悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より
『悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より』 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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ケヴィン・エアーズ、ジョン・ケイル、イーノ、ニコ の ライブ・アルバム | |||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | |||||||||||||||||||||||||||||||
録音 | 1974年6月1日 ロンドン レインボー・シアター[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
ジャンル | アート・ロック | ||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | |||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル | アイランド・レコード | ||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | リチャード・ウィリアムス | ||||||||||||||||||||||||||||||
専門評論家によるレビュー | |||||||||||||||||||||||||||||||
ケヴィン・エアーズ アルバム 年表 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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『悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より』(あくまのもうしごたち〜そのれきしてきしゅうかいより、原題:June 1, 1974)は、ケヴィン・エアーズ、ジョン・ケイル、イーノ、ニコが連名で1974年発表したライブ・アルバムである。
1974年6月1日にロンドンのレインボー・シアターで行なわれたコンサートの模様が収録された。
背景
[編集]エアーズは1974年5月に発表した最新ソロ・アルバム『夢博士の告白』でニコをゲストに迎えており[3]、彼女にレインボー・シアターでの公演への出演を依頼した。最終的には彼女の紹介によりケイル[注釈 1]、そしてケイルの紹介によりイーノも出演した[4][注釈 2][5]。
かつてエアーズと共にソフト・マシーンで活動していたロバート・ワイアットがゲスト出演し、前年6月の事故で下半身不随になって以来、初めて公の場に現れた[4]。またエアーズのバック・バンドThe Whole World[6]でベースを担当した後、前年にアルバム『チューブラー・ベルズ』を発表して一躍有名になったマイク・オールドフィールドも出演した。オリー・ハルソール、ジョン・"ラビット"・バンドリック、アーチー・リジェット、エディ・スパロウは、エアーズのツアー・バンドThe Soporifics[7]のメンバーである[5]。
オリジナル・アルバムの片面には、イーノ、ケイル、ニコがリード・ボーカルを担当した曲が収録された。イーノの2曲はアルバム『ヒア・カム・ザ・ウォーム・ジェッツ』(1973年)の収録曲。ケイルがリード・ボーカルを担当した「ハートブレイク・ホテル」はエルヴィス・プレスリーのカヴァーで、彼は後にソロ・アルバム『スロウ・ダズル』(1975年)でも同曲を取り上げた[8]。唯一ニコが出演した「ジ・エンド」はドアーズのカヴァーで、彼女はこのコンサートの前にケイルをプロヂューサーに迎えて制作したソロ・アルバム『ジ・エンド』で同曲を録音している[8]。もう片面にはエアーズがリード・ボーカルを担当した5曲が収録された。
プロデューサーを務めたリチャード・ウィリアムスは元『メロディ・メイカー』の記者で、当時アイランド・レコードのA&Rに所属してエアーズとケイルの契約を結んだ人物である[5]。
評価
[編集]Ned Raggettはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け、アルバムの前半に関して「真の傑作」と評する一方、エアーズ主導の後半に関しては「"Two Goes into Four"の魅力的でドラマティックな演奏を除けば、メロウなギターと大麻を思わせるダラダラとしたグルーヴが少々目立つ」と評している[1]。また、ロバート・クリストガウは本作にBプラスを付け「片面にはエアーズの愛らしくエキセントリックな曲が収録され、もう片面ではイーノが自作を大声(悪魔的な金切り声)で歌い、ケイルがエルヴィス・プレスリーの曲を大声(オオカミのごとき咆哮)で歌い、さらにニコも"The End"を歌っている」と評している[2]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はケヴィン・エアーズ作。
- ドライヴィング・ミー・バックワーズ - "Driving Me Backwards" (Eno) - 6:06
- ベイビーズ・オン・ファイアー - "Baby's on Fire" (Eno) - 3:53
- ハートブレイク・ホテル - "Heartbreak Hotel" (Mae Axton, Tommy Durden, Elvis Presley) - 5:19
- ジ・エンド - "The End" (The Doors) - 9:14
- メイ・アイ? - "May I?" - 5:30
- シャウティング・イン・ア・バケット・ブルース - "Shouting in a Bucket Blues" - 5:07
- ストレンジャー・イン・ブルー・スエード・シューズ - "Stranger in Blue Suede Shoes" - 3:27
- エヴリボディズ・サムタイム・アンド・サム・ピープルズ・オール・ザ・タイム・ブルース - "Everybody's Sometime and Some People's All the Time Blues" - 4:34
- トゥー・ゴーズ・イントゥ・フォー - "Two Goes into Four" - 2:40
参加ミュージシャン
[編集]- ブライアン・イーノ - ボーカル(#1、#2)、シンセサイザー(#1、#2、#3、#4、#9)
- ジョン・ケイル - ボーカル(#3)、ヴィオラ(#1、#9)、ピアノ(#2)
- ニコ - ボーカル、ハーモニウム(#4)
- ケヴィン・エアーズ - ボーカル(#5、#6、#7、#8、#9)、ベース(#1、#2)、エレクトリック・ギター(#5、#6、#7、#8)、アコースティック・ギター(#9)
- オリー・ハルソール - ピアノ(#1)、エレクトリック・ギター(#2、#3、#5、#6、#7、#8)、アコースティック・ギター(#9)
- マイク・オールドフィールド - エレクトリック・ギター(#8)、アコースティック・ギター(#9)
- ジョン・"ラビット"・バンドリック - オルガン(#4を除く全曲)、ピアノ(#5、#6、#7)、エレクトリックピアノ(#5、#6、#7)
- アーチー・リジェット - ベース(#1、#2、#3、#5、#6、#7、#9)
- エディ・スパロウ - バスドラム(#1)、ドラムス(#2、#3、#5、#6、#7)、ティンパニ(#9)
- ロバート・ワイアット - パーカッション(#1、#2、#3、#5、#6、#7、#9)
- ドリーン・チャンター、アイリーン・チャンター、リザ・ストライク[9] - バッキング・ボーカル(#3)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ニコは1967年に、ケイルが在籍していたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ 』に参加した。
- ^ ケイルとイーノは、ニコのアルバム『ジ・エンド』の製作に参加したばかりだった。同アルバムでケイルはプロデュースと諸楽器、イーノはシンセサイザーを担当した。三人ともエアーズと同様、同じくアイランド・レコードに所属していた。
出典
[編集]- ^ a b c Raggett, Ned. “June 1, 1974 - Kevin Ayers, John Cale, Brian Eno, Nico - Album”. AllMusic. 2024年4月13日閲覧。
- ^ a b Christgau, Robert. “Album: June 1, 1974”. 2024年4月13日閲覧。
- ^ Ruhlmann, William. “Confessions of Dr. Dream and Other Stories - Kevin Ayers”. AllMusic. 2024年4月13日閲覧。
- ^ a b LP・CDの裏ジャケットに記載された英文ライナー参照。
- ^ a b c Thompson, Dave (2022). Roxy Music in the 1970s. London: Sonic Bond Publishing. pp. 66-70. ISBN 978-1-78952-180-1
- ^ “Discogs”. 2025年1月27日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2025年1月27日閲覧。
- ^ a b “Hidden Gems: Kevin Ayers, John Cale Brian Eno and Nico's "June 1, 1974"”. Magnet Magazine (2012年4月26日). 2024年4月13日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2025年1月27日閲覧。
外部リンク
[編集]- 悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より - Discogs (発売一覧)