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イルベサルタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イルベサルタン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Avapro
Drugs.com monograph
MedlinePlus a698009
ライセンス EMA:リンクUS FDA:リンク
胎児危険度分類
法的規制
  • S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
薬物動態データ
生物学的利用能60–80%
血漿タンパク結合~90%
代謝肝代謝 (CYP2C9)
半減期11–15 hours
排泄尿中 20%, 便中 65%
識別
CAS番号
138402-11-6
ATCコード C09CA04 (WHO)
PubChem CID: 3749
IUPHAR/BPS 589
DrugBank APRD00413 チェック
ChemSpider 3618 チェック
UNII J0E2756Z7N チェック
KEGG D00523  チェック
ChEBI CHEBI:5959 チェック
ChEMBL CHEMBL1513 チェック
化学的データ
化学式C25H28N6O
分子量428.53
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イルベサルタン(Irbesartan)はアンジオテンシンII受容体拮抗薬のひとつで、高血圧治療薬フランスの旧サノフィ社(サンテラボとの合併前、現在のサノフィ)で開発された。日本での製品名はアバプロ大日本住友製薬)およびイルベタン塩野義製薬)。また、アムロジピンベシル酸塩)との合剤としてアイミクス、トリクロルメチアジドとの合剤としてイルトラがある。

効能・効果

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  • 高血圧症
服用開始時に一過性の急激な血圧低下が起こることがある[1][2]

禁忌

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アリスキレンを投与中の糖尿病患者では、他治療の効果が著しく悪い場合を除き、原則禁忌である。また妊婦または妊娠している可能性のある婦人や製剤成分に過敏症のある患者は禁忌である。

副作用

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重大な副作用としては、血管浮腫高カリウム血症、ショック、失神、意識消失、腎不全、肝機能障害(0.1〜1%未満)、黄疸(0.1〜1%未満)、低血糖横紋筋融解症が知られている。(頻度未記載は頻度不明)

治験で見られた副作用は、

  • 自他覚所見(13.0%):眩暈(2.7%)、咳嗽(1.6%)、頭痛(1.1%)等、
  • 臨床検査値異常(15.6%):CK(CPK)上昇32例(3.6%)、ALT(GPT)上昇21例(2.3%)、AST(GOT)上昇18例(2.0%)等

であった。

薬理

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イルベサルタンはアンジオテンシンII受容体へ結合し、拮抗・阻害作用を示す。

ロサルタンと同様に尿細管のURAT-1トランスポーターを阻害するため、尿酸が再吸収されず、血清尿酸値の低下をもたらす。

エビデンス

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IDNT[3]とIRMA2[4]という海外での大規模臨床試験では、2型糖尿病での腎症進展において他剤と比べ有意差が認められた。

心不全患者においての大規模臨床試験では、プラセボと比較して総死亡では有意差を認めなかった[5]

出典

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  1. ^ アバプロ錠50mg/アバプロ錠100mg/アバプロ錠200mg 添付文書” (2016年8月). 2016年8月4日閲覧。
  2. ^ イルベタン錠50mg/イルベタン錠100mg/イルベタン錠200mg 添付文書” (2016年7月). 2016年7月4日閲覧。
  3. ^ Lewis EJ, Hunsicker LG, Clarke WR, Berl T, Pohl MA, Lewis JB et al. (2001). “Renoprotective effect of the angiotensin-receptor antagonist irbesartan in patients with nephropathy due to type 2 diabetes.”. N Engl J Med 345 (12): 851-60. doi:10.1056/NEJMoa011303. PMID 11565517. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa011303. 
  4. ^ Parving HH, Lehnert H, Bröchner-Mortensen J, Gomis R, Andersen S, Arner P et al. (2001). “The effect of irbesartan on the development of diabetic nephropathy in patients with type 2 diabetes.”. N Engl J Med 345 (12): 870-8. doi:10.1056/NEJMoa011489. PMID 11565519. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa011489. 
  5. ^ Massie BM, Carson PE, McMurray JJ, Komajda M, McKelvie R, Zile MR, Anderson S, Donovan M, Iverson E, Staiger C, Ptaszynska A (December 2008). “Irbesartan in patients with heart failure and preserved ejection fraction”. N. Engl. J. Med. 359 (23): 2456–67. doi:10.1056/NEJMoa0805450. PMID 19001508.