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矢内原伊作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
矢内原 伊作
やないはら いさく
人物情報
生誕 (1918-05-02) 1918年5月2日
日本の旗 日本愛媛県
死没 (1989-08-16) 1989年8月16日(71歳没)
東京都
胃癌
国籍 日本の旗 日本
出身校 京都帝国大学文学部哲学科
両親 父:矢内原忠雄
学問
研究分野 哲学評論家
研究機関 法政大学など
称号 法政大学名誉教授
主な業績 哲学の研究
造形芸術の研究
主要な作品 『ジャコメッティとともに』((毎日出版文化賞(1969年))
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矢内原 伊作(やないはら いさく、1918年5月2日 - 1989年8月16日)は、日本哲学者評論家翻訳家法政大学名誉教授。

経歴

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戦前

1918年、矢内原忠雄の長男として愛媛県に生まれた[1]聖書イサクに因んで名づけられた。東京府立一中第一高等学校理科を経て、京都帝国大学文学部哲学科で学んだ。1941年に卒業し[1]、1942年に海軍予備学生として応召。

戦後

復員後サルトルカミュに惹かれ、本格的に実存主義の立場で哲学を研究。また造形芸術に関心が深く、渡仏し彫刻家ジャコメッティと深い親交を結んだ。そのため、数多くの矢内原伊作の肖像画や胸像が製作されている[2]。1948年宇佐見英治らとともに文芸誌『同時代』を創刊し[1]、ジャコメッティのアトリエでの対話をはじめとする数々のエッセイを発表。1969年、『ジャコメッティとともに』で毎日出版文化賞受賞。画壇関係者との交遊関係も幅広く、日本洋画家の堀内規次とは親友であった。

1951年、大阪大学文学部助教授に就いた。1966年、同志社大学文学部助教授に転じた。学習院大学助教授を経て、1970年に法政大学文学部哲学科教授に就任[1]。1989年3月に法政大学を定年退職し、名誉教授となったが、同年夏に没した。墓所は多磨霊園

受賞

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著作

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著書

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  • 矢内原伊作エッセイ」全5冊(雄渾社) 1970 - 1971
  1. 『海について』
  2. 『現代人生論ノート』
  3. 『文学論集』
  4. 『芸術論集』
  5. 『芸術家との対話』
  • 『若き日の日記 われ山にむかひて』(現代評論社) 1974
  • 『リルケの墓 ヴァレー紀行』(創文社) 1976
  • 『人生の手帖 生きる智慧についての11章』(じゃこめてい出版) 1976
  • 『歩きながら考える』(みすず書房) 1982
  • 『古寺思索の旅』(時事通信社) 1983
  • 『たちどまって考える』(みすず書房) 1984
  • 『話しながら考える』(みすず書房) 1986
  • 矢内原伊作の本」全5冊(みすず書房) 1986 - 1987
  1. 『顔について』
  2. 『終末の文学』
  3. 『芸術と芸術家』
  4. 『人生の手帖』
  5. 『モンマルトル便り』
  • 『矢内原伊作詩集 1941 - 1989』(思潮社) 1994
  • 『ジャコメッティ』(宇佐見英治・武田昭彦編、みすず書房) 1996
  • 『矢内原忠雄伝』(みすず書房) 1998[3]
  • 『完本 ジャコメッティ手帖』全2巻(酒井忠康序文、武田昭彦解題、菅野洋人澤田直李美那編、みすず書房) 2010


共編著

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  • 『ジャコメッティ GIACOMETTI』編・解説、みすず書房 1958
  • 『京都の庭』(入江泰吉写真、淡交新社) 1962
    • 新版 1977年
  • 室生寺』(井上博道写真、淡交新社) 1964
  • 神護寺 / 高山寺』(井上博道写真、淡交新社) 1965
  • 『石との対話』(井上博道写真、淡交新社) 1966
  • 『古寺巡礼京都13 広隆寺』(淡交社) 1977[4]
  • 『対談 ジャコメッティについて』(宇佐見英治、用美社) 1983
    • 改題新版『見る人 ジャコメッティと矢内原』(みすず書房) 1999[5]
  • 『ジャコメッティとの日々 写真集』(用美社) 1986
  • 『アルバム ジャコメッティ』(撮影・テクスト、みすず書房) 1999


翻訳

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脚注

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  1. ^ a b c d 東京国立文化財研究所「矢内原伊作」『日本美術年鑑』(平成2年版)大蔵省印刷局、東京都、1991年3月。ISBN 978-4173104659https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10254.html2015年2月3日閲覧 
  2. ^ ジャコメッティと哲学者(美術手帳2019.4.13)
  3. ^ 遺作(未完)出版。
  4. ^ その他の号は清瀧英弘(住職)編。
  5. ^ 対談のほかにエッセー、追悼回想も含む。
  6. ^ モディリアニとジャンヌ・エビュテルヌとの娘。

外部リンク

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