PRIMERGY 6000
別名 | USAC NetGLOBE9000III |
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開発元 | 富士通 |
種別 | オフィスコンピュータ |
発売日 | 2000年5月[1] |
販売終了日 | 2018年3月 |
OS | ASP |
CPU | Intel Pentiumシリーズ |
前世代ハード |
GRANPOWER 6000 (GP6000シリーズ) |
次世代ハード | FUJITSU Cloud Service for オフコン |
PRIMERGY 6000(プライマジー6000)は、富士通がかつて販売していたオフコンの名称。CPUにインテルのPentiumシリーズを採用。2000年5月に発表され[1]、2018年3月末で販売が終了した。販売パートナーの内田洋行が使っていた商品名はUSAC NetGLOBE9000III。
概要
[編集]FACOM Kシリーズ(K-200シリーズ,K-600シリーズ,FUJITSU K-6000シリーズ)[2]、GRANPOWER 6000(GP6000シリーズ)[3]の後継となるオフコン。上位互換性が高いので、FACOM Kシリーズからのユーザーが永い間蓄積してきた経営資産を、オープンシステム等で再構築(レガシーマイグレーション)するよりは容易に継承することが可能。GP6000シリーズ以降はインテルCPUを採用するなど、低コスト化を図っている。また、オープンシステムとの親和性もあり、Javaなどオープン系ソフトウェアの動作、企業間の電子データ交換(eコマース)や携帯機器にも対応したWebコンピューティング機能、電子帳票のメール自動配信機能など、現在の業務システムに求められるソリューションも提供されている。なお、オープンシステム(特にWindowsサーバ)と異なり、ウイルス感染などのセキュリティ上のリスクは非常に低い。
OSとして ASP (FACOM Kシリーズの中盤までは CSP)が動作し、主要言語は COBOL G (SQLに対応した富士通のCOBOL互換言語)。なお、COBOL GとJavaのプログラム間でデータ連携もできる。
Oracle等の他のRDBMSとの連携を図るため、PRIMERGY 6000はRDBMSとしての側面も持っている。Symfoware6000と呼ばれるPRIMERGY 6000のOSの中核部分に統合されているRDBMSを利用することができた。IBM iにおけるDB2 for IBM iと同様の関係である。Symfoware6000は、かつてのFX-RDB、RDB/6000の後継機能にあたる。尚、Symfoware Serverとは、コマンド体系など共通面も多い。但しPRIMERGY 6000には「1フィールドに全角文字と半角文字が混在できない」「文字コードに富士通独自の JEF を採用している」などの仕様があるため、他のRDBMSとの親和性が高いとは言い難い。
システム管理者のコンソールにはFMGシリーズ、利用者はFMGシリーズ、Kシリーズ端末エミュレータ(Windows上で動作する端末エミュレータ)、Webjet(ウェブブラウザ上で動作する端末エミュレータ)、MeFt/Web Pro(Webアプリケーションフレームワーク)などを用いる。
なお、富士通のIAサーバの冠ブランドであるPRIMERGYを掲げているが、PRIMERGY 6000とPRIMERGY(富士通のPCサーバ)の間には、動作互換性はない。
2014年4月から富士通のデータセンター上でオフコン用OSであるASPでの動作環境をエミュレーションするクラウドサービス「FUJITSU Cloudオフコンサービス」(後に「FUJITSU Cloud Service for オフコン」に改名)を開始した[4]。
2018年3月末のPRIMERGY 6000の販売終了後の移行先として、富士通からは上記のクラウドサービスへの移行が推奨されている。
課題
[編集]MOデータの移行
[編集]富士通のオフコンは、2007年3月に販売終了したPRIMERGY 6000/50まで、長らくMOが標準で本体に内蔵搭載されてきたが、2006年11月に販売開始したPRIMERGY 6000/60からはDVD-RAMドライブが標準で本体に内蔵搭載された代わりに、MOドライブは本体に内蔵搭載されなくなった。富士通は同時期にMOドライブの製造を打切り、さらに2012年3月にMOドライブのサポートも打切っている。また、PC用の富士通製MOドライブは、Windows 7以降の動作サポートをしていない。 かつて、PRIMERGY 6000では、MOへデータを保存する運用が一般的であったため、大量のMOデータを抱えるユーザーも少なくない。現在、MOへ保存したデータを参照するには、富士通製MOドライブとWindows Vista以前の古いPCを中古市場などで調達して移行作業する等の、不便な運用を余儀なくされている。
IBM形式フロッピーディスクデータの移行
[編集]現在、富士通のオフコンのフロッピーディスクは、DOS形式が採用されているが、かつてのFACOM Kシリーズでは、メインフレームとの互換性のため、IBM形式が採用されていた。 かつてのFACOM Kシリーズで保存したIBM形式フロッピーディスク上のデータは、そのままでは、PRIMERGY 6000では読取不可能である。なお、PCにて「F*TRAN」(富士通製のフロッピーデータ変換ソフトウェア)等を用いてDOS形式に変換すれば、PRIMERGY 6000で読取することは可能である。
2005年に発生した一斉フリーズ
[編集]2005年9月5日の午後3時に、OS「ASP」のV15かV16を搭載した PRIMERGY 6000(GRANPOWER 6000)が一斉にフリーズする事態が発生した。翌日以降も午後3時になると毎日フリーズする、基幹系システムとしては前代未聞の深刻な不具合であった。[5][6]PRIMERGY 6000 は、かつてよりユーザー側で修正パッチをダウンロードし適用する方法をとらず、PRIMERGY 6000 についての知識を持つSEかCEが修正パッチを適用する方法をとっていたため、緊急時に一斉に対応することが難しく、結果的に障害発生より丸一日経過しても復旧できなかったユーザーも多数存在した。なお、この障害とは別の修正パッチを適用していたサーバにはこの障害は発生しなかった。かつて、オフコンはユーザーインターフェースが扱いにくいなどの欠点がある反面、PCサーバやUNIXサーバなどのオープンシステムとは比較にならない程、堅牢性と信頼性が高い利点がある、と言われていた。しかしこの不具合の発生により、オフコン全般に対する評価が大きく揺らぐことになった。
関連項目
[編集]- FACOM
- GRANPOWER
- PFU - 前身であるユーザック電子工業が1984年に PRIMERGY 6000 の前身であるFACOM Kシリーズを実質的に開発
- 内田洋行 - かつてユーザック電子工業(現在のPFU)の販売代理店であった経緯で PRIMERGY 6000 を USAC NetGLOBE9000III ブランドにて販売
- 山田邦子 - PRIMERGY 6000 の前身であるFACOM Kシリーズのイメージキャラクタ(1988年〜1992年)
脚注
[編集]- ^ a b “【富士通】 FUJITSU PRIMERGY6000シリーズ”. IPSJコンピュータ博物館. 2021年4月3日閲覧。
- ^ FACOM Kシリーズを実質的に開発したユーザック電子工業(現在のPFU)の販売名は USAC2001シリーズ,USAC8800シリーズ(販売代理店は内田洋行)
- ^ 内田洋行・PFUの販売名は USAC NetGLOBE9000,USAC NETGlobe9000II
- ^ “オフコンをクラウド化した富士通の意図”. ITmedia エンタープライズ (2014年3月31日). 2021年4月3日閲覧。
- ^ 「GRANPOWER6000シリーズ」「PRIMERGY6000シリーズ」の障害に関するお知らせ - 富士通
- ^ OSの障害で5日午後3時に富士通の一部オフコンが異常停止 - 日経コンピュータ
外部リンク
[編集]- オフコン PRIMERGY 6000 - 富士通 (販売終了)
- FUJITSU Cloud Service for オフコン - 富士通 (移行先)
- ビジネスサーバ USAC NetGLOBE9000III(販売終了) - 内田洋行
- 内田洋行 オフコン広場 - 2009年5月7日閲覧。(Webアーカイブ)
- PRIMERGY 6000 から Windows への資産移行を支援 PowerFX for NetCOBOL - 富士通
- 富士通オフコン資産移行ソリューション - 富士通北陸システムズ
- 生産情報システム「FNASKT」 - 2010年10月21日閲覧。(Webアーカイブ)
- 富士通・PFU(ユーザック)のオフコンの歴史 - ウェイバックマシン(2019年3月30日アーカイブ分) - オフコン練習帳