland Kirk / Yusef Lateef: Separate But Equal”. All About Jazz. 2017年10月28日閲覧。
- ^ Marsh, Peter (2004年). “Music - Review of Roland Kirk - The Case of The 3 Sided Dream in Audio Color”. BBC. 2017年10月28日閲覧。
- ^ 『ローランド・カーク伝 溢れ出る涙』pp.221-223
- ^ 『ローランド・カーク伝 溢れ出る涙』p.289
- ^ “Rahsaan Roland Kirk - Awards”. AllMusic. 2016年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月28日閲覧。
- ^ Jurek, Thom. “The Case of the 3 Sided Dream in Audio Color - Rahsaan Roland Kirk”. AllMusic. 2017年10月28日閲覧。