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植木雅俊

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植木 雅俊
人物情報
生誕 (1951-08-11) 1951年8月11日(73歳)
日本の旗 日本 長崎県
学問
研究分野 仏教学
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植木 雅俊(うえき まさとし、1951年8月11日[1][2] - )は、日本の仏教学者。理科系出身で多面的な仏教思想研究を行っている。

経歴

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1951年、長崎県生まれ。島原高校を経て、九州大学理学部物理学科で学んだ[2]。同大学院理学研究科修士課程修了し[2]、理学修士号を取得。東洋大学大学院文学研究科へ進み、博士後期課程中退[2]。1991年から東方学院中村元に学んだ[2]

2002年、お茶の水女子大学に学位論文「仏教におけるジェンダー平等の研究──『法華経』に至るインド仏教からの考察」を提出して博士号人文科学)を取得[2][3](男性初[2])。2008年から2013年まで、東京工業大学世界文明センターで非常勤講師を務める。NHK文化センター[2]、朝日カルチャーセンターでも講座を持つ。日本ペンクラブ会員。日本印度学仏教学会会員。比較思想学会会員。

受賞

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  • 1992年:小説『サーカスの少女』でコスモス文学新人賞を受賞。
  • 2008年:第62回毎日出版文化賞を受賞[2]。岩波文庫および中央公論社版の『法華経』の各サンスクリット原典訳の問題点(前者に関しては500箇所余り)を検討・批判した注釈で、1.サンスクリット原文、2.鳩摩羅什訳の書き下し文と、3.サンスクリット語からの現代語訳を対照した『梵漢和対照・現代語訳 法華経』(上・下)の功績に対して。
  • 2013年:第11回パピルス賞を受賞[2]。1999年にチベットのポタラ宮殿で発見された『維摩経』のサンスクリット原典を現代語訳した『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』の功績による。

その他の活動

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2006年10月20日に東京大学仏教青年会で「仏教の女性観─その男女平等思想を考える─」と題して講演。

2007年3月24日に法政大学国際日本学研究所で「仏教受容の仕方についての日中の比較」と題して研究報告を行なう。後に増補し『仏教、本当の教え――インド、中国、日本の理解と誤解』(中公新書)で出版。

2008年12月21日放送の『菅原文太 日本人の底力』(ニッポン放送)で俳優の菅原文太と、毎日出版文化賞を受賞した『梵漢和対照・現代語訳 法華経』をめぐって対談。

2010年度後期に東京工業大学世界文明センターで「思想としての法華経」と題し集中講義を行なう。後にそれをもとに『思想としての法華経』(岩波書店)を出版。

2013年1月20日、NPO法人東京自由大学で「仏教との出会いと、その後」と題して講演。

2013年に作家の安部龍太郎歴史小説『等伯』を執筆する際に、『法華経』の思想や、長谷川等伯の「松林図」(国宝)についての『法華経』からの思想的意義付けについて、安部にアドバイスした[4]

2013年5月11日、日本近代文学館(東京・目黒区駒場)の主催する第73回「声のライブラリー」(自作の朗読と座談会)で『梵漢和対照・現代語訳 法華経』から「長者窮子の譬え」の箇所を朗読(20分)、続いて詩人の伊藤比呂美の司会で、古典エッセイストの大塚ひかりと座談会を行なう[5]

2013年7月14日、真宗大谷派名古屋別院「信道講座」で「鳩摩羅什訳の絶妙さ」と題し講演(「信道 2013年度」2014年10月発行に収録)。

2013年7月26日、創価大学の創価教育研究所の招きで、「絶妙だった鳩摩羅什訳ーーサンスクリット語から『法華経』『維摩経』を翻訳して」と題して講演(「創価教育」第7号に収録)。

2014年1月11日、NPO法人東京自由大学(理事長、鎌田東二京都大学教授)の主催する「人類の知の遺産・第VIII期6:中村元―わが尊敬する恩師」と題して講演。

2014年2月23日、福岡県文化団体連合会(会長、貫正義)の主催する「パピルス賞受賞記念・植木雅俊文化講演会」で「私の学問人生」と題して講演。

2014年6月15日、日本現代詩人会H氏賞の授賞式で記念講演「お釈迦さまも詩人であった」を行う。

2015年1月1日、学士会(理事長=久保正彰・元日本学士院院長)の「學士會会報」910号[注釈 1]に、論考「思想としての法華経」を掲載。

2015年2月、北海道医療大学の入学試験で国語の長文読解の問題に『仏教、本当の教え』(中公新書)が取り上げられる。

2015年3月、4月、5月の3回、計15時間以上にわたって東工大名誉教授・橋爪大三郎と法華経について対談。[注釈 2]後に、この記録は『ほんとうの法華経』(ちくま新書)で刊行。

2015年7月11日、インド大使館で行なわれたインドと日本の詩人、文学者、学者ら13人によるシンポジウム「インド文学祭」で、「日本文学に見る大乗仏教の影響――短歌、俳句を中心に」と題して発表。

2017年3月15日、京都深草の元政上人第350遠忌報恩法要が、東京・大田区の池上本門寺で行なわれ、「元政上人の詩歌と仏教」と題して、記念講演を行った[6]

2017年7月2日、日本科学協会主催セミナー「木魂する科学とこころ――科学と文化の交差点(宗教文化篇)」で、「原始仏教の知と信」と題して講演し、科学史家・伊東俊太郎らとシンポジウムを行う。

2018年4月、教育テレビ「100分de名著」で植木雅俊訳『サンスクリット原典現代語訳 法華経』上下巻が「4月の名著」として取り上げられ、〝指南役〟として出演。好評により2019年11月にアンコール再放送。

2018年12月22日、二松学舎大学人文学会第118回大会で「インド仏教の日本文学への影響――短歌・俳句を中心に」と題して記念講演。

2020年2月1日、島原城築城400年記念事業協賛事業・市民文化講座で「我が二足草鞋の人生」と題して講演。

2020年2月14日、本門佛立宗の関東・甲信越地区の教務大会で法華経の思想について講演。

2021年7月10日~2022年2月16日、「思想としての法華経展」(京都佛立ミュージアム)を監修。

上記を開催中の7月11日に「原始仏教・法華経・日蓮との出会い」を、11月28日に「原始仏教・法華経・日蓮に一貫するもの」と題し、各・京都佛立ミュージアム連続講演。

2022年4月17日、神奈川・横浜市の妙深寺で「『100分de名著 日蓮の手紙』の裏話」と題して講演。

2022年4月22日、経済同友会・同友クラブで「物理学から仏理学へ」を、5月17日には「21世紀に注目される仏教」と各・題し連続講演。

中村元とのエピソード

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中村が逝去するまでの10年近く毎週3時間、中村から受講した時の講義ノートをもとに、『仏教学者 中村元――求道のことばと思想』(角川選書)を2014年に上梓した。批評家の若松英輔は「書かれるべき人が、書くべき人によって書かれた」と評した[7]

著書

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単著

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  • 『「三重秘伝抄」論考――人間主義仏法の探求』鴻鵠書院、1992
  • 仏陀の国・インド探訪――人間主義の源流を求めて』メディア・ルネッサンス、1994
  • 『男性原理と女性原理――仏教は性差別の宗教か?』中外日報社、1996
  • 『仏教に学ぶ対話の精神』中外日報社、1997
  • マザー・テレサ菩薩の精神――仏教の倫理観を求めて』中外日報社、1997
  • Gender Equality in Buddhism, Asian Thought and Culture series vol. 46, Peter Lang Publ. Inc., New York, 2001
  • 『仏教のなかの男女観――原始仏教から法華経に至るジェンダー平等の思想』
岩波書店、2004、オンデマンド版2013。博士論文(お茶の水女子大学)
  • 釈尊と日蓮の女性観』論創社、2005
  • 『仏教、本当の教え――インド、中国、日本の理解と誤解』中央公論新社<中公新書>[注釈 3]、2011
  • 『思想としての法華経』岩波書店、2012
  • 『仏教学者 中村元――求道のことばと思想』 角川学芸出版<角川選書>、2014
  • 『人間主義者、ブッダに学ぶ――インド探訪』 学芸みらい社、2016
  • 『差別の超克―原始仏教と法華経の人間観』 講談社学術文庫、2018。「仏教のなかの男女観」を改題・改訂
  • 『江戸の大詩人 元政上人-京都深草で育んだ詩心と仏教』 中央公論新社<中公叢書>、2018
  • 『今を生きるための仏教100話』 平凡社新書、2019
  • 『法華経とは何か―その思想と背景』 中公新書、2020
  • 日蓮の手紙 ビギナーズ日本の思想』 角川ソフィア文庫、2021
  • 『パーリ文『テーリー・ガーター』翻訳語彙典』 法蔵館、2023
  • 『日蓮の思想-『御義口伝』を読む』 筑摩書房<筑摩選書>、2024

放送テキスト

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  • 『法華経 あなたもブッダになれる』「100分de名著NHK出版、2018。NHK-Eテレの4月放送テキスト
    • 『アンコール放送版 法華経 あなたもブッダになれる』「100分de名著」NHK出版、2019。NHK-Eテレの11月再放送テキスト
  • 『100分de名著ブックス 法華経』NHK出版、2021。上記を改訂
  • 『日蓮の手紙 筆に込められた仏心』「100分de名著」NHK出版、2022。NHK-Eテレの2月放送テキスト

その他

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  • 大野晋との対談「言葉による意思疎通を可能にするものは何か?」『仏眼』第10号(2000年9月15日)・第11号(2000年11月15日)
  • Images of Women in Chinese Thought and Culture(Robin Wang 博士、植木真紀子らとの共著), Hackett Publ. Inc., Massachusetts, 2003
  • 『東アジアの日本観』(共著)、法政大学日本学研究叢書、三和書籍、2010
  • 宮沢賢治 イーハトヴ学事典』(共著)、弘文堂、2010
  • 『科学者の本棚』(共著)、岩波書店、2011
  • 『比較詩学と文化の翻訳』(共著)、大手前大学比較文化研究叢書、思文閣、2012
  • 『鳩摩羅什〔訳〕の絶妙さ――仏教との出会いから『法華経』『維摩経』の翻訳まで』、信道講座講演録「信道(2013年度)」所収、真宗大谷派名古屋別院、2014
  • 『思想としての法華経』、學士會会報910号(2015年1月1日)、学士会、2015
  • 橋爪大三郎との対話共著『ほんとうの法華経』ちくま新書、2015年10月
  • 『仏教の出会いと人間主義の探求』、中日新聞、2016年9月13、20日付(東京新聞は、9月17、24日付け)
  • 「元政上人の詩歌と仏教」、『深草元政上人墨蹟』(大神山隆盛寺文庫、2016年10月)の解説
  • 「仏教50話」、西日本新聞の文化欄に2017年9月12日から11月28日まで連載
  • 「私の仏教探求の旅」、『フラタニティ』No.8号所収、ロゴス、2017
  • 「なぜ法華経は『諸経の王』なのか」、『仏教がわかるお経入門』(共著)所収、洋泉社MOOK、洋泉社、2018年
  • 「『白蓮華』批判」、館報「日本近代文学館」282号所収、2018
  • 「原始仏教の知と信」、金子務監修・日本科学協会編『科学と宗教――対立と融和のゆくえ』(共著)、中央公論新社、2018
  • 『仏教がわかる お経入門』(共著)、洋泉社ムック、2018年
  • 「宗教と寛容――『法華経』を中心に」、李修京編集・権五定/鷲山恭彦監修『多文化共生社会を生きる』(共著、明石書店)、2019
  • 「インド仏教の日本文学への影響――和歌、俳句を中心に」、『二松学舎大学 人文論叢』(共著、二松学舎大学人文学会)、2019
  • 「九月三日のシンクロニシティ」、『こころ』第51号所収、平凡社、2019年
  • 『科学と仏教』、中日新聞、2020年12月8、15日付(東京新聞は、12月15、21日付)
  • 児童文学『サーカスの少女』コボル、2021年4月。児童文学(安部龍太郎序文、村上豊画)
  • 「2年3組の子どもたちとの合作小説―『サーカスの少女』」、教育応援誌『けいいく』№164、モラロジー道徳教育財団 学校教育センター、2021年9月1日
  • 「日蓮生誕800年に寄せて――温暖化への警鐘」、中日新聞、東京新聞、2021年12月21日付
  • 「日蓮生誕800年に寄せて――21世紀に注目される仏教」[8]

現代語訳

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  • 『梵漢和対照・現代語訳 法華経』 岩波書店(上・下)、2008。第62回毎日出版文化賞受賞 [9]
  • 『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』 岩波書店、2011。第11回パピルス賞受賞
  • 『サンスクリット原典現代語訳 法華経』 岩波書店(上・下)、2015
  • テーリー・ガーター――尼僧たちのいのちの讃歌』角川選書、2017
  • サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳』角川ソフィア文庫、2018
  • 『サンスクリット版全訳 維摩経 現代語訳』角川ソフィア文庫、2019
  • 『梵文『維摩経』翻訳語彙典』法藏館、2019
  • 『梵文『法華経』翻訳語彙典』2巻組、法藏館、2020

関連人物

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脚注

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注釈

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  1. ^ 月刊で明治20年創刊、6万部発行。編集委員会(編集委員=佐々木毅元東大総長ら7人)より依頼を受け執筆した原稿。
  2. ^ この対談は、橋爪の7年来の念願で実現したという[要出典]
  3. ^ 本書の127頁16行目から129頁13行目までが、2015年の北海道医療大学の入学試験で国語・長文読解の問題として出題された[要出典]

出典

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  1. ^ 植木雅俊-X(旧Twitter)
  2. ^ a b c d e f g h i j 植木雅俊 プロフィール”. NHK. 2022年6月24日閲覧。
  3. ^ CiNii(学位論文)
  4. ^ 『等伯』の「あとがき」[要文献特定詳細情報]、植木雅俊著『思想としての法華経』の「あとがき」[要文献特定詳細情報]、安部龍太郎「直木賞を待つ」日本経済新聞2013年1月20日付、同「直木賞に選ばれて」毎日新聞2013年1月24日付夕刊など。[要文献特定詳細情報]
  5. ^ 第73回 植木雅俊/大塚ひかり/司会・伊藤比呂美 - 日本近代文学館”. 公益財団法人 日本近代文学館. 2018年9月12日閲覧。
  6. ^ 「中外日報」3月24日付、「日蓮宗新聞」4月10日付。[要文献特定詳細情報]
  7. ^ 『読売新聞』、2014年9月7日付[要文献特定詳細情報]
  8. ^ 植木雅俊 (2022年6月3日). “日蓮生誕800年に思う:21世紀に注目される仏教”. 公益財団法人 ニッポンドットコム. 2024年4月9日閲覧。
  9. ^ 1300夜『法華経』梵漢和対照・現代語訳 - 松岡正剛の千夜千冊(2009年5月27日記)

外部リンク

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