コンテンツにスキップ

ベンゼンスルホン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベンゼンスルホン酸[1]
Skeletal formula of benzenesulfonic acid Ball-and-stick model of the benzenesulfonic acid molecule
識別情報
CAS登録番号 98-11-3 チェック
PubChem 7371
ChemSpider 7093 チェック
UNII 685928Z18A チェック
EC番号 202-638-7
国連/北米番号 2583, 2585, 1803
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1422641
RTECS番号 DB4200000
特性
化学式 C6H6O3S
モル質量 158.18 g mol−1
外観 無色の結晶性固体
密度 1.32 g/cm3 (47 °C)
融点
  • 44 °C (水和物)
  • 51 °C (無水和物)
沸点

190 °C

への溶解度 溶ける
その他溶媒への溶解度 アルコールに溶ける。非極性溶媒には溶けない。
酸解離定数 pKa −2.8[4]
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
GHSピクトグラム 腐食性物質急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H290, H302, H314, H315, H319, H335
Pフレーズ P234, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P301+312, P301+330+331, P302+352, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310
主な危険性 腐食性
引火点 > 113 °C
関連する物質
関連するスルホン酸 スルファニル酸
p-トルエンスルホン酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ベンゼンスルホン酸(ベンゼンスルホンさん、benzenesulfonic acid)は、ベンゼンの水素が1個スルホ基(-SO3H) に置き換わった構造 (C6H5SO3H)を持つ、有機スルホン酸の一種である。ベシル酸と別称される。水に可溶な強酸である。

合成

[編集]

ベンゼンを発煙硫酸、あるいは濃硫酸スルホン化して合成する。

合成式
合成式

反応

[編集]

温水溶液中、ベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウムで中和し、その後冷却すると、プロトンがナトリウムイオンに置き換わったベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶が析出する。

このナトリウム塩、あるいはベンゼンスルホン酸を直接アルカリ融解すると、芳香族求核置換反応が起こる結果、ナトリウムフェノキシドが得られる。これを酸で中和するとフェノールとなる。

ほか、ベンゼンスルホン酸に五酸化二リンを作用させればベンゼンスルホン酸無水物 (C6H5SO2OSO2C6H5)が、ナトリウム塩に五塩化リンを作用させれば塩化ベンゼンスルホニル (C6H5SO2Cl) が、それぞれ得られる。

用途

[編集]

試薬のほか、医薬品を塩(ベシル酸塩)にする原料として用いられる。

ベンゼンスルホン酸は、p-トルエンスルホン酸と同様、酸触媒として用いることが可能ではあるが、若干高価であることと、有機溶媒への溶解性に劣ることから、p-トルエンスルホン酸ほどは用いられない。

出典

[編集]
  1. ^ Benzenesulfonic acid [リンク切れ], Sigma-Aldrich
  2. ^ Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 789. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  3. ^ Besylic acid, ChemIndustry
  4. ^ Guthrie, J. P. Hydrolysis of esters of oxy acids: pKa values for strong acids Can. J. Chem. 1978, 56, 2342-2354. doi:10.1139/v78-385

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]