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台中捷運中運量電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
台中捷運中運量電車
筏子渓中国語版の鉄橋上ですれ違う列車(2020年5月)
基本情報
運用者 台中捷運公司
製造所 日本の旗 川崎重工業車両カンパニー9本
中華民国の旗 台湾車輌9本[1]
製造年 2017年
製造数 18編成36両
導入年 2021年4月25日[注 1]
投入先 緑線
主要諸元
編成 2M
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750V( 第三軌条方式
最高運転速度 [5]75 km/h
設計最高速度 [6]80 km/h
起動加速度 4.68[6] km/h/s
減速度(常用) [6]3.6-4.68 km/h/s
減速度(非常) [6]3.6-4.68 km/h/s
編成定員 [7][8]536人
車両定員 [12]268人
編成重量 [5]86.3t
編成長 [3](p4)44.34 m
車体長 [注 2]21,225 mm
全幅 [4]2,980 mm
全高 [3](p4)3,780 mm
車体高 [注 3]2,580 mm
床面高さ [13](p98)1.2m
車体 ステンレス鋼およびFRP
台車 [9]川崎重工業製 ボルスタ台車
固定軸距 [3](p4)2,100 mm
台車中心間距離 [3](p4)14.0m
軸重 [14]15.4t
制御方式 ハイブリッドSiCパワー半導体モジュール適用IGBT素子VVVFインバータ制御[10]
制御装置 [11]三菱電機MAP-144-75VD297
制動装置 [4](p16)Wabtec 22638
保安装置 [8]CBTC
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台中捷運中運量電車(たいちゅうしょううん ちゅううんりょうでんしゃ)は台湾台中捷運で2020年に運用を開始した通勤型電車

概要

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搬入前に路上展示のためトレーラー輸送される第1編成車両(2017年2月、台湾大道中国語版にて)

台中市では初となる捷運路線で2020年の開業を目標に建設中の台中捷運緑線用車両として台中市および交通部の代行で台北市政府捷運工程局により調達され、信号系統を担当するアルストムとコンソーシアムを組んだ川崎重工業が2連18編成36両を受注した[15]。 2017年1月10日川重兵庫工場でのロールアウト式典後[16]、海上輸送された第1編成の車両は翌月2月5日に台中港に陸揚げされると[17][12]、市内の道路上で車両を展示する行事が開催され[18]、北屯機廠に搬入された[19]

半数は国内メーカーの台湾車輌が担当している。2017年6月に新竹県の台湾車輌本社工場でロールアウトし[20]、2017年12月に両社合わせて全18編成が納入された[21]

2017年10月、神戸製鋼所のデータ改竄事件に際して台中市政府交通局中国語版が品質確認を行ったが、異常はみられなかったと公表した[22]

当形式は台北捷運文湖線および環状線に次ぐ中量軌道輸送システム(現地表記は中運量捷運)規格としては3例目、同規格による第三軌条方式、標準軌(軌間1,435mm)の鉄輪式ライトメトロ(LRRT、中国語: 輕軌捷運系統)としてはドライバーレス・メトロを採用した台北捷運環状線電車に次ぐ2例目となる。またアルストムの移動閉塞(CBTC)ブランド「Urbalis400」により全線で最短90秒間隔での無人自動運転に対応し[23]、短時間で多くの乗客を捌いて過度な混雑を低減できる。

ドア数の増加と座席数の減少で短い編成長でも輸送力を確保しているため、下表のとおり台湾各都市の中運量形式とは多くの点で差異がみられる。

台湾各地の中運量車両諸元比較
路線 台北・文湖線 台北・環状線 台中・緑線 高雄・紅/橘線[注 4]
車種・形式 VAL256 ドライバーレス・メトロ - モジュラー・メトロ
製造 フランスの旗 マトラ イタリアの旗 日立レール 日本の旗 川崎重工業 ドイツの旗 シーメンス
落成年 1990年 2016年 2017年 2005年
運用開始 1996年 2020年 2020年 2008年
編成長(m) 55.12 68.43 44.34 65.4
全幅(m) 2.56 2.65 2.98 3.15
全高(m) 3.53 3.60 3.78 3.75
両数 4 4 2 3
ドア数 2x4=8 3x4=12 5x2=10 4x3=12
座席数 96 98 82[4] 126
定員 448 650 536 750
CBTC(無人運転) -
走行方式 ゴムタイヤ式 鉄輪式 鉄輪式 鉄輪式
車両間の通り抜け 不可

仕様

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幅1.51メートルの外開きプラグドアが1両あたり片側5扉[4]、扉間は5人掛けのロングシートが設置され1両当たりの座席定員は41人(グリーンは一般、ピンクは博愛座(優先席))[4]

緊急時の手動運転に備える運転台 ドア上の案内装置
座席 製造銘板
試運転中の列車(新ロゴ) 暫定ロゴ(台湾車輛の工場内)

配属

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全数が北屯機廠中国語版に配属されている。

トラブル

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連結器

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破損した連結器

プレ開業6日目の2020年11月21日、車両間をつなぐ半永久連結器の部品に不具合が発生し、台中捷運公司(中捷公司)は翌22日からの運行を全面的に中断した[24]。破損した連結器部品は川崎重工業(川重)が米国の鉄道車両部品大手ワブテック社(Wabtec)から調達しており、同様のものは台北捷運の各形式でも採用されている[25]台北市政府捷運工程局機電処では、「台北では20数年来一度も発生していない」としている[25][注 5]

12月14日、会見を開いた市長盧秀燕市交通局中国語版、中捷公司の関係者は原因が判明していないことと安全を最優先すべく5日後に迫った正式開業を断念することを発表するとともに市民に謝罪。車両製造の川重、連結器製造の米ワブテック、機電工程を監督する台北市捷運工程局に対し早期の改善を引き続き要求していくと表明した[26]。連結器のシャフトが強度不足だったことが判明し[27]、シャフトが中国製ではないかとの質疑については、台北市捷運局は「川重からの報告によると『製造過程での熱処理に問題があった。』、『グローバル企業であるワブテックの各拠点では本国と同等の品質管理が行われていると聞き及んでいる。』」と述べるにとどまっている[26]。(2020年2月に車両を含む全ての資産を台北市政府から引き渡されているが、)正式開業前のこのトラブルと延期によって台中捷運公司の損失が見込まれることについては、請求権と監督権をもつ台北市捷運局が川重への賠償請求を代行すると表明している[26]

12月19日、交通局および中捷公司は該当する部品についてワブテック社の新品と交換することを川重に要求済みであり、翌年2月9日までに全てをフランス製のものに換装し、検証を経て改めて正式開業時期を判断すると表明した[28][29]

2021年1月14日、部品交換を終えた編成の試運転を再開した。累積100kmで一旦検査し、その後300kmの再試験を経て全18編成の交換と耐久性確認は2月2日までの完了を予定している[30]

3月6日、台北市政府が前日に提出した報告書の審議が台中市政府で承認され、プレ営業再開の見通しがたった[31]


脚注

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脚注

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  1. ^ 捷運緑線の正式開業日。2020年11月16日プレ営業開始、同22日中断、2021年3月再開[2]
  2. ^ 連結器間含まず[4]
  3. ^ 全高-床面高さ[3](p4)[13](p98)
  4. ^ 路線は高運量で設計されているが、運用は開業時から3両編成の中運量で行われている
  5. ^ 2020年までに川重は台北市捷運局に301型371型381型の3車種を納入している。

出典

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  1. ^ (繁体字中国語)“中市議會考察捷運綠線電聯車組裝基地”. 中国時報. (2017年3月3日). オリジナルの2019年3月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190328230840/http://www.chinatimes.com/realtimenews/20170303003631-260405 2020年11月2日閲覧。 
  2. ^ “盧秀燕:中捷綠線3/25恢復試營運 4/25通車”. 自由時報. (2021年3月10日). オリジナルの2021年3月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210317214846/https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/3461842 2021年3月10日閲覧。 
  3. ^ a b c d e (繁体字中国語)臺北市政府捷運工程局 (2016年1月20日). “C104AW958_01.pdf 臺中烏日文心北屯線機電系統工程CJ900標電聯車車體結構強度暨轉向架框架強度靜態強度測試報告”. 2021年12月21日閲覧。 アーカイブ 2021年12月21日 - ウェイバックマシン
  4. ^ a b c d e f (繁体字中国語)臺北市政府捷運工程局 (2016年1月26日). “C104AW960_01.docx 臺中烏日文心北屯線機電系統工程CJ900標電聯車煞車測試及車門機構壽命測試報告”. 臺北市政府資訊局. p. 5. 2021年12月21日閲覧。 アーカイブ 2021年12月21日 - ウェイバックマシン
  5. ^ a b (繁体字中国語)車輛介紹”. 台中捷運公司. 2020年6月2日閲覧。 アーカイブ 2022年4月19日 - ウェイバックマシン
  6. ^ a b c d (繁体字中国語) 臺北都會區大眾捷運系統三鶯線暨周邊土地開發 綜合規劃報告書 CH08_工程標準及技術.pdf 表 8.1-4 捷運三鶯線車輛規格參數初步規劃與國內相關案例. 新北捷運公司. (2015-06). p. 頁(8-8). オリジナルの2023年4月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230404111944/https://www.ntmetro.com.tw/ 2018年10月7日閲覧。 
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  9. ^ (繁体字中国語)臺北市政府捷運工程局 (2016年3月18日). “C105AW118_01.pdf 臺中烏日文心北屯線機電系統工程CJ900標電聯車轉向架疲勞強度測試”. 臺北市政府資訊局. p. 11. 2021年12月21日閲覧。 アーカイブ 2021年12月21日 - ウェイバックマシン
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関連項目

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