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中村稔 (詩人)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中村 稔なかむら みのる
文化功労者顕彰に際して
公表された肖像写真
誕生 中村 稔(なかむら みのる)
(1927-01-17) 1927年1月17日(97歳)
日本の旗 千葉県君津郡木更津町
職業 弁護士
弁理士
詩人
評論家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
民族 大和民族
教育 法学士東京大学1950年
最終学歴 東京大学法学部法律学科卒業
活動期間 1946年 -
ジャンル
主題 評論
代表作 『鵜原抄』(1967年
『羽虫の飛ぶ風景』(1977年
『中村稔詩集 1944-1986』
1988年
『束の間の幻影』(1992年
『浮泛漂蕩』(1996年
『私の昭和史』(2004年
主な受賞歴 高村光太郎賞
読売文学賞(詩歌俳句部門)
芸術選奨文部大臣賞
読売文学賞(評論・伝記)
藤村記念歴程賞
朝日賞
毎日芸術賞
現代詩人賞
デビュー作 『無言歌』(1950年
親族 中村光三(
所属 (中松特許法律事務所→)
(中村・山本・武田
合同特許法律事務所→)
中村合同特許法律事務所
公式サイト 中村 稔 | NAKAMURA & PARTNERS
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中村 稔(なかむら みのる、1927年1月17日 - )は、日本弁護士弁理士詩人評論家。中村合同特許法律事務所パートナー、日本商標協会顧問公益財団法人日本近代文学館名誉館長第二東京弁護士会所属、日本芸術院会員文化功労者

中松特許法律事務所弁護士、中村・山本・武田合同特許法律事務所代表パートナー、中村合同特許法律事務所代表パートナー、日本商標協会会長(初代)、財団法人日本近代文学館理事長(第6代)、社団法人日本商事仲裁協会常任理事、日本芸術院第二部部長などを歴任した。

来歴

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生い立ち

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千葉県木更津市生まれ。父・光三は、尾崎秀実リヒャルト・ゾルゲ予審担当の主任判事[1]東京府立第五中学校から第一高等学校を経て、1950年、東京大学法学部法律学科卒業[2]。この間、太宰治を囲む中で、矢代静一の他、三島由紀夫野原一夫らとも関わりを持つ。大学在学中に旧司法試験に合格し、1952年弁護士・弁理士登録。

詩人として

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1946年『世代』に参加、1950年第一詩集『無言歌』を刊行。1967年詩集『鵜原抄』で高村光太郎賞、1977年詩集『羽虫の飛ぶ風景』で読売文学賞(詩歌俳句部門)、1988年『中村稔詩集 1944-1986』で芸術選奨文部大臣賞、1992年『束の間の幻影』で読売文学賞(評論・伝記)、1996年『浮泛漂蕩』で藤村記念歴程賞、98年日本芸術院会員、『私の昭和史』に至る業績で2004年度朝日賞[3]、2005年『私の昭和史』で毎日芸術賞井上靖記念文化賞受賞。2006年から10年まで芸術院第二部長。2010年、文化功労者[4]。2017年、『言葉について』で現代詩人賞受賞。宮沢賢治中原中也の評論・伝記は複数著した。日本近代文学館理事長を経て名誉館長。

弁護士として

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弁護士および弁理士としては、知的財産法一般を専門とする。1952年に中松澗之助が代表者であった中松特許法律事務所(現中村合同特許法律事務所)に入所。中松の急逝後の1974年から1993年まで、中村合同特許法律事務所代表パートナーを務め、現在は同事務所パートナー。日本弁護士連合会無体財産権制度委員会委員長(1979年 - 1981年)、国際知的財産保護協会本部執行委員(1966年 - 1991年)、日本商標協会会長(1988年 - 1995年)などを歴任し、「知財の中村」と称されている。

著書

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  • 中村稔著作集』 現在6巻、青土社、2004-2005。続刊予定
    • 『1 詩』
    • 『2 詩人論』
    • 『3 短詩型文学論』
    • 『4 同時代の詩人・作家たち』
    • 『5 紀行・文学と文学館』
    • 『6 随想』
  • 『私の昭和史』青土社 2004
  • 『私の昭和史 戦後編』(上下) 青土社 2008
  • 『私の昭和史 完結篇』(上下) 青土社 2012
  • 『私の平成史』青土社 2024

詩集

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  • 『鵜原抄 詩集』 思潮社 1966
  • 『中村稔詩集』 思潮社 現代詩文庫 1977
  • 『羽虫の飛ぶ風景』 青土社 1977
  • 『空の岸辺』 青土社 1980
  • 『中村稔詩集 1944-1986』青土社 1988
  • 『浮泛漂蕩』 思潮社 1991
  • 『新輯・うばら抄』 青土社 1996
  • 『続・中村稔詩集』 思潮社 現代詩文庫 1996
  • 『新輯・幻花抄』 青土社 2002。初版2001(限定本)
  • 『中村稔詩集』 芸林21世紀文庫 芸林書房 2003、菅野昭正
  • 『言葉について』 青土社 2016、改訂版2018
  • 『むすび・言葉について 30章』 青土社 2019
  • 『寂かな場所へ』 青土社 2022
  • 『月の雫』 青土社 2024

作家・作品論・随想紀行

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  • 『宮沢賢治』ユリイカ 1955(ユリイカ新書 現代詩論シリーズ)、五月書房 1958
    • 七曜社 1962、芳賀書店〈芳賀選書〉 1966
    • 筑摩書房〈筑摩叢書〉 1972、新版1985 - 下記の作品集を編・解説
  • 『言葉なき歌 中原中也論』角川書店 1973
    • 改訂版『中原中也 言葉なき歌』筑摩書房〈筑摩叢書〉 1990
  • 『詩・日常のさいはての領域』創樹社 1976
  • 『私の感傷旅行』青土社 1976
  • 『名詩鑑賞 中原中也』講談社学術文庫 1979
    • 『中也を読む 詩と鑑賞』青土社 2001、新装版2014
  • 斎藤茂吉私論』朝日新聞社 1983
  • 『サハラの風神 西アフリカ・サバンナ紀行』筑摩書房 1988
  • 『故園逍遥』福武書店 1990
  • 『束の間の幻影 銅版画家駒井哲郎の生涯』新潮社 1991
  • 『宮沢賢治ふたたび』思潮社 1994
  • 『日の匂い』青土社 1995
  • 『文学館感傷紀行』新潮社 1997
  • 子規と啄木』潮出版社〈潮ライブラリー〉 1998
  • 『スギの下かげ』 青土社 2000
  • 『人間に関する断章』青土社 2002
  • 『私の詩歌逍遙』青土社 2004
  • 司馬遼太郎を読む』青土社 2009
  • 『中原中也私論』思潮社 2009
  • 文学館を考える 文学館学序説のためのエスキス』青土社 2011
  • 樋口一葉考』青土社 2012 
  • 『食卓の愉しみについて 人生に関する断章』青土社 2013
  • 『芥川龍之介考』青土社 2014
  • 平家物語を読む』青土社 2014
  • 『私の日韓歴史認識』青土社 2015、増補版2019
  • 『古今周遊』青土社 2015
  • 萩原朔太郎論』青土社 2016
  • 西鶴を読む』青土社 2016
  • 石川啄木論』青土社 2017
  • 『故旧哀傷 私が出会った人々』青土社 2017
  • 高村光太郎論』青土社 2018
  • 『高村光太郎の戦後』青土社 2019
  • 『回想の伊達得夫』青土社 2019
  • 『忘れられぬ人々 故旧哀傷・二』青土社 2019
  • 『宮沢賢治論』青土社 2020
  • 『忘れられぬ人々二 故旧哀傷・三』青土社 2020
  • 『現代詩の鑑賞』青土社 2020
  • 『忘れられぬ人々三 故旧哀傷・四』青土社 2021
  • 森鴎外渋江抽斎』を読む』青土社 2021
  • 『現代女性詩人論』青土社 2021
  • 『現代詩人論 上・下 男性篇』青土社 2022
  • 与謝蕪村考』青土社 2023

編著

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  • 「中原中也研究」 書肆ユリイカ 1959
  • 「中也のうた」 社会思想社・現代教養文庫 1970
  • 「斎藤茂吉の世界 共同討議」太田一郎田中隆尚共著 青土社 1981
  • 「現代の随想22 斎藤茂吉集」彌生書房 1982
  • 「近代の詩人8 宮沢賢治」潮出版社 1992
  • 「新編 宮沢賢治詩集」角川文庫 改版1995
  • 「流火草堂遺珠 安東次男拾遺句詩集」 ふらんす堂 2009
  • 立原道造全集」全5巻、筑摩書房 2006-2010 
安藤元雄宇佐美斉鈴木博之と編集委員
  • 「精神の風通しのために 日高普著作集」青土社 2011
特集号

脚注

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  1. ^ 法政大学出身。事件後、東京控訴院部長判事、津田左右吉事件を扱う。戦後東京高裁裁判長。
  2. ^ 『私の昭和史:戦後篇 下巻』青土社、20ページ、2008年発行
  3. ^ 朝日賞 2001-2018年度”. 朝日新聞社. 2023年1月6日閲覧。
  4. ^ 安藤・三宅氏ら7人に文化勲章 ノーベル賞2氏も”. 日本経済新聞 (2010年10月26日). 2023年3月21日閲覧。

外部リンク

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