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唐人お吉 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
唐人お吉 黒船情話から転送)
唐人お吉
著者 十一谷義三郎
発行日 日本の旗 1929年
発行元 万里閣書房
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 333p
公式サイト opac.ndl.go.jp
ウィキポータル 文学
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唐人お吉』(とうじんおきち)は、1928年昭和3年)に発表された十一谷義三郎による日本の小説であり、同作を原作とし、1930年(昭和5年)に日活太秦撮影所が製作し、溝口健二が監督した日本のサイレント映画である。同作は、同撮影所が日活京都撮影所と改称したのちの1937年(昭和12年)に、池田富保を監督に『唐人お吉 黒船情話』のタイトルでリメイクしている。リメイク作品も含めて本項で詳述する。

略歴・概要

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実在する人物・斎藤きちに取材し、1927年(昭和2年)に村松春水が発表した『実話唐人お吉』の版権を買い取った新感覚派の小説家・十一谷義三郎が、翌1928年(昭和3年)に『中央公論』に掲載したのが初出であり、引き続き1929年(昭和4年)から1930年(昭和5年)にかけて東京朝日新聞に連載した。1929年に万里閣書房から上梓した単行本は『中央公論』版であり、本作のほかに、村松春水による『唐人お吉を語る』、十一谷の『くろふね耳袋』も収録されている[1]。本作は新聞連載開始の翌年に映画化された。十一谷は本作によって国民文芸賞を受賞した[2]

話題の小説を最初に映画化したのは、1930年(昭和5年)、京都の日活太秦撮影所で、十一谷の原作を畑本秋一が脚色、溝口健二が監督した。しかし同タイトルの映画『唐人お吉』を東京の河合映画製作社(のちの大都映画)が早撮りし、しかも村松春水の『実話唐人お吉』を原作として八尋不二が脚色、村越章二郎が監督し、溝口版よりも1か月早い同年6月6日に公開している[3]。日活京都撮影所(日活太秦撮影所を改称)は、1937年(昭和12年)、溝口版をトーキーリメイク、十一谷の原作を滝川紅葉が脚色、池田富保が監督して、同年6月17日に公開した。

十一谷原作以外にも、上記の村越版も含めて「唐人お吉」をテーマとした映画作品は、合計7作存在する。

溝口健二の『唐人お吉』、池田富保の『唐人お吉 黒船情話』は、いずれも東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されておらず[4]、いずれもマツダ映画社の「主な所蔵リスト」には掲載されていない[5]。溝口健二の『唐人お吉』に関しては「4分」のフィルム断片が現存しており、同じ溝口の監督作でほぼオリジナルに近い形で現存する『折鶴お千』(1935年)とのカップリングでDVDに収録され、デジタル・ミームTalking Silentsの第2集として、2007年(平成19年)10月24日にリリースしている[6]

小説『唐人お吉』は、2020年4月現在、すべて絶版である。青空文庫には収録されていない[7]が、国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されており、閲覧・ダウンロードが可能である[8][9]

1930年版

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唐人お吉
監督 溝口健二
脚本 畑本秋一
出演者 山本嘉一
梅村蓉子
島耕二
撮影 横田達之
伊佐山三郎
製作会社 日活太秦撮影所
配給 日活
公開 日本の旗 1930年7月1日
上映時間 約130分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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山本嘉一と梅村蓉子

唐人お吉』(とうじんおきち)は、1930年(昭和5年)製作・公開、日活太秦撮影所製作、日活配給による日本のサイレント映画女性映画である。本篇の大部分は散逸しているが、「4分」のフィルム断片が現存する[6]

スタッフ・作品データ

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キャスト

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1937年版

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唐人お吉 黒船情話
監督 池田富保
脚本 滝川紅葉
原作 十一谷義三郎
出演者 花井蘭子
尾上菊太郎
高木永二
音楽 西悟郎
撮影 谷本精史
製作会社 日活京都撮影所
配給 日活
公開 日本の旗 1937年6月17日
上映時間 約100分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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唐人お吉 黒船情話』(とうじんおきち くろふねじょうわ)は、1937年(昭和12年)製作・公開、日活京都撮影所製作、日活配給による日本の長篇劇映画、女性映画である。本作のフィルムは散逸しており、現在観賞することができない。

スタッフ・作品データ

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キャスト

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ビブリオグラフィ

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国立国会図書館蔵書[11]

  • 『唐人お吉』、万里閣書房、1929年
  • 『時の敗者唐人お吉』、新潮社、1930年
  • 『時の敗者唐人お吉 続篇』、新潮社、1930年
  • 『唐人お吉』、改造文庫 第2部 第207篇、改造社、1932年
  • 『時の敗者唐人お吉』、改造文庫 第2部 第208篇、改造社、1932年
  • 『唐人お吉 続』、日本小説文庫 17、春陽堂、1932年
  • 『現代日本小説大系 第44巻』、日本近代文学研究会河出書房、1950年
  • 『現代日本文学全集 第79』、筑摩書房、1956年
  • 『現代日本小説大系 第46-47巻』、日本近代文学研究会、河出書房、1956年
  • 『現代日本文学大系 62』、筑摩書房、1973年

関連事項

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  1. ^ 唐人お吉国立国会図書館2010年2月21日閲覧。
  2. ^ 十一谷義三郎コトバンク、2010年2月21日閲覧。
  3. ^ 唐人お吉日本映画データベース、2010年2月20日閲覧。
  4. ^ 所蔵映画フィルム検索システム東京国立近代美術館フィルムセンター、2010年2月21日閲覧。
  5. ^ 主な所蔵リスト 劇映画=邦画篇マツダ映画社、2010年2月21日閲覧。
  6. ^ a b DVDビデオ、マツダ映画社、2010年2月20日閲覧。
  7. ^ 十一谷義三郎青空文庫、2020年4月20日閲覧。
  8. ^ 唐人お吉(万里閣書房版)、国立国会図書館、2020年4月20日閲覧。
  9. ^ 唐人お吉(改造文庫版)、国立国会図書館、2020年4月20日閲覧。
  10. ^ a b Film Calculator Archived 2008年12月4日, at the Wayback Machine.換算結果、コダック、2010年2月21日閲覧。
  11. ^ OPAC NDL 検索結果、国立国会図書館、2010年2月20日閲覧。

外部リンク

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