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レオノーレ・プロハスカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

レオノーレ・プロハスカ(Leonore Prohaska)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1814年から1815年に作曲した劇付随音楽[1]WoO番号は96。

作曲の経緯

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ウィーン会議の開催されていた1814年秋から翌15年初夏までのあいだにウィーンを訪れたプロイセンヴィルヘルム三世に同行してきた枢密院第1秘書官のレオポルト・ドゥンカー(1768?~1842)はベートーヴェンと交渉して、1813年に起きた戦時中の悲劇を描いた《レオノーレ・プロハスカ》という劇をベートーヴェンの音楽付きでウィーンで上演しようと考えていた。ベートーヴェンはこの交渉に応じて、4曲からなる劇音楽を作成した[2]

レオノーレ・プロハスカ

レオノーレ・プロハスカ(英語版)とは、1785年にドイツで生まれ、のちに名前をAugust Renzと偽り男性軍人としてプロイセン軍ナポレオンと戦い、「ポツダムジャンヌ・ダルク」と言われ、1813年に没した女性で[3]男性として戦ったという点と、名前の点で共通点があるレオノーレ(ベートーヴェンが作曲したオペラ「フィデリオ」の人物)を重ね、何か感じたのだろうと考えられている[2]

作品の構成

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第一曲「兵士の合唱(Krieger-Chor)」

変ロ長調、4分の2拍子。13小節からなる歌だが、3節が繰り返し歌われる[2][1]

第二曲「私の庭に花が咲き(Romanze)」

ト長調、8分の6拍子。ハープによる序奏のあとにソプラノが「私の庭に花が咲き」と歌う22小節のロマンス[2][1]

第三曲「かつてあの花は、お前を飾っていた(Melodram)」

ニ長調、4分の3拍子。グラスハーモニカと語りによる音楽。グラスハーモニカのアルバムなどにはよく収録されている[2][1]

第4曲「葬送行進曲(Trauermarsch)」

ロ短調、4分の4拍子。1801年に作曲したピアノ・ソナタ第12番の第3楽章「葬送行進曲」変イ短調の調を変えてオーケストラ用に編曲したもの[2][1]

録音

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Discogsで確認できる録音には、以下のものがある。(勿論此の他にも録音は存在する。)

全曲録音にはクラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルのもの、カール・アントン・リッケンバッハー指揮ベルリン放送交響楽団のもの、第3曲を除いた録音にレイフ・セーゲルスタム指揮トルゥク・フィルハーモニー管弦楽団(英語版)のもの、第2曲のみの録音にチェン・レイス(英語版)ソプラノのもの、第3曲、第4曲のみの録音にハンス・ユベルト・シェーンツェラー(英語版)指揮ベルリン交響楽団のもの、第3曲のみの録音にトーマス・ブロッホ(英語版)のグラスハーモニカのもの、第4曲のみの録音にスタニスワフ・スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管弦楽団のもの、ベーラ・ドラホシュ(英語版)指揮Nicolaus Esterházy Sinfoniaのもの、ケント・ナガノ指揮モントリオール交響楽団のもの、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラのものがある[4]

脚注

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  1. ^ a b c d e Leonore Prohaska, WoO 96 (Beethoven, Ludwig van) - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜”. imslp.org. 2025年1月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f おやすみベートーヴェン 第299夜【不滅の恋人との別れ】| 悲劇《レオノーレ・プロハスカ》のための音楽——実在した男装兵士の悲劇に寄せて作曲”. 音楽っていいなぁ、を毎日に。| Webマガジン「ONTOMO」. 2025年1月13日閲覧。
  3. ^ Eleonore Prohaska”. www.goehrdeschlacht.de. 2025年1月13日閲覧。
  4. ^ leonore prohaskaの音楽()| Discogs”. www.discogs.com. 2025年1月13日閲覧。

外部リンク

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「レオノーレ・プロハスカ」の楽譜IMSLPより