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ツルネコノメソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ツルネコノメソウ
花を付けたツルネコノメソウ、牧田川の上流域の阿蘇谷の湿り気のある岩場に生育する、鈴鹿山脈の三国岳(岐阜県大垣市)にて、2017年4月18日
ツルネコノメソウ、鈴鹿山脈岐阜県大垣市)、2017年4月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユキノシタ科 Saxifragaceae
: ネコノメソウ属 Chrysosplenium
: ツルネコノメソウ
C. flagelliferum
学名
Chrysosplenium flagelliferum F.Schmidt[1]
和名
ツルネコノメソウ

ツルネコノメソウ(蔓猫の目草、学名Chrysosplenium flagelliferum F.Schmidt[1])は、ユキノシタ科ネコノメソウ属分類される多年草の1[2][3]。種小名(flagelliferum)は走出枝をもったを意味する[4][5]和名は、走出枝(匍匐茎)を伸ばし繁殖し[2]蒴果の縫線がネコに似ていることに由来する[5]。別名が、ヒメネコノメソウ[1]

特徴

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走出枝はの後に急速に細長く地を這って伸び、先端からを出して新苗を作る[2][4]。草丈は5 - 15 cm[4]には稜があり、白い毛がある[5]。2 - 3個の茎互生し、薄緑色[5]、小形で倒卵形、5 - 7個の鈍鋸葉がある[2]。茎葉には葉柄があり、ふつう扇形で、基部は鈍形または切形、長さ2 - 8 mm、幅3 - 9 mm、無毛、上縁に5 - 7個の鈍頭または円頭に終わる鋸歯がある[3]の下部のものは茎部と同じで、上部のものは卵形[3]根生葉の葉柄は長さ5 - 8 cm、葉身は円形で、長さ2 - 3.5 cm、幅3 - 5 cm、基部は心形、縁に7 - 17個の切頭または円頭に終わる鋸歯がある[3]。葉は薄く、表面は緑色で、あらい毛を散生し、裏面は薄緑色[3]。花期には葉が姿を消す[4]。花に近い葉は黄色を帯び、葉の先端が少し尖る[5]花茎の先は枝分かれし、薄黄緑色の小花を平開する[2]。花の直径は3 - 6 mm、短い花柄がある[3]。4個の片は広卵形で[2]、花期に平開し、緑色まらは黄緑色[3]花弁はない[4]。花盤は黄色[3]。8個の雄蕊が直立し、長さ0.7 - 1 mm[3]で萼片よりも短い[2]。裂開直後のは黄色[2]子房はほぼ下位で、下半分は萼筒と合着する[3]花柱は長さ約1 mm、果時は広く開出する[3]種子は卵形または長卵形で、長さ約0.6 mm、1稜があり、平滑だが微細な乳頭状突起がある[3]。花期は4 - 5月[3][2]染色体数は2n=24[3]。本種の配糖体アグリコンでpendulinが確認されている[6]

分布と生育環境

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花後、地上性の走出枝がいちじるしく伸長する。

ロシアアムールウスリー樺太千島列島)、中国東北部、朝鮮半島日本温帯[4]に分布する[3]

日本では北海道本州近畿地方以北)、四国剣山)に分布する[3]

山地[2]や山麓[5]落葉広葉樹林下などの沿いの水湿地のの上[4]に生育する[3]

種の保全状況評価

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日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている。

分類

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本州の関東地方以西、四国、九州に分布し、山間の林内、林縁の沢沿いの水湿地に生育するタチネコノメソウ Chrysosplenium tosaense に良く似る。同種には地中を走る短くて細い走出枝があり、花後に、走出枝の基部がふくらんで、そこから葉を出して新しい個体となるが、本種は、花後に著しく伸びる地上性の走出枝をだす[17]

脚注

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ツルネコノメソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2018年4月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 林 (2009)、429頁
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 佐竹 (1982)、160頁
  4. ^ a b c d e f g 牧野 (1982)、173頁
  5. ^ a b c d e f 大川 (2009)、21頁
  6. ^ 森田 (1968)、1278頁
  7. ^ レッドデータブックやまぐち、ツルネコノメソウ”. 山口県. 2018年4月24日閲覧。
  8. ^ 徳島県版レッドデータブック(レッドリスト)、維管束植物<改訂:平成26年>” (PDF). 徳島県. pp. 11. 2018年4月24日閲覧。
  9. ^ 改訂しまねレッドデータブック2013植物編” (PDF). 島根県. pp. 45. 2018年4月24日閲覧。
  10. ^ いしかわレッドデータブック植物編2010、ツルネコノメソウ” (PDF). 石川県. 2018年4月24日閲覧。
  11. ^ 第3次レッドリストあいち2015” (PDF). 愛知県. pp. 12. 2018年4月24日閲覧。
  12. ^ レッドリストあいち、ツルネコノメソウ” (PDF). 愛知県. pp. 363. 2018年4月24日閲覧。
  13. ^ レッドデータブックとっとり改訂版、ツルネコノメソウ” (PDF). 鳥取県. pp. 263. 2018年4月24日閲覧。
  14. ^ 兵庫県版レッドリスト2010(植物・植物群落)、ツルネコノメソウ” (PDF). 兵庫県. 2018年4月24日閲覧。
  15. ^ レッドデータブックひろしま 2011” (PDF). 広島県. pp. 4. 2018年4月24日閲覧。
  16. ^ 岡山県版レッドデータブック2009” (PDF). 岡山県. pp. 108. 2018年4月24日閲覧。
  17. ^ 奥山雄大 (2016)「ユキノシタ科」『改訂新版 日本の野生植物2』p.204

参考文献

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  • 大川勝德『伊吹山の植物』幻冬舎ルネッサンス、2009年10月20日。ISBN 9784779005299 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 
  • 森田直賢、清水岑夫、竹崎孝行「薬用資源の研究(第30報) : Chrysosplenium属植物のFlavonoidsについてネコノメソウおよびツルネコノメソウのフラボノイド配糖体」『薬学雑誌』第88巻第10号、日本薬学会、1968年10月、NAID 110003653665 
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社

関連項目

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外部リンク

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