対話体小説
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対話体小説とは、基本的に地の文を持たず、カギカッコで括られる会話文や間接話法だけによって成立する、あるいは大半がそのような体裁をもつ形式の小説である。
マヌエル・プイグは、この手法をよく用いるが、それは彼が映画監督や脚本家を目指していた人だからであり、映画的な手法であると言われる。たしかに、対話体小説は、戯曲、レーゼドラマ、レーゼシナリオと言われるものに近い。ただし、『蜘蛛女のキス』などは、一人の台詞がかなり長いので、その部分だけで独白体の短編小説のような趣がある。
具体例
[編集]マヌエル・プイグの諸作品
- 『蜘蛛女のキス』(脚本形式、報告書形式などの部分も多少ある)
- 『このページを読む者に永遠の呪いあれ』
- 『南国に日は落ちて』(終盤は書簡体になる)
その他の作家の作品
- 『英雄が語るトロイア戦争』(フラウィウス・ピロストラトゥス)
- 『閉じた本』(ギルバート・アデア)
- 『一一一一一』(福永信)
- 『Q&A』(恩田陸)
- 『りすん』(諏訪哲史)
- 『至福の超現実数』(ドナルド・クヌース)
- 『もしもし』(ニコルソン・ベイカー)
- 『J R』(ウィリアム・ギャディス)
- 『こことあそこ』(デヴィッド・フォスター・ウォレス)
- 『数学者とアンドレイ・セミョーノヴィチ』(ダニイル・ハルムス)
- 『イカロスの飛行』(レーモン・クノー)
- 『メイスン&ディクスン』(トマス・ピンチョン)
- 『ホワイト・ノイズ』(ドン・デリーロ)
- 『ブーガンヴィル航海記補遺』『ラモーの甥』(ディドロ)
- 『ステラ・マリス』(コーマック・マッカーシー)
- 『WORLD WAR Z』(マックス・ブルックス)
- 『子供時代』(ナタリー・サロート)
- 『閨房哲学』(マルキ・ド・サド)
- 『ベルゼバブの孫への話』(ゲオルギイ・グルジエフ)
- 『カフカvsフロイト』(テリー・サザーン)
- 『ここだけの話』(ジュリアン・バーンズ)
- 『赤死病』(ジャック・ロンドン)
- 『指輪』(江戸川乱歩)
- 『悪人と善良な市民』(星新一)
- 『トゥルー・クライム・ストーリー』(ジョセフ・ノックス)
- 『しゃべくり探偵シリーズ』(黒崎緑)
- 『コネティカットのひょこひょこおじさん』(J・D・サリンジャー)
- 『アベル・サンチェス』[1](ミゲル・デ・ウナムーノ)
- 『ネクロ』『シリーズ/シリアル』 (ハロルド・ジェフィ)
- 『蜜のあわれ』(室生犀星)
- 『マテーシス』『心言集』(高橋昌久)
- 『晩餐会』(クロード・モーリアック)
脚注
[編集]- ^ 各章の末尾は登場人物の日記の分析になる。