コンテンツにスキップ

標準L-函数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数論において、標準L-函数(standard L-function)という用語は、ロバート・ラングランズ(Robert P. Langlands)により保型L-函数の特別なタイプとして使われた [1] [2]。ここに、「標準」とは行列群としてL-群の標準表現である有限次元表現を意味する。

他の L-函数との関係

[編集]

標準L-函数は、最も一般的な L-函数のタイプと考えられる。それらは予想として、すべての L-函数の例を含んでいると考えられ、特にセルバーグクラスと一致すると考えられている。さらに、任意の数体上のすべての L-函数は、有理数体 Q 上の一般線型群 GL(n) の標準 L-函数であると広く考えられている。保型形式の理論はときに L-函数の構造を与えることがあるので、標準 L-函数が L-函数に関するステートメントを検証することに有益な道具となっている。

解析的性質

[編集]

これら標準 L-函数は、ロジェ・ゴドマン英語版(Roger Godement)とハーベ・ジャケ英語版(Hervé Jacquet)により常に整関数であることが証明され[3]が、唯一の例外がリーマンゼータ函数で、n = 1 のときに発生する。別証明は、後日、フレドーン・シャヒーディ英語版(Freydoon Shahidi)により、ラングランズ=シャヒーディの方法を使って行われた。より広い議論は、Gelbart & Shahidi (1988) [4]を参照。

関連項目

[編集]

参考文献

[編集]
  1. ^ Langlands, R.P. (1978), L-Functions and Automorphic Representations (ICM report at Helsinki), http://publications.ias.edu/sites/default/files/lfunct-ps.pdf .
  2. ^ Borel, A. (1979), “Automorphic L-functions”, Automorphic forms, representations and L-functions (Oregon State Univ., Corvallis, Ore., 1977), Part 2, Proc. Sympos. Pure Math., XXXIII, Providence, R.I.: Amer. Math. Soc., pp. 27–61, MR546608 .
  3. ^ Godement, Roger; Jacquet, Hervé (1972), Zeta functions of simple algebras, Lecture Notes in Mathematics, 260, Berlin-New York: Springer-Verlag, MR0342495 .
  4. ^ Gelbart, Stephen; Shahidi, Freydoon (1988), Analytic properties of automorphic L-functions, Perspectives in Mathematics, 6, Boston, MA: Academic Press, Inc., ISBN 0-12-279175-4, MR951897 .