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二硫化ゲルマニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
二硫化ゲルマニウム
識別情報
CAS登録番号 12025-34-2 チェック
PubChem 82816
ChemSpider 74732 チェック
EC番号 234-705-1
特性
化学式 GeS2
モル質量 136.77 g mol−1
外観 白色半透明結晶
密度 2.94 g cm−3
融点

840 °C, 1113 K, 1544 °F

沸点

1530 °C, 1803 K, 2786 °F

への溶解度 0.45 g/100 mL
溶解度 液体アンモニアに可溶
磁化率 −53.3·10−6 cm3/mol
構造
結晶構造 単斜晶, mP36
空間群 Pc, No. 7
配位構造 四面体:Ge, 屈曲:S
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -150.06 kJ/mol
標準定圧モル比熱, Cpo 50 J /(mol K)
関連する物質
関連物質 二硫化炭素
二酸化ゲルマニウム
二セレン化ゲルマニウム
一硫化ゲルマニウム
二硫化鉛
二硫化ケイ素
二硫化スズ
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

二硫化ゲルマニウム(Germanium disulfide)は、化学式GeS2無機化合物である。白色で高融点の結晶性固体である[1][2]硫化ケイ素(SiS2)が一次元ポリマーであるのに対し、三次元ポリマーである[3][4]。Ge-S間距離は、2.19 Aである[3]

歴史

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クレメンス・ヴィンクラー硫ゲルマニウム銀鉱の分析中に発見した、初めてのゲルマニウム化合物である。この物質が水性酸に溶けないことが、新元素の単離に繋がった[5]

合成

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濃塩酸中で、硫化水素四塩化ゲルマニウムを反応させることで合成される。

自然界での生成

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天然では、石炭鉱山の廃石捨場のある山の噴気孔でのみ見られる[6]

出典

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  1. ^ a b Johnson, O. H. (1952). “Germanium and its Inorganic Compounds”. Chemical Reviews 51 (3): 431–469. doi:10.1021/cr60160a002. 
  2. ^ Golubkov, A. V.; Dubrovskii, G. B.; Shelykh, A. I. (1998). “Preparation and properties of GeS2 single crystals”. Semiconductors 32 (7): 734–735. Bibcode1998Semic..32..734G. doi:10.1134/1.1187494. 
  3. ^ a b Zachariasen, W. H. (1936). “The Crystal Structure of Germanium Disulphide”. Journal of Chemical Physics 4 (9): 618–619. Bibcode1936JChPh...4..618Z. doi:10.1063/1.1749915. 
  4. ^ Kulikova, L. F.; Lityagina, L. M.; Zibrov, I. P.; Dyuzheva, T. I.; Nikolaev, N. A.; Brazhkin, V. V. (2014). “High-pressure, high-temperature study of GeS2 and GeSe2”. Inorg. Mater. 50 (8): 768–774. doi:10.1134/S002016851408010X. 
  5. ^ Winkler, C. (1886). “Mittheilungen über das Germanium”. Journal für Praktische Chemie 34 (1): 177–229. doi:10.1002/prac.18860340122. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k90797z/f185.table. 
  6. ^ Unnamed (Ge Sulphide)”. 2022年9月2日閲覧。