韓国鉄道3000系電車
韓国鉄道公社3000系電車 | |
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3000系 | |
基本情報 | |
製造所 | 現代モービス、現代ロテム、宇進産電 |
主要諸元 | |
編成 | 10 |
軌間 | 1435 mm |
電気方式 | 直流1,500V |
設計最高速度 | 110 km/h |
起動加速度 | 3.0 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 | 1048人(立席)+528人(座席)=1576人 |
編成重量 | 342.8 t |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 3,200 mm |
車体幅 | 3,120 mm |
全高 | 4,480 mm |
車体高 | 3,750 mm |
床面高さ | 1,150 mm |
主電動機 |
三相交流かご式誘導電動機 三菱電機製 MB-5052-A(1次車) 現代ロテム製(2次車) 宇進産電製(3次車) |
主電動機出力 |
200 kW(持続定格) 230 kW(1時間定格) |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 16:101=1:6.31(1次車) |
編成出力 | 230 kW×20=4,600 kW |
制御方式 |
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御(1次車) IGBT素子VVVFインバータ制御(2,3次車) |
制御装置 |
三菱電機製 MAP-204-15V42[注 1](1次車) 現代ロテム(三菱電機技術供与)製(2次車) 宇進産電(三菱電機技術供与)製(3次車) |
制動装置 |
直流回生ブレーキ併用 電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | ATC(電鉄線区間、地下鉄線区間) |
備考 |
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3000系電車(3000けいでんしゃ)は、韓国鉄道公社(旧鉄道庁)の直流用通勤形電車。1996年の一山線開業によるソウル特別市地下鉄公社(現・ソウル交通公社)3号線との直通運転に備えて1995年末に10両編成10本100両、1996年~1997年に10両編成6本60両が登場し、10両編成16本160両が活躍している。2023年から2024年にかけて、1次車が2/3次車に置き換えられる形で引退した。
概要
[編集]VVVFインバータ制御のステンレス車体である。1次車の基本仕様はソウル交通公社4000系1次車と同様の設計となっているが、設計最高速度は110 km/hと引き上げられている。また、既存の韓国国鉄区間は走行しないので、地下鉄基準の直流設備のみ搭載している。
車両番号は当時、3000形ディーゼル機関車が在籍していたことと、ソウル特別市地下鉄公社3000系との重複を避けるため、3071から付番されている。そのため、鉄道ファンからは3070系と呼ばれることが多い。当車両の検査は全てソウル交通公社に委託されている。
3号線、一山線の全区間が直流電化であることから電気方式も全て直流であるため、交流電化には対応していない。一方で、2次車と3次車は交直流機器を搭載することが可能なスペースを設けている。
配属
[編集]- 全編成がソウル交通公社の紙杻車両事業所に配属されている。韓国鉄道では2011年より首都圏電鉄の車両の形式変更を行ったが、本系列は車両の管理をソウル交通公社に委託していることから変更の対象外となった。
車両概要
[編集]1次車
[編集]371編成 - 386編成がこの車両形態である。インバータ装置は日本の三菱電機製のものが使用されており、励磁音は都営地下鉄6300形や西武2000系のVVVF車に近い音を発する。編成は5M5Tで、付随車T1に補助電源装置(静止形インバータ)と空気圧縮機および蓄電池が設置されている。パンタグラフは5両のM車すべてに2基搭載しており、10基全てを上げて走行する。
本車両は「ナプチャギ」と同様韓国鉄道公社の通勤型車両の中でVVVFインバーター制御方式を採用した最初のグループ「第1世代車」に位置付けされるが[1]、車体および設計などはソウル交通公社4000系1次車やソウル交通公社新1000系1次車とほぼ同一であり、西武鉄道6000系に類似した前面を持つ。当初はステンレス車体に赤と青の細帯が巻かれており、都営地下鉄6300形を彷彿させるカラーリングであったが、現在では、帯の張替で路線カラーに合わせた橙色と青色を採用。
耐用年数が25年以上たった現在、老朽化が進んでおり、2次車と3次車によって順次置き換え・廃車が進み、2024年6月21日をもって全車両が運用から外れた。
2次車
[編集]現代ロテムが製造を担当。387編成 - 394編成がこの車両形態である。先頭車が非常に長く、「クチバシ」、「チュドゥンイ」という愛称が付いている第4世代車に位置付けされる。なお、第4世代車の中でも前面形状に改良を加え、内装も大幅に変更されたグループとなっており、311000系13次車や341000系5次車、351000系9次車などと同一設計である。一方でシングルアーム式パンタグラフではなく従来の下枠交差式パンタグラフを採用した。また、パンタグラフは5両のM車のうち3両に2基搭載しており、合計6基に削減された。
先頭車両の前面と側面に7色のカラー式LEDを搭載し、視認性を向上させている。
2023年3月から運行開始予定であったが、延期が重ねられており2023年8月まで営業運転が開始されておらず、1次車の廃車も進んでおり、それに伴い車両不足が発生してしまうため、一時的に341000系の341x27編成 - 341x29編成が3号線の運用を行っていた。その後、2023年8月2日から392編成が営業運転を開始し、2024年6月現在全編成が運行中。
3次車
[編集]宇進産電が製造を担当。395編成 - 399編成・368編成 - 370編成がこの車両形態である。平坦な前面が特徴的な「キューブ」という愛称が付いている第5世代車に位置付けされる。311000系14/15次車と同設計となっており、車体はダブルスキン構造のアルミニウム合金車体である。直流区間専用車両であるが、交流電化対応準備工事がなされた状態で製造された[2]。
試運転を開始してから、制御装置のソフトウェアが更新されピッチが低くなった。
2022年7月から試運転予定であったが、同社で製造しているソウル交通公社5000系4次車の納車が遅れたため、2022年12月に甲種輸送された。その後、2023年12月12日に395編成が営業運行を開始し、2024年7月現在全編成が運行中。
編成表
[編集]← 梧琴 大化 →
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号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 製造年 | 車両形態 |
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形式 | 3000形 | 3100形 | 3200形 | 3300形 | 3400形 | 3500形 | 3600形 | 3700形 | 3800形 | 3900形 | ||
区分 | Tc | M' | M' | T | M' | T1 | T | M' | M' | Tc | ||
搭載機器 | SIV,CP,BT | VVVF | VVVF | VVVF | SIV,CP,BT | VVVF | VVVF | SIV,CP,BT | ||||
車両番号 | 3071 | 3171 | 3271 | 3371 | 3471 | 3571 | 3671 | 3771 | 3871 | 3971 | 1995年 | 1次車 |
3072 | 3172 | 3272 | 3372 | 3472 | 3572 | 3672 | 3772 | 3872 | 3972 | |||
3073 | 3173 | 3273 | 3373 | 3473 | 3573 | 3673 | 3773 | 3873 | 3973 | |||
3074 | 3174 | 3274 | 3374 | 3474 | 3574 | 3674 | 3774 | 3874 | 3974 | |||
3075 | 3175 | 3275 | 3375 | 3475 | 3575 | 3675 | 3775 | 3875 | 3975 | |||
3076 | 3176 | 3276 | 3376 | 3476 | 3576 | 3676 | 3776 | 3876 | 3976 | |||
3077 | 3177 | 3277 | 3377 | 3477 | 3577 | 3677 | 3777 | 3877 | 3977 | |||
3078 | 3178 | 3278 | 3378 | 3478 | 3578 | 3678 | 3778 | 3878 | 3978 | 1996年 | ||
3079 | 3179 | 3279 | 3379 | 3479 | 3579 | 3679 | 3779 | 3879 | 3979 | |||
3080 | 3180 | 3280 | 3380 | 3480 | 3580 | 3680 | 3780 | 3880 | 3980 | |||
3081 | 3181 | 3281 | 3381 | 3481 | 3581 | 3681 | 3781 | 3881 | 3981 | |||
3082 | 3182 | 3282 | 3382 | 3482 | 3582 | 3682 | 3782 | 3882 | 3982 | |||
3083 | 3183 | 3283 | 3383 | 3483 | 3583 | 3683 | 3783 | 3883 | 3983 | |||
3084 | 3184 | 3284 | 3384 | 3484 | 3584 | 3684 | 3784 | 3884 | 3984 | 1997年 | ||
3085 | 3185 | 3285 | 3385 | 3485 | 3585 | 3685 | 3785 | 3885 | 3985 | |||
3086 | 3186 | 3286 | 3386 | 3486 | 3586 | 3686 | 3786 | 3886 | 3986 | |||
3087 | 3187 | 3287 | 3387 | 3487 | 3587 | 3687 | 3787 | 3887 | 3987 | 2022年 | 2次車 | |
3088 | 3188 | 3288 | 3388 | 3488 | 3588 | 3688 | 3788 | 3888 | 3988 | |||
3089 | 3189 | 3289 | 3389 | 3489 | 3589 | 3689 | 3789 | 3889 | 3989 | |||
3090 | 3190 | 3290 | 3390 | 3490 | 3590 | 3690 | 3790 | 3890 | 3990 | |||
3091 | 3191 | 3291 | 3391 | 3491 | 3591 | 3691 | 3791 | 3891 | 3991 | |||
3092 | 3192 | 3292 | 3392 | 3492 | 3592 | 3692 | 3792 | 3892 | 3992 | |||
3093 | 3193 | 3293 | 3393 | 3493 | 3593 | 3693 | 3793 | 3893 | 3993 | |||
3094 | 3194 | 3294 | 3394 | 3494 | 3594 | 3694 | 3794 | 3894 | 3994 | 2023年 | ||
3095 | 3195 | 3295 | 3395 | 3495 | 3595 | 3695 | 3795 | 3895 | 3995 | 2022年 | 3次車 | |
3096 | 3196 | 3296 | 3396 | 3496 | 3596 | 3696 | 3796 | 3896 | 3996 | 2023年 | ||
3097 | 3197 | 3297 | 3397 | 3497 | 3597 | 3697 | 3797 | 3897 | 3997 | |||
3098 | 3198 | 3298 | 3398 | 3498 | 3598 | 3698 | 3798 | 3898 | 3998 | |||
3099 | 3199 | 3299 | 3399 | 3499 | 3599 | 3699 | 3799 | 3899 | 3999 | |||
3068 | 3168 | 3268 | 3368 | 3468 | 3568 | 3668 | 3768 | 3868 | 3968 | |||
3069 | 3169 | 3269 | 3369 | 3469 | 3569 | 3669 | 3769 | 3869 | 3969 | |||
3070 | 3170 | 3270 | 3370 | 3470 | 3570 | 3670 | 3770 | 3870 | 3970 |
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改造工事
[編集]内装材の不燃化改造
[編集]2003年に発生した大邱地下鉄放火事件をきっかけに、2005年から2006年にかけて内装材を不燃材に交換する改造が行われた。この改造工事に合わせて車体帯の張り替えと、方向幕および列車番号表示器を発光ダイオード(LED)による表示器に交換する改造も同時に実施された。
自動放送装置の交換
[編集]2007年に車内自動放送装置の音源をROM方式からMP3方式に交換する改造が行われた。
今後の予定
[編集]2023年に、2次車の387編成 - 394編成と3次車の395編成 - 399編成・368編成 - 370編成の合計16編成160両を導入し、1次車を全て置き換える予定である。2024年6月21日付で、1次車の営業運行が終了した。
脚注
[編集]- ^ “한국철도공사 전동차”. 나무위키 (2024年6月23日). 2024年6月23日閲覧。
- ^ “3큐브 지붕이 독특한점 - 모노레일 마이너 갤러리” (朝鮮語). gall.dcinside.com. 2024年6月23日閲覧。