やがて哀しき外国語
表示
やがて哀しき外国語 | ||
---|---|---|
著者 | 村上春樹 | |
イラスト | 安西水丸 | |
発行日 | 1994年2月18日 | |
発行元 | 講談社 | |
ジャンル | エッセイ | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 284 | |
コード | ISBN 978-4-06-206800-0 | |
ウィキポータル 文学 | ||
|
『やがて哀しき外国語』(やがてかなしきがいこくご)は、村上春樹のエッセイ集。
概要
[編集]1994年2月18日、講談社より刊行された[1]。本書は、講談社のPR誌『本』(1992年8月号 - 1993年11月号)に連載されたコラム「人はなぜ走るのか」をまとめたものである。表紙及び挿絵は安西水丸。1997年2月14日、講談社文庫として文庫化された[2]。文庫版には「文庫本のためのまえがき」が加筆されている。2015年11月27日、講談社より電子書籍版が配信開始[3]。
米国のプリンストン大学に客員研究員(visiting scholar)として滞在していた約2年間の出来事と所感が主な内容である。前述の「まえがき」の中で、「今読み返すと、自分でもずいぶんストレートだなと感心してしまうところがある」と述べている。
内容の一部
[編集]- トミー・フラナガン・トリオのライブを聴きに行ったときのこと。彼らにもし何かリクエストするとしたら「バルバドス」と「スター・クロスト・ラヴァーズ」の二曲だなと考えていたら、驚いたことにステージの最後にこの二曲をメドレーでやってくれた。ペパー・アダムズとトミー・フラナガンの共演した「スター・クロスト・ラヴァーズ」は長いあいだの愛聴盤だった[4][5]。
- 中古レコード店に入ろうとしたときのこと。通りかかった若い男に時間を尋ねられ、「4時10分前だよ(イッツ・テン・トゥ・フォア)」と答えて店に入ったら、最初に目についたレコードがペパー・アダムズの『TEN TO FOUR AT 5 SPOT』のぴかぴかのオリジナル盤だった[4]。
- 運動靴を履いて、月に一度美容室ではなく床屋に行って、いちいち言い訳しない。これが男の子のイメージである。
- 人生に必要なことはみんな店で学んだ[6]。
- 吉行淳之介の短編小説「樹々は緑か」の英訳版を読むことになった。ふと「これをもう一度そのまま日本語に直してみたらどうなるんだろう」と思い、冒頭の部分を訳してみた[7]。
脚注
[編集]- ^ 『やがて哀しき外国語』(村上春樹)|講談社BOOK倶楽部
- ^ 『やがて哀しき外国語』(村上春樹):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
- ^ “村上春樹作品2冊同時電子化および予約開始のお知らせ”. 読売新聞. (2015年10月27日) 2015年10月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b この2つのエピソードはその後、短編小説「偶然の旅人」で再び紹介されている(『東京奇譚集』新潮社、2005年9月、11-15頁)。
- ^ なお「スター・クロスト・ラヴァーズ」は、『国境の南、太陽の西』にも登場する。「学生時代にも教科書出版社に勤めていた頃にも、夜になるとデューク・エリントンのLP『サッチ・スウィート・サンダー』に入っている『スタークロスト・ラヴァーズ』のトラックを何度も何度も繰り返して聴いたものだった。そこではジョニー・ホッジスがセンシティブで品の良いソロを取っていた。」(同書、講談社文庫、131-132頁)
- ^ 本書、講談社文庫、221頁。
- ^ 村上の日本語訳と吉行のオリジナルの文章が対比されている(本書、講談社文庫、266-268頁)。