2015年ミャンマー総選挙
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2015年ミャンマー総選挙(2015ねんミャンマーそうせんきょ、ビルマ語: အထွေထွေ ရွေးကောက်ပွဲ၊ ၂၀၁၅)は、2015年11月8日に行われたミャンマー連邦共和国の立法府である連邦議会の総選挙である。
野党の国民民主連盟(NLD)が圧勝し、連邦議会の上下両院定数の86%(上院135、下院235)を獲得した。大統領選挙で国民民主同盟から正副大統領を選出し、軍政の流れを組む連邦団結発展党(USDP)から政権交代を実現した。
国民民主連盟の党首であるアウンサンスーチーは憲法の規定により大統領に就任できなかったため、新設された国家顧問に就任。事実上の行政府の長として政権を掌握した。
概要
[編集]前回と同じく2008年憲法に則り、連邦議会の民族代表院(上院)と人民代表院(下院)、7地方域・7州の地方議会において4分の1の軍人枠を除く議席が完全小選挙区制下で争われた。
前年の2014年にはNLD圧勝を阻むべく、USDPが比例代表制を導入しようとする動きがあり、NLDその他野党が反発したが、民族代表院(上院)で比例代表制を導入する決議が一旦なされた。しかし、結局、法案作成が間に合わず、両院とも小選挙区制下で争われることになった。また選挙前にテインセインは不出馬の意向を示した。
内戦の影響でシャン州7郡の選挙区とその他全国約450ヶ所の村で選挙が中止され、結局、選挙には91の政党、民族代表院168議席、人民代表院323議席、地方議会659議席がそれぞれ886人、1734人、3419人の候補者によって争われた[1]。
選挙データ
[編集]選挙結果
[編集]2015年11月18日に実施された総選挙でNLDは、国政選挙で約80%の議席、地方選挙で4分の3の議席を獲得して圧勝した。USDPはともに惨敗した。
NLDの勝因は圧倒的なスーチー人気。逆にUSDPはテインセイン政権下5年間の実績を訴えたものの、軍事政権の悪印象を引きずっていたこと、党組織の脆弱さ、死票の多い小選挙区制の特性が敗因となった。実際、議席数では差がついたものの、得票率においては、国政選挙はNLDが約60%、USDPが約30%とUSDPも国民の3分の1ほどの支持を受けていたのである。少数民族政党ではラカイン民族党(ANP)とシャン民族民主連盟(SNLD)が健闘した。
NLD関係者・支持者が恐れたのは選挙結果を反故にした1990年選挙の再来だったが、12月15日のスーチーとの会談後、タンシュエが「彼女が将来の国のリーダーになることは間違いない」 と述べ、スムーズな政権委譲が確約された[1]。
民族代表院(上院)
[編集]政党 | 議席数 | 増減 | 議席率 | |
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国民民主連盟(NLD) | 135 | 132 | 60.27% | |
連邦団結発展党(USDP) | 11 | 113 | 4.91% | |
ヤカイン民族党(ANP) | 10 | 4 | 4.46% | |
シャン民族民主連盟(SNLD) | 3 | 2 | 1.34% | |
タアン(パラウン)民族党 | 2 | 2 | 0.89% | |
ゾミ民主連盟(ZCD) | 2 | 2 | 0.89% | |
モン民族党(MNP) | 1 | 1 | 0.45% | |
国民統一党(NUP) | 1 | 4 | 0.45% | |
パオ民族機構(PNO) | 1 | 1 | 0.45% | |
無所属 | 2 | 2 | 0.89% | |
全モン地域民主党(AMRDP) | 0 | 4 | 0.00% | |
シャン民族民主党(SNDP) | 0 | 3 | 0.00% | |
諸派 | 0 | 18 | 0.00% | |
軍指名枠 | 56 | ± 0 | 25.00% | |
総計 | 224 | ± 0 | 100.0% | |
出典:Myanmar Times[2], UEC[3] |
人民代表院
[編集]党派 | 得票数 | 得票率 | 議席 | +/– |
---|---|---|---|---|
国民民主連盟(NLD) | 12,794,561 | 57.1 | 255 | 255 |
連邦団結発展党(USDP) | 6,341,920 | 28.2 | 30 | 229 |
ヤカイン民族党(ANP) | 490,664 | 2.2 | 12 | 12 |
シャン民族民主連盟(SNLD) | 352,914 | 1.6 | 12 | 12 |
タアン(パラウン)民族党 | 97,394 | 0.4 | 3 | 3 |
パオ民族機構(PNO) | 224,673 | 1.0 | 3 | |
ゾミ民主連盟(ZCD) | 27,142 | 0.1 | 2 | 2 |
リス民族発展党(LNDP) | 24,096 | 0.1 | 2 | 2 |
ワ民主党 | 8,216 | 0.0 | 1 | |
カチン州民主党(KSDP) | 27,877 | 0.1 | 1 | 1 |
コーカン民主統一党 | 13,990 | 0.1 | 1 | 1 |
国民統一党(NUP) | 419,442 | 1.9 | 0 | 12 |
モン民族党(MNP) | 94,621 | 0.42 | 0 | |
無所属 | 1,005,617 | 4.5 | 1 | – |
合計 | 22,423,629 | 100.0 | 323 | – |
出典: Psephos AdamCarrの選挙アーカイブ[4] |
脚注
[編集]- ^ a b 長田, 紀之 (2016). “2015年のミャンマー 新体制下初の総選挙で野党の国民民主連盟圧勝”. アジア動向年報 2016: 443–466. doi:10.24765/asiadoukou.2016.0_443 .
- ^ “The Myanmar Times Election Live”. ミャンマータイムズ. 20 November 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。10 November 2015閲覧。
- ^ “Announcement 93/2015”. 連邦選挙管理委員会. 20 November 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。20 November 2015閲覧。
- ^ “NATIONAL SUMMARY OF VOTES AND SEATS, Elections to the Pyithu Hluttaw (People's Assembly), REPUBLIC OF THE UNION OF BURMA LEGISLATIVE ELECTION OF 8 NOVEMBER 2015”. Psephos Adam Carr's Election Archive. 2018年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月24日閲覧。