聖母たちのララバイ
「聖母たちのララバイ」 | ||||||||||
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岩崎宏美 の シングル | ||||||||||
初出アルバム『夕暮れから…ひとり』 | ||||||||||
B面 |
赤い糸(1982年盤) 家路(1993年盤) | |||||||||
リリース | ||||||||||
ジャンル |
歌謡曲 バラード | |||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | ビクター音楽産業 | |||||||||
作詞・作曲 |
作詞:山川啓介 作曲:木森敏之、John Scott | |||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
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岩崎宏美 シングル 年表 | ||||||||||
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「聖母たちのララバイ」(マドンナたちのララバイ)は、1982年5月21日にリリースされた岩崎宏美の28枚目のシングル。
制作
[編集]原題は「聖母の子守歌」[2]。日本テレビ『火曜サスペンス劇場』初代エンディングテーマで、当初はエンドロール用に1コーラス分のみ制作された。発売予定はなかったが、視聴者から作品化の要望が殺到したため、正式なレコードとして発売されることになった。
しかし楽曲前半のメロディの大部分が、映画『ファイナル・カウントダウン』の劇中BGM"Mr. and Mrs. Tideman"に酷似していると、同曲の作曲者であるジョン・スコットが抗議した。作曲者の木森は盗用を認め、レコードジャケットの表記を「作曲: 木森敏之・John Scott、編曲: 木森敏之」に修正する必要が生じ、シングル発売が当初の予定から1か月遅れた[3] 。その間のつなぎとして、抽選で200人にカセットテープをプレゼントする企画を行った[4][5]ところ、応募数が35万通[6][7][8]を超えた。これは過去に同様の企画を行った『西遊記』エンディングテーマ「ガンダーラ」の10万通を大きく上回る数であった[6]。
歌詞の意味について、作詞者の山川啓介は「(サスペンスドラマが)そのまま終わるより、安らかな気持ちで眠りについてほしいから」と説明している。[9]
発売後
[編集]発売2週目にオリコンシングルチャートで1位を獲得。「センチメンタル」以来約7年ぶり、通算3作目のチャート1位シングルとなった。オリコン集計では80万枚を超え、累計では130万枚[10][11]を売り上げ、同年のオリコン年間シングルチャート3位を記録した。TBS『ザ・ベストテン』では「すみれ色の涙」以来3作ぶりにランクインし(通算14週間)、岩崎唯一の1位獲得作品となった。
同年11月には第13回日本歌謡大賞を受賞。第24回日本レコード大賞の受賞にも期待が高まっていたが、先述の通りジョン・スコットとの連名作品であるため、日本レコード大賞の審査対象外であった[3]。
オリジナル・キーはBm〈ロ短調〉で、最高音がDであり、これは当時の岩崎の地声の音域ギリギリであった。そのためテレビやライブ等生で唄う際は半音下げてB♭m〈変ロ短調〉で歌唱していた。オリジナル・キーのカラオケを使用して唄う場合には、サビでファルセットを用いていた。これが当時オリコン誌上で〝半音下げたりファルセットを用いたりすると緊張感に乏しく、良い歌に聞こえない〟と論争を呼んだ。その後現在に至るまでB♭mで唄っているが、1985年頃からは半音下げたキーでもサビにファルセットを用いて歌唱するようになった。アルバム『誕生 〜BIRTH〜』以降の別バージョンは全てファルセットを用いて吹き込んでいる。
翌1983年の春には第55回選抜高等学校野球大会の入場行進曲に採用された。岩崎の楽曲の起用は1976年の「センチメンタル」以来7年ぶり2度目である。
収録曲
[編集]オリジナル盤
[編集]- 聖母たちのララバイ(4分18秒)
- 作詞:山川啓介/作曲:木森敏之、John Scott/編曲:木森敏之
- 赤い糸(4分43秒)
- 作詞:山崎光/作曲:あすなろ/編曲:萩田光雄
価格
[編集]- 発売当時の価格は700円
1993年再発盤
[編集]- 聖母たちのララバイ
- 作詞: 山川啓介、作曲: 木森敏之・John Scott、編曲: 木森敏之
- 家路
- 作詞: 山川啓介、作曲・編曲: 木森敏之
- 聖母たちのララバイ(オリジナル・カラオケ)
- 家路(オリジナル・カラオケ)
別バージョン
[編集]※ライブ音源を除く
- 収録アルバム: 『夕暮れから…ひとり』(1982年7月5日発売、2007年4月25日紙ジャケ復刻)/編曲: 木森敏之
- 『火曜サスペンス劇場』エンディングで使われたTVバージョン。
- 収録アルバム: 『誕生』(1989年11月21日発売)/編曲: 樋口康雄
- ストリングス、フリューゲルホルン、ピアノにパーカッションを加えたアコースティック・バージョン。
- 収録アルバム: 『MY GRATITUDE 〜感謝』(1995年8月23日発売)/編曲: 塩谷哲(元編曲: 樋口康雄)
- 金子飛鳥&ASKA STRINGSに塩谷のピアノを加えたアコースティック・バージョン。
- 収録アルバム: 『30TH ANNIVERSARY BOX』(2004年4月25日発売)/編曲: 寺本正樹
- 2004バージョン。比較的オリジナルに忠実な編曲。
- 収録アルバム: 『PRAHA』(2007年9月26日発売)/編曲: 野見祐二
- チェコ・フィルハーモニー管弦楽団60人の大編成によるフルオーケストラ・バージョン。
カバー
[編集]- 森進一 (1982年、アルバム『北酒場』収録)
- 宮村優子(1998年、アルバム『産休(Thank You)』収録)
- 杏里(2007年、アルバム『tears of anri』収録)
- 都はるみ(2008年、アルバム『エンカのチカラ -SONG IS LOVE 80's&90's-』収録)
- 島津亜矢(2010年、アルバム『Singer』収録)
- マーチングフェローズオーケストラ - インストゥルメンタル。シングルレコード「聖母たちのララバイ/少女A」として発売。
脚注
[編集]- ^ 別冊宝島2611『80年代アイドルcollection』p.38.
- ^ 第4回放送「さよならも言わずに消えた!」ではエンドクレジットで「聖母の子守唄」と紹介された。
- ^ a b NEWS ONLINE 編集部 (2020年7月12日). “岩崎宏美「聖母たちのララバイ」がレコード大賞を獲れなかった意外な理由”. ニッポン放送 NEWS ONLINE. ニッポン放送. 2023年9月18日閲覧。
- ^ 読売新聞(夕刊)1982年5月1日付 6面
- ^ “【1982年7月】聖母たちのララバイ/応募28万通!岩崎宏美 急きょレコード化で久々1位 - スポニチ Sponichi Annex 芸能”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年6月27日閲覧。
- ^ a b 読売新聞社文化部『この歌この歌手―運命のドラマ120』 下〈現代教養文庫〉、1997年、177頁。ISBN 4390116029。
- ^ 長田暁二『歌謡曲おもしろこぼれ話』社会思想社、2002年、284頁。ISBN 4390116495。
- ^ ただし、前述のスポニチでは28万枚としている。
- ^ 2014.5.5NHK FMの番組[要出典]
- ^ 岩崎宏美[プロフィール]- IMPERIAL RECORDS
- ^ 塩澤実信『不滅の昭和歌謡 あの歌手にこの名曲あり』北辰堂出版、2017年、55頁。ISBN 978-4-86427-219-3。