コンテンツにスキップ

M84 (天体)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
M84
Messier 84
M84
M84
仮符号・別名 NGC 4374[1]
星座 おとめ座
見かけの等級 (mv) 10.49[1]
視直径 3.910' × 3.597'[1]
分類 E1 (楕円銀河)[1]
レンズ状銀河[2],
セイファート銀河[1]
発見
発見日 1781年3月18日[2]
発見者 シャルル・メシエ[2]
発見方法 望遠鏡による観測
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  12h 25m 03.74333s[1]
赤緯 (Dec, δ) +12° 53′ 13.1393″[1]
赤方偏移 0.003369[1]
視線速度 (Rv) 1008 km/s[1]
距離 6000万光年[2](約18Mpc)
M84の位置
M84の位置
Template (ノート 解説) ■Project

座標: 星図 12h 25m 03.74333s, +12° 53′ 13.1393″ M84(NGC 4374)はおとめ座にあるレンズ状銀河である。

概要

[編集]

口径5cmの望遠鏡で実に微かに見えたとする報告があるが一般には難しい。口径10cmの望遠鏡では隣のM86とともに見える。いずれも楕円に見えるが、M86の方がより楕円に見える。またM84の方が明るく小さく見える。口径20cmでは存在がはっきりと分かり、2つの銀河の他にNGC4388、NGC4435、NGC4438などの暗い銀河も見え始める。口径30cmではさらにNGC 4402、NGC 4387、NGC 4388などの銀河が見えてくる。このようにM84とM86の周辺を大口径の望遠鏡で低倍率で眺めると、数多くの銀河が集中していることが分かる。この領域からNGC 4435、NGC 4438、NGC 4461、NGC 4473、NGC 4477、NGC 4459、NGC 4474、M88までは銀河が一連の流れを作っているように見え、これはマルカリアンの鎖(マルカリアンの銀河鎖)とも呼ばれている。

M84の中心には小さなジェットが出ている。1997年ハッブル宇宙望遠鏡がこれを観察した。M84の中心には太陽の3億倍もの巨大ブラックホールがあるとされている。

観測史

[編集]

1781年3月18日にシャルル・メシエによって発見された[2]。メシエはこの夜、球状星団M92と8つの銀河を発見している[2]

メシエは「M84は星のない星雲で、中心部はかなり明るく、やや星雲状物質にとりかこまれている。明るさや外観はM59M60に似ている」としている[3]ジョン・ハーシェルは1868年のカタログに「非常に明るく、かなり大きい。丸く中央は急に明るくなっている。どうやら分離できる」とした[3]ハインリヒ・ダレストは「中心部がよく輝く。円形。中心部が次第に明るくなっている。最小限直径3'。核は10~13等星に匹敵する。星団に密接して小さな青白い小星雲が南に後続する」と記している。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME M84. 2016年1月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Hartmut Frommert,Christine Kronberg (2007年9月2日). “Messier Object 84”. SEDS. 2016年1月17日閲覧。
  3. ^ a b Hartmut Frommert, Christine Kronberg (2004年2月10日). “Messier 84 - Observations and Descriptions”. SEDS. 2016年1月17日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 中野繁『星雲星団の観測』恒星社厚生閣、1978年。ISBN 978-4769900559 
  • 浅田英夫『星雲星団ウォッチング』地人書館、1996年2月。ISBN 978-4805205013 
  • 渡部潤一『メシエ天体のすべて - 夜空に光るM1からM110まで』ニュートンプレスニュートン別冊〉、2007年1月。ISBN 978-4315517910