喝采 (ちあきなおみの曲)
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「喝采」 | ||||
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ちあきなおみ の シングル | ||||
初出アルバム『喝采』 | ||||
B面 | 最后の電話 | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチレコード | |||
ジャンル | 歌謡曲 | |||
時間 | ||||
レーベル | 日本コロムビア | |||
作詞 | 吉田旺 | |||
作曲 | 中村泰士 | |||
ゴールドディスク | ||||
第14回日本レコード大賞・大賞 | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ちあきなおみ シングル 年表 | ||||
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「喝采」(かっさい)は、ちあきなおみの楽曲で、13枚目のシングルである。1972年9月10日に発売された。発売元は日本コロムビア。
解説
[編集]概要
[編集]亡くなってしまった恋人を思いつつステージで歌っているという設定の曲である。
1970年8月に発売された5枚目のシングル「X+Y=LOVE」以来、通算3作目のオリコントップ10入りを果たした。発売から翌年にかけて[注 1]オリコン集計で通算80万枚を売り上げた。日本コロムビア調べでは累計130万枚[1]。
『第14回日本レコード大賞』大賞を受賞。発売されてから3か月での受賞は史上最短記録である[2]。1972年の『第23回NHK紅白歌合戦』で歌唱された。
1989年に発売されたアルバム『喝采〜紅とんぼ/吉田旺 参分劇』には、伴奏がピアノだけにアレンジされた新バージョンが収録された。
2015年9月1日から、サントリー「ボス」のCMソング(「宇宙人ジョーンズシリーズSong&BOSS」)として使用されており、本楽曲の場面もCM内で再現されている(出演:ミッツ・マングローブ、徳光和夫)[3]。
舞台
[編集]発売当時はちあきの実体験を元にして作られた「私小説歌謡」として売り出された。ちあきがデビュー前から兄のように慕っていた若手役者が岡山県浅口郡鴨方町(現在の浅口市鴨方町)に住んでおり、亡くなったという話を詞にしたということだが、実際には作詞をした吉田旺はちあきのエピソードを知らずにこの詞を書いていた。小倉駅が舞台で若松市(現北九州市若松区)出身の吉田が東京へ行く思い出を書いており、歌詞が出来上がってから、ちあきの体験と偶然似ていたため「実体験」とすることでプロモーションに活かすという戦略をとったといわれている[要出典]。
ちあき本人は上記の通りの自身の経験と偶然似ていた歌詞から「歌いたくない」とマネージャーに言ったという[要出典]。マネージャーは作詞者の吉田に対して「ちょっと辛い経験があって、それを思い出したようで」と説明した[4]。
チャート記録
[編集]リリースから約2か月経った11月1週目でオリコンチャートの7位にランクインし、2週間後には2位まで上昇するが、宮史郎とぴんからトリオの「女のみち」に阻まれ、12週間にわたり2位に留まった。
特信チャート(レコード特信出版社調べのチャート)では「女のみち」を抑えて最高位1位を記録している[5]。
エピソード
[編集]作詞者の吉田旺は「歌い手をテーマにした詞を書いてみよう」と思い立ち、詞を完成させた[6]。吉田が最初に決めたタイトルは「幕が開く」だったが、当時のコロムビアのプロデューサーだった東元晃が難色を示し「喝采」と命名した[6]。
作曲者の中村泰士は服部良一作曲の「蘇州夜曲」や賛美歌の「アメイジング・グレイス」をベースとして作曲した[4]。演歌で多様されるシンプルな「ヨナ抜き音階」をポップスで用いた本曲は、中村にとって会心の出来だったという[7]。
本楽曲の歌詞に出てくる「黒いふちどり」という部分は、「縁起が悪い」「死を歌詞に持ち込むことはない」「いくら別れの歌でも殺す必要はない」と当初レコード会社や作曲者の中村泰士は歌詞を変えるよう提案した[6]。しかし、作詞者の吉田旺は「いや、ここが核だから」と頑なに変えず、コロムビアに対して「喪に関する言葉は水商売の世界じゃ縁起がいいんです」と言って歌詞を死守した[8]。
レコーディングの際には、周りを黒いカーテンで囲み誰にも姿を見せず、声を出すために裸足で臨んだ[9]。
本楽曲がレコード大賞を受賞した1972年は、上半期のヒット曲で「日本歌謡大賞」を受賞した小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」が当初は大賞の最有力候補だった[要出典]。実際に本楽曲が発売された際に、審査員の一人[誰?]が作曲者の中村に対して「もう決めていたのになぁ。悩ましい曲を書かないでよ」と言ったというエピソードも残っている[10]。結果的には本楽曲が大賞を受賞したが、本楽曲を制作した当事者にとっては「まさか」の受賞だったという[11]。
ちあき本人の歌唱による英語版の歌詞も存在し、2000年に発売されたCD-BOX『ちあきなおみ・これくしょん ~ねぇあんた~』に収録されている(英語詞:清水マリヤ)。
イントロがポール・サイモンの「母と子のきずな」に酷似している、という指摘があった[いつ?][誰によって?]。
2005年の『第56回NHK紅白歌合戦』に際してNHKが行ったアンケート「スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜」で紅組第45位にランクインした。
収録曲
[編集]- 喝采 (BE-TWEEN STAGE ) [3:31]
- 最后の電話 (LAST MESSAGE ) [2:44]
カバー
[編集]- 石原裕次郎(1973年、カバーアルバム『石原裕次郎ナイトクラブムード』収録)
- 由紀さおり(1973年、アルバム『恋文』収録)
- 方怡珍(1973年9月、アルバム『夢のアルバム』収録)
- 尾崎紀世彦(2003年のアルバム『人生満喫』中村泰士、2013年のアルバム『風のグラフィティー +6』CD化時に追加収録)
- 徳永英明(2007年、カバーアルバム『VOCALIST 3』初回版収録)
- クミコ(2007年、カバーアルバム『十年〜70年代の歌たち〜』収録)
- 大友康平(2008年、カバーアルバム『J-STANDARD 70's』収録)
- 沢田知可子(2009年、カバーアルバム『歌姫ものがたり』収録)
- 堀江由衣(2009年、テレビアニメ『夏のあらし!』)
- ダウト(2009年、ミニアルバム『登竜門』収録)
- The JADE(2009年、アルバム『手紙』収録)
- 稼木美優(2010年、カバーミニアルバム『歌姫〜ちあきなおみに憧れて』収録)
- 島津亜矢(2010年、カバーアルバム『BS日本のうたVI』収録)
- カサリンチュ(2010年、シングル「あなたの笑顔」収録)
- 八代亜紀(2011年、アルバム『ゴールデン☆ベスト』収録)
- 井上由美子(2012年、カバーアルバム『絆・・・そして夢』収録)
- 一青窈(2012年、カバーアルバム『歌窈曲』収録)
- 石原詢子(2014年のCD-BOX『石原詢子 時代のうた』、2015年のアルバム『我がこころの愛唱歌II 〜人情と活気に溢れてたあの時代〜』収録)
- 桑田佳祐(2014年、ライブビデオ『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』収録)
- 米倉利紀(2015年、カバーアルバム『うたびと』収録[12])
- つるの剛士(2016年、カバーアルバム『つるのうた3.5』収録[13])
- 山口かおる(2019年、アルバム『山口かおる歌謡曲集3 〜VOICE〜』収録)
- 田村芽実(2020年、DVD『CLIP&COVERS』収録)
- 宮本浩次(2020年、カバーアルバム『ROMANCE』収録)
- 市川由紀乃(2021年、アルバム『唄女 うたいびとIV 歌・劇・詩 ~吉田旺作品集~』収録)
- 雨宮天(2023年、カバーアルバム『COVERSⅡ -Sora Amamiya favorite songs-』収録)
- 斉藤貴美子(2024年、アルバム『TVアニメ「スナックバス江」Cover Song Collection』収録)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 本作の発売時期と年間チャート集計時期の関係から、発売の翌1973年の年間チャート4位にランクインした。
出典
[編集]- ^ 大下英治「第一章 メガヒット紆余曲折 「へーンシン!」で人気に火が点く」『日本ジャパニーズヒーローは世界を制す』角川書店、1995年11月24日、ISBN 4-04-883416-9、25頁。
- ^ 1972年に行われた『第14回日本レコード大賞』を振り返ってみよう!ミドルエッジ 2020年6月3日 更新
- ^ Song&BOSS CM動画サントリー
- ^ a b 『ちあきなおみ 喝采、蘇る』(石田伸也著、徳間書店、2008年)p65
- ^ 『週刊現代』2021年1月9日・16日号、89頁。
- ^ a b c 『ちあきなおみ 喝采、蘇る』(石田伸也著、徳間書店、2008年)p66
- ^ 『ちあきなおみ 喝采、蘇る』p65-66
- ^ 『ちあきなおみに会いたい。』(石田伸也著、徳間書店、2012年)
- ^ 『SONGS』(NHK、2013年11月16日)[信頼性要検証]
- ^ 『ちあきなおみ 喝采、蘇る』p72
- ^ 『ちあきなおみ 喝采、蘇る』p73
- ^ “米倉利紀が初のカバー集で沢田研二、松田聖子、オリラブ、米米らを熱唱”. 音楽ナタリー (20105-08-26). 2015年8月27日閲覧。
- ^ “つるの剛士「つるのうた3.5」で和田アキ子、中山美穂ほかカバー”. 音楽ナタリー (2015年12月24日). 2015年12月25日閲覧。