コンテンツにスキップ

韓国鉄道3000系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
韓国鉄道公社3000系から転送)
韓国鉄道公社3000系電車
3000系
基本情報
製造所 現代モービス現代ロテム宇進産電
主要諸元
編成 10
軌間 1435 mm
電気方式 直流1,500V
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 1048人(立席)+528人(座席)=1576人
編成重量 342.8 t
全長 20,000 mm
全幅 3,200 mm
車体幅 3,120 mm
全高 4,480 mm
車体高 3,750 mm
床面高さ 1,150 mm
主電動機 三相交流かご式誘導電動機
三菱電機製 MB-5052-A(1次車)
現代ロテム製(2次車)
宇進産電製(3次車)
主電動機出力 200 kW(持続定格)
230 kW(1時間定格)
駆動方式 WNドライブ
歯車比 16:101=1:6.31(1次車)
編成出力 230 kW×20=4,600 kW
制御方式 GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御(1次車)
IGBT素子VVVFインバータ制御(2,3次車)
制御装置 三菱電機製
MAP-204-15V42[注 1](1次車)
現代ロテム(三菱電機技術供与)製(2次車)
宇進産電(三菱電機技術供与)製(3次車)
制動装置 直流回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATC(電鉄線区間、地下鉄線区間)
備考
  1. ^ この型番には議論があり、MAP-204-D15V41という説がある
テンプレートを表示

3000系電車(3000けいでんしゃ)は、韓国鉄道公社(旧鉄道庁)の直流用通勤形電車1996年一山線開業によるソウル特別市地下鉄公社(現・ソウル交通公社3号線との直通運転に備えて1995年末に10両編成10本100両、1996年~1997年に10両編成6本60両が登場し、10両編成16本160両が活躍している。2023年から2024年にかけて、1次車が2/3次車に置き換えられる形で引退した。

概要

[編集]

VVVFインバータ制御ステンレス車体である。1次車の基本仕様はソウル交通公社4000系1次車と同様の設計となっているが、設計最高速度は110 km/hと引き上げられている。また、既存の韓国国鉄区間は走行しないので、地下鉄基準の直流設備のみ搭載している。

車両番号は当時、3000形ディーゼル機関車が在籍していたことと、ソウル特別市地下鉄公社3000系との重複を避けるため、3071から付番されている。そのため、鉄道ファンからは3070系と呼ばれることが多い。当車両の検査は全てソウル交通公社に委託されている。

3号線、一山線の全区間が直流電化であることから電気方式も全て直流であるため、交流電化には対応していない。一方で、2次車と3次車は交直流機器を搭載することが可能なスペースを設けている。

配属

[編集]
  • 全編成がソウル交通公社の紙杻車両事業所朝鮮語版に配属されている。韓国鉄道では2011年より首都圏電鉄の車両の形式変更を行ったが、本系列は車両の管理をソウル交通公社に委託していることから変更の対象外となった。

車両概要

[編集]

1次車

[編集]

371編成 - 386編成がこの車両形態である。インバータ装置は日本三菱電機製のものが使用されており、励磁音は都営地下鉄6300形西武2000系のVVVF車に近い音を発する。編成は5M5Tで、付随車T1に補助電源装置(静止形インバータ)と空気圧縮機および蓄電池が設置されている。パンタグラフは5両のM車すべてに2基搭載しており、10基全てを上げて走行する。

3000系1次車

本車両は「ナプチャギ」と同様韓国鉄道公社の通勤型車両の中でVVVFインバーター制御方式を採用した最初のグループ「第1世代車」に位置付けされるが[1]、車体および設計などはソウル交通公社4000系1次車ソウル交通公社新1000系1次車とほぼ同一であり、西武鉄道6000系に類似した前面を持つ。当初はステンレス車体にの細帯が巻かれており、都営地下鉄6300形を彷彿させるカラーリングであったが、現在では、帯の張替で路線カラーに合わせた橙色と青色を採用。

耐用年数が25年以上たった現在、老朽化が進んでおり、2次車と3次車によって順次置き換え・廃車が進み、2024年6月21日をもって全車両が運用から外れた。

2次車

[編集]
3000系2次車

現代ロテムが製造を担当。387編成 - 394編成がこの車両形態である。先頭車が非常に長く、「クチバシ」、「チュドゥンイ」という愛称が付いている第4世代車に位置付けされる。なお、第4世代車の中でも前面形状に改良を加え、内装も大幅に変更されたグループとなっており、311000系13次車341000系5次車、351000系9次車などと同一設計である。一方でシングルアーム式パンタグラフではなく従来の下枠交差式パンタグラフを採用した。また、パンタグラフは5両のM車のうち3両に2基搭載しており、合計6基に削減された。

先頭車両の前面と側面に7色のカラー式LEDを搭載し、視認性を向上させている。

2023年3月から運行開始予定であったが、延期が重ねられており2023年8月まで営業運転が開始されておらず、1次車の廃車も進んでおり、それに伴い車両不足が発生してしまうため、一時的に341000系の341x27編成 - 341x29編成が3号線の運用を行っていた。その後、2023年8月2日から392編成が営業運転を開始し、2024年6月現在全編成が運行中。

3次車

[編集]
3000系3次車

宇進産電が製造を担当。395編成 - 399編成・368編成 - 370編成がこの車両形態である。平坦な前面が特徴的な「キューブ」という愛称が付いている第5世代車に位置付けされる。311000系14/15次車と同設計となっており、車体はダブルスキン構造のアルミニウム合金車体である。直流区間専用車両であるが、交流電化対応準備工事がなされた状態で製造された[2]

試運転を開始してから、制御装置のソフトウェアが更新されピッチが低くなった。

2022年7月から試運転予定であったが、同社で製造しているソウル交通公社5000系4次車の納車が遅れたため、2022年12月に甲種輸送された。その後、2023年12月12日に395編成が営業運行を開始し、2024年7月現在全編成が運行中。

編成表

[編集]
 
梧琴
大化
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 製造年 車両形態
形式 3000形 3100形 3200形 3300形 3400形 3500形 3600形 3700形 3800形 3900形
区分 Tc M' M' T M' T1 T M' M' Tc
搭載機器 SIV,CP,BT VVVF VVVF VVVF SIV,CP,BT VVVF VVVF SIV,CP,BT
車両番号 3071 3171 3271 3371 3471 3571 3671 3771 3871 3971 1995年 1次車
3072 3172 3272 3372 3472 3572 3672 3772 3872 3972
3073 3173 3273 3373 3473 3573 3673 3773 3873 3973
3074 3174 3274 3374 3474 3574 3674 3774 3874 3974
3075 3175 3275 3375 3475 3575 3675 3775 3875 3975
3076 3176 3276 3376 3476 3576 3676 3776 3876 3976
3077 3177 3277 3377 3477 3577 3677 3777 3877 3977
3078 3178 3278 3378 3478 3578 3678 3778 3878 3978 1996年
3079 3179 3279 3379 3479 3579 3679 3779 3879 3979
3080 3180 3280 3380 3480 3580 3680 3780 3880 3980
3081 3181 3281 3381 3481 3581 3681 3781 3881 3981
3082 3182 3282 3382 3482 3582 3682 3782 3882 3982
3083 3183 3283 3383 3483 3583 3683 3783 3883 3983
3084 3184 3284 3384 3484 3584 3684 3784 3884 3984 1997年
3085 3185 3285 3385 3485 3585 3685 3785 3885 3985
3086 3186 3286 3386 3486 3586 3686 3786 3886 3986
3087 3187 3287 3387 3487 3587 3687 3787 3887 3987 2022年 2次車
3088 3188 3288 3388 3488 3588 3688 3788 3888 3988
3089 3189 3289 3389 3489 3589 3689 3789 3889 3989
3090 3190 3290 3390 3490 3590 3690 3790 3890 3990
3091 3191 3291 3391 3491 3591 3691 3791 3891 3991
3092 3192 3292 3392 3492 3592 3692 3792 3892 3992
3093 3193 3293 3393 3493 3593 3693 3793 3893 3993
3094 3194 3294 3394 3494 3594 3694 3794 3894 3994 2023年
3095 3195 3295 3395 3495 3595 3695 3795 3895 3995 2022年 3次車
3096 3196 3296 3396 3496 3596 3696 3796 3896 3996 2023年
3097 3197 3297 3397 3497 3597 3697 3797 3897 3997
3098 3198 3298 3398 3498 3598 3698 3798 3898 3998
3099 3199 3299 3399 3499 3599 3699 3799 3899 3999
3068 3168 3268 3368 3468 3568 3668 3768 3868 3968
3069 3169 3269 3369 3469 3569 3669 3769 3869 3969
3070 3170 3270 3370 3470 3570 3670 3770 3870 3970
凡例
  • VVVF -主制御装置
  • SIV -静止形インバータ
  • CP -空気圧縮機
  • BT -蓄電池
備考
  • 太字は1次車の置き換え用車両。
  • 斜体は2024年6月現在廃車済み。
  • 1次車のパンタグラフは、M'(3100形、3200形、3400形、3700形、3800形)に下枠交差形を2基ずつ搭載する。
  • 2次車、3次車のパンタグラフは、M'(3200形、3400形、3800形)に下枠交差形を2基ずつ搭載する。

改造工事

[編集]

内装材の不燃化改造

[編集]

2003年に発生した大邱地下鉄放火事件をきっかけに、2005年から2006年にかけて内装材を不燃材に交換する改造が行われた。この改造工事に合わせて車体帯の張り替えと、方向幕および列車番号表示器を発光ダイオード(LED)による表示器に交換する改造も同時に実施された。

自動放送装置の交換

[編集]

2007年に車内自動放送装置の音源をROM方式からMP3方式に交換する改造が行われた。

今後の予定

[編集]

2023年に、2次車の387編成 - 394編成と3次車の395編成 - 399編成・368編成 - 370編成の合計16編成160両を導入し、1次車を全て置き換える予定である。2024年6月21日付で、1次車の営業運行が終了した。

脚注

[編集]
  1. ^ 한국철도공사 전동차”. 나무위키 (2024年6月23日). 2024年6月23日閲覧。
  2. ^ 3큐브 지붕이 독특한점 - 모노레일 마이너 갤러리” (朝鮮語). gall.dcinside.com. 2024年6月23日閲覧。

関連項目

[編集]