島守の塔
島守の塔 | |
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監督 | 五十嵐匠 |
脚本 |
柏田道夫 五十嵐匠 |
原案 |
田村洋三 「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり―」 |
製作 | 川口浩史 |
出演者 |
萩原聖人 村上淳 吉岡里帆 池間夏海 榎木孝明 成田浬 水橋研二 香川京子 |
音楽 | 星勝 |
撮影 | 釘谷慎治 |
編集 | 宮島竜治 |
製作会社 | 映画「島守の塔」製作委員会 |
配給 |
毎日新聞社 ポニーキャニオンエンタープライズ |
公開 | 2022年7月22日 |
上映時間 | 130分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『島守の塔』(しまもりのとう)は、2022年7月22日に全国公開された日本映画[1]。沖縄県最後の官選知事である島田叡と元沖縄県警警察部長の荒井退造の目を通して、最後の沖縄戦における悲惨な実態を描いていく[1]。出演は萩原聖人、村上淳、吉岡里帆、香川京子ほか[1]。
概要
[編集]2019年9月25日に島田叡の出身地である兵庫県の神戸新聞社や荒井退造の出身地である栃木県の下野新聞社、さらに沖縄県の琉球新報社や沖縄タイムス社などによって製作委員会が結成され(#スタッフを参照)、映画製作の発表が行われた[2]。なお、製作委員長は元沖縄県副知事で島田叡氏事跡顕彰期成会会長の嘉数昇明が務める[2]。2020年1月22日に「映画『島守の塔』製作を応援する会沖縄」が結成され、沖縄県の経済界や有識者47名が呼びかけ人となり、那覇市のホテルで結成式と説明会が行われた[3]。結成式に出席した監督を務める五十嵐匠は「島田さん、荒井さんの偉人伝を作るつもりは全くない」とした上で「鉄の暴風の中、極限状態の沖縄戦で人間は他人を思うことができるかというのがこの映画製作の最大のテーマである」と語った[3]。
2020年3月25日に沖縄県うるま市の伊計島でクランクイン[4]、4月下旬に兵庫県神戸市や三田市などの兵庫ロケでクランクアップの予定[1]だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、撮影休止。2021年11月に撮影を再開、12月にクランクアップした。
あらすじ
[編集]昭和18年(1943年)、太平洋戦争が激化する中、沖縄は迫るアメリカ軍の上陸に備え、郷土防衛で民間人が飛行場建設や陣地構築に駆り出されていた。島民たちは、捕虜になれば男は殺され、女は乱暴されると信じ、若く生真面目な女性の比嘉 凛は自決する覚悟を決めていた。
大本営は沖縄の婦女子の本土への疎開を命じたが、第一陣の対馬丸が魚雷攻撃で沈み、計画は進まなかった。沖縄駐屯の日本軍は兵力の大半を台湾に移動させられ、少数でのゲリラ戦を覚悟した。島民たちは沖縄に多く存在するガマ(自然洞窟)を防空壕としていたが、駐屯軍は決戦の地として首里城の下にガマを模した大規模な防空壕を掘り始めた。
昭和20年、空襲が激化する中、神戸生まれの島田 叡が沖縄県知事として赴任した。この時期に沖縄に来ることは死を意味したが、覚悟の上で着任した島田は、禁止されていた村芝居を許可し、島民たちと密造酒を飲んで「♪てるてる坊主、てる坊主〜」と歌い踊る男だった。知事付きの世話係となり、おおらかな島田に振り回される比嘉 凛。
アメリカ軍が上陸しそうな南部の老人や女子供は集団で北部に避難したが、食料が不足していた。アメリカの艦隊がひしめく中、自ら台湾へ赴いて米を買う島田。召集経験のある島民の男性は、すでに兵として駆り出されていたが、更に14〜5才の学生も招集され、女生徒は看護隊となるよう命じられた。
4月1日、沖縄に上陸するアメリカ軍。島民はガマ(自然洞窟)に潜み、野外病院や警察も地下に設置された。総攻撃をかけるも大敗した日本軍は、首里城の地下に建設した司令部を捨て、南部に進軍することを決めた。南部にいる15万人の島民も竹槍を持って戦えという軍部に逆らい、島民の避難を主張する島田。
ガマの病院壕で、いきなり「解散」を命じられる看護隊の女学生たち。動ける兵隊は南へ進軍し、残された傷病兵のために居残った女生徒たちはアメリカ軍の毒ガス弾で死んで行った。日本軍は、島民たちを兵と共に行動させていたが、最終戦を控えて島民の避難を決めた。知念半島はまだ安全だと知らされ、今さら言うかと怒りながらも、必死で島民たちを誘導する警察部長の荒井退造。
ガマの壕で比嘉 凛に「帰れ」と命じ、去らせる島田。警察部を含む沖縄県庁の解散を宣言した島田は、従って来た職員や警官たちも壕から逃がした。最後は、島田と警察部長の荒井だけが残ったが遺体は発見されず消息不明のまま、戦後に県知事と警察部長の合同慰霊碑が建てられた。数十年後、慰霊碑を訪れた老婦人は、生き延びた比嘉 凛だった。
キャスト
[編集]- 島田叡(沖縄県に於ける最後の官選知事) - 萩原聖人
- 荒井退造(沖縄県警察部長) - 村上淳[5]
- 比嘉凛(沖縄戦時)- 吉岡里帆[1]
- 比嘉由紀 - 池間夏海[4][6]
- 泉守紀(島田叡の前任の沖縄県知事) - 勝矢[1]
- 比嘉凛(戦後)- 香川京子
その他のキャスト
[編集]スタッフ
[編集]- 監督 - 五十嵐匠
- 脚本 - 五十嵐匠、柏田道夫[7]
- プロデューサー - 川口浩史
- 撮影 - 釘谷慎治
- 照明 - 山川英明
- 録音 - 池田雅樹、藤丸和徳
- 整音 - 瀬川徹夫
- 美術 - 黒瀧きみえ
- 装飾 - 鈴村高正
- 衣装 - 大塚満
- メイク - 薩广綾子
- 編集 - 宮島竜治
- 視覚効果 - 松本肇
- 音響効果 - 大河原将
- 音楽 - 星勝
- スクリプター - 宮下こずゑ
- 助監督 - 宮崎剛
- 製作担当 - 花山康大
- 配給 - 毎日新聞社、ポニーキャニオンエンタープライズ
- 製作 - 映画「島守の塔」製作委員会(下野新聞社、神戸新聞社、琉球新報社、沖縄タイムス社、毎日新聞社、サンテレビジョン、とちぎテレビ、クイック、井上総合印刷、ウィーンの森、ストームピクチャーズ、トロッコフィルム)
書籍
[編集]- 柏田道夫『映画ノベライズ 島守の塔』言視舎 2022年12月 ISBN 978-4-86565-240-6
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “映画「島守の塔」キャスト発表 島田叡役に萩原聖人さん”. 神戸新聞NEXT (神戸新聞社). (2020年3月17日) 2020年3月18日閲覧。
- ^ a b “沖縄戦下の苦悩と命の尊さ発信する映画に 島田知事と荒井警察部長を描く 戦後75年の来秋公開へ”. 琉球新報 (琉球新報社). (2019年9月25日) 2020年3月18日閲覧。
- ^ a b “極限状態で人間は他人を思いやれるのか… 映画「島守の塔」制作に向け会結成 経済界から47人 沖縄戦当時、知事と警察部長だった男性の姿描く”. 琉球新報 (琉球新報社). (2020年1月23日) 2020年3月18日閲覧。
- ^ a b “主演に萩原聖人さん、村上淳さん 映画「島守の塔」 吉岡里帆さんも出演”. 琉球新報 (琉球新報社). (2020年3月18日) 2020年3月18日閲覧。
- ^ “映画『島守の塔』にW主演いたします。”. 村上淳. 株式会社ディケイド. 2020年3月18日閲覧。
- ^ “池間夏海:2021年夏全国順次公開! 映画「島守の塔」に出演!”. 池間夏海. ライジングプロダクション (2020年3月17日). 2020年3月18日閲覧。
- ^ “柏田道夫さん脚本の映画 沖縄戦の実像描いた「島守の塔」来秋公開”. 青山学院大学古美術研究会OB会「甃会」 (2019年10月6日). 2020年3月18日閲覧。