NeosVR
ジャンル | MMO |
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対応機種 | Microsoft Windows, Linux, Android[注釈 1] |
開発元 | Solirax |
発売元 | Solirax |
デザイナー | "Frooxius" |
人数 | 多人数 |
発売日 |
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エンジン | Hybrid, FrooxEngine (custom) and Unity |
NeosVRは、Soliraxによって作成されたMMOバーチャルリアリティ・ソーシャルVRプラットフォームである。 2018年5月4日にMicrosoft Windows向けにSteamで無料リリースされた。現在は一部の機能が制限されたビルドがSteamから配信されており[注釈 2][注釈 3]、正式版は公式サイトにて無料[注釈 4]で配布されている。
2023年10月に、Soliraxからスピンアウトした開発者たちにより新たなソーシャルVR「Resonite」がサービスを開始した[注釈 5]。Resonite は自由度が高く多機能というNeosVRの特徴を引き継いでいる。
概要
[編集]NeosVRはVRChat、AltspaceVRなどのVR SNSと類似している [1][2]。2Dまたは3Dアバターを通して、お互いに相互作用でき、対応する機器を使用すれば、リップシンク、アイトラッキング、まばたきなどを表現可能。
ゲームのタイトルは「NeosVR」だが、プレイするためにVR機器は必要なく、デスクトップのみでプレイできる [3]。デスクトップモードでは、アバターの手足を自由に動かすことができない、一部の両手VRアイテムを使用できないなどの制限があるが、特定のオブジェクトにフォーカスしてVR空間を平面的に捉えたり、3人称視点に切り替えてカメラを移動させることが可能になっている。
NeosVRではVR空間内でワールドやオブジェクトを作成したり編集したりするための機能を備えている[4]。そのため、外部SDKを使用せずにNeosVR内からワールドやアバター、アイテムなどを編集することができる[5]。
また、NeosVRを起動しているウィンドウへファイルをドラッグ&ドロップするだけでコンテンツをVR空間に取り込むことができる[6]。このインポート機能では画像や音声、動画や3Dモデルなどいくつかのファイル形式をNeosVR内で扱えるものとしてサポートしており、これらのコンテンツをワールドやオブジェクトに組み込んで利用することも可能である。サポートされていないファイル形式であっても、それを「ファイル」としてVR空間に取り込むことができ、その場にいる他のユーザーに共有できる。この手順で共有されたコンテンツやファイルは、別のユーザーがコンピューター内にダウンロードすることも可能。
NeosVRには独自のノードベースのプログラミングシステム「LogiX」が用意されている。計算や特定の処理を行う「ノード」を「ワイヤー」で連結することで1つのプログラムをVR空間内で作る。これによってオブジェクトに動きを付ける、データを処理する、外部と通信を行うといった動作を実現でき、アバターやワールド、アイテムのギミックの実装を行う[7][8] 。
NeosVRにおいては、ワールドに参加する際には「セッション」に参加するか、セッションを新規に作成する。セッションを作成したユーザーは「ホストユーザー」と呼ばれ、ユーザーのネームプレートに王冠のバッジが付与される。NeosVRのセッションはP2P方式となっており、ホストユーザーがセッションを終了すると、そのセッション内のユーザーは全員他のセッションへ強制的に移動する。ユーザーは同時に複数のセッションに参加でき、参加済みのセッション間の移動はシームレスに行うことができる[9]。
各ユーザーは「インベントリ」と呼ばれるクラウドストレージを持っており、このストレージにNeosVR内で作成したコンテンツを自由に保存することができる。このクラウドストレージの容量は初期は1GBだが、後述するNCRを使ったり、Patreonで支援者になれば、支払った金額に応じて拡張される。このストレージはフォルダ形式でオブジェクトを管理でき、特定のフォルダを他人に公開し、配布することができる。
対応機器、ソフトウェア
[編集]NeosVRはOculus Rift 、Oculus Quest 、 HTC Vive 、 Valve Index 、 Windows MixedReality などの多数のVRヘッドセットをサポートしている [10]。指の動きや表情をトラッキング可能な機器を利用することで、その動きや表情をアバターに反映することができる。一般に「フルボディトラッキング」と呼ばれる腰と足のトラッキングでは、IK(インバースキネマティクス)によって動きが反映され、最大8つの追加トラッカーを身体の動きの追跡に使用できる。
コミュニティ
[編集]YouTuberやTwitchストリーマーらによって使用されている他、バージニア大学とオックスフォード人工知能協会によって、会議の開催や講義の実施にも使用されている [11]。
プラットフォーム内通貨
[編集]NeosVRではブロックチェーン技術を利用したいくつかの仮想通貨が提供されている。
NCR(Neosクレジット)
[編集]NeosVR内で流通している公式通貨であり[12]、仮想通貨。クリエイターとユーザーの進化するコミュニティに貢献するために設計されている。現在、他のユーザにチップとして送信したり、データを保存するクラウドストレージを購入することが出来る[13]。今後Neos Store、Neos Jobs、Neos Workshopと呼ばれる機能が実装されることが計画されており[14]、実現すればこれらの取引にNCRが用いられるとされる[15]。
KFC(Kompletely Fake Credits)
[編集]NeosVR内で流通しているゲーム内通貨で、名前にある通りFakeのCreditsであるためNCRとは異なり価値を持たない。NeosVRに登録すると1024KFCが付与される。主にユーザ間の取引においてのみ用いられ、ユーザが独自に作成したゲームワールド内での対価や報酬として使用されている。
CDFT(Community Developer Fund)
[編集]日本語でコミュニティデベロッパー基金と訳される。コミュニティの開発や成長への努力と貢献を行ったユーザに報いるために設計された基金。NeosチームとNeos創設者が対象となる人物を選定し、ユーザとNeosチームの中から選定される[注釈 6]。CDFTはそのまま取引を行うことが出来ない。CDFTはNCR ICOが十分な量のNCRを生成するたびに、1/20CDFTずつNCRに変換され、その後NCRとして取引が可能になる。[16]
関連項目
[編集]- AltspaceVR - Microsoftベースのバーチャルリアリティソーシャルプラットフォーム
- VRChat - 同様のバーチャルリアリティゲーム
- Sansar - Second Lifeチームによって開発された社会的な仮想現実プラットフォーム
参考文献
[編集]- ^ October 2016. “NeosVR Lets You Build Virtual Worlds With Others, Remotely And In Real Time” (英語). Tom's Hardware. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “NeosVR sets beta test of 'metaverse engine' for May 4” (英語). VentureBeat (2018年4月28日). 2020年7月24日閲覧。
- ^ “Command Line Arguments” (英語). NeosVR Wiki. 2020年7月24日閲覧。
- ^ James (2017年5月6日). “Watch: NeosVR "Metaverse Engine" World Building in Action, Latest Version Adds Cloud Functionality” (英語). Road to VR. 2020年7月22日閲覧。
- ^ Hayden (2019年2月18日). “'Neos VR' Update Brings "massive improvements" to User Friendliness, Social Features & More” (英語). Road to VR. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “3D Model Import” (英語). NeosVR Wiki. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “Hack.VR: A Programming Game in Virtual Reality”. 2022年8月17日閲覧。
- ^ James (2017年2月19日). “Watch: 'LogiX' is an Impressive Multi-User Visual Programming Interface for VR” (英語). Road to VR. 2020年7月22日閲覧。
- ^ “Architecture Overview” (英語). NeosVR Wiki. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “Supported Features” (英語). NeosVR Wiki. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “Virtual Reality World Creation with NEOS VR” (英語). Scholars’ Lab. 2020年7月24日閲覧。
- ^ “Neos Credits”. Neos Metaverse. 2022年8月1日閲覧。
- ^ “Neos クレジット/ストレージ容量を購入”. 2022年8月1日閲覧。
- ^ “Neos Store, Neos Jobs, Neos Workshop #145” (英語). GitHub. 2022年8月1日閲覧。
- ^ “Neosクレジット”. Neos Wiki. 2022年8月1日閲覧。
- ^ “コミュニティデベロッパー基金”. Neos Wiki. 2022年8月1日閲覧。
脚注
[編集]- ^ Android版のビルドはPatreonで月12$以上の支援をしたユーザにのみ公開されている。スマートフォン向けと、Meta Quest用、教育用の3種類のビルドが用意されている。
- ^ NeosVRでは後述するNCRという仮想通貨を取り扱っており、このようなブロックチェーン技術を用いたサービスのパブリッシュはSteamのガイドラインで禁じられている。
- ^ “Onboarding (Steamworks Documentation)” (2022年9月26日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ "NeosVR"をクレジットしない商用利用や、企業、組織が利用する場合は、別途Neos Proの有料ライセンスが必要になる。
- ^ 浅田カズラ (2023年10月8日). “ソーシャルVR「Resonite」リリース 圧倒的な自由度を誇る新たなプラットフォーム”. MoguLive. 2023年11月4日閲覧。
- ^ コミュニティメンバーは自分から立候補したり、また相応しい人物の推薦を行うことが出来る。また、Neosチームのメンバーの貢献は、利益相反を回避するために創設者のみが判断する。