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リトアニアの大統領

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リトアニアの旗 リトアニア共和国
大統領
Lietuvos Respublikos Prezidentas
現職者
ギタナス・ナウセダ(第8代)
Gitanas Nausėda

就任日 2019年7月12日
種類元首
呼称大統領(非公式)
閣下(外交)
所属機関欧州評議会
庁舎大統領官邸
所在地ヴィリニュス
任命直接選挙
任期5年(3選禁止)
根拠法令リトアニア共和国憲法
初代就任アンターナス・スメトナ
創設1919年4月4日 (105年前) (1919-04-04)
廃止1940–1990
職務代行者セイマス議長
ヴィクトリア・チミリテ=ニールセン英語版
俸給月額 €10,230 (税引前)[1]
ウェブサイトwww.lrp.lt

リトアニアの大統領(リトアニアのだいどうりょう、リトアニア語: Lietuvos Respublikos Prezidentas)は、リトアニア国家元首たる大統領である。

現職大統領は2019年7月12日に就任したギタナス・ナウセダである。

権限

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リトアニアの大統領は、エストニアとラトビアの大統領より権限が強く、フランスの大統領に非常に類似している。アメリカ合衆国大統領のような大統領と違い、一般的に外交において最も権限を持っており、信任状捧呈や条約への署名など、国家元首としての儀礼的な権限だけでなく、外交政策の基本方針を決定する。また、リトアニア軍の最高司令官として国防会議を主宰し、国防軍司令官を任命する(ただしセイマスの承認を要する)[2]

また、内政においても重要な役割があり、セイマスへの法案の提出や可決された法案への拒否権の行使、首相の任命と樹立された政府の承認の権限を持ち、不信任決議の可決やセイマスが政府の予算案を60日以内に可決しなかった場合に解散総選挙を行うことが可能となっている。しかし、対抗措置として、解散総選挙で選出された議員により任期満了前の大統領選挙を要求される可能性がある[3]

さらに、司法においても、憲法裁判所判事の3分の1と最高裁判所判事全員を指名し(セイマスにより任命される)、他のすべての判事を直接任命する権限がある。

選挙

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1992年に制定された憲法に基づき、任期は5年、二回投票制で選出される。第1回投票で選出されるためには、投票数の絶対過半数を得るか得票数が登録有権者数の3分の1に達しなければならず[4]、そのような候補者が一人もいない場合は、2週間後に上位2名により決選投票が行われる。就任後は、政党の党員資格を一時的に停止しなければならない[3]

大統領が在任中に死去あるいは職務執行不能になった場合は、新たな大統領が選挙で選出され、就任するまで、セイマス議長英語版が大統領職を代行する。

大統領の一覧

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第一共和政
大統領 所属政党 在任期間 備考
001 アンターナス・スメトナ
Antanas Smetona
民族進歩党
(TPP)
1919年4月4日
- 1920年6月19日
1年 + 76日
00 アレクサンドラス・ストゥルギンスキス
Aleksandras Stulginskis
リトアニア・キリスト教民主党
(LKDP)
1920年6月19日
- 1922年12月21日
2年 + 185日 大統領代行
(制憲議会議長)
002 1 1922年12月21日
- 1926年6月7日
3年 + 168日
003 カジース・グリニュス
Kazys Grinius
リトアニア農民人民連合
(LVLS)
2 1926年6月7日
- 1926年12月18日
194日 任期満了前に解任
[注 1]
00 ヨナス・スタウガイティス
Jonas Staugaitis
リトアニア農民人民連合
(LVLS)
1926年12月18日
- 1926年12月19日
1日 大統領代行
(セイマス議長)
00 アレクサンドラス・ストゥルギンスキス
Aleksandras Stulginskis
リトアニア・キリスト教民主党
(LKDP)
1926年12月19日
- 1926年12月19日
0日 大統領代行
(セイマス議長)
0(1) アンターナス・スメトナ
Antanas Smetona
リトアニア人民族主義連合
(LTS)
1926年12月19日
- 1931年6月15日
13年 + 179日
3 1931年12月19日
- 1938年6月15日
4 1938年12月19日
- 1940年6月15日
任期満了前に亡命
00 アンターナス・メルキス英語版
Antanas Merkys
リトアニア人民族主義連合
(LTS)
1940年6月15日
- 1940年6月17日
2日 大統領代行
(首相)
[注 2]
00 ユスタス・パレツキス英語版
Justas Paleckis
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
1940年6月17日
- 1940年8月25日
69日 大統領代行
(首相)
[注 2]
議長 所属政党 在任期間 備考
00 ヨナス・ジェマイティス英語版
Jonas Žemaitis
無所属
(軍人)
1949年2月16日
- 1954年11月26日
5年 + 283日 大統領代行
(評議会議長)
[注 3]
00 アドルファス・ラマナウスカス英語版
Adolfas Ramanauskas
無所属
(軍人)
1954年11月26日
- 1957年11月29日
3年 + 3日 大統領代行
(評議会副議長)
[注 3]
議長 所属政党 在任期間 備考
001 ユスタス・パレツキス
Justas Paleckis
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
1 1940年8月25日
- 1947年
26年 + 232日
2 1947年
- 1951年
3 1951年
- 1955年
4 1955年
- 1959年
5 1959年
- 1963年
6 1963年
- 1967年4月14日
002 モティエユス・シュマウスカス英語版
Motiejus Šumauskas
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
7 1967年4月14日
- 1971年
8年 + 254日
8 1971年
- 1975年12月24日
003 アンタナス・バルカウスカスリトアニア語版
Antanas Barkauskas
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
9 1975年12月24日
- 1980年
9年 + 329日
10 1980年
- 1985年11月18日
004 リンガウダス・ソンガイラ英語版
Ringaudas Songaila
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
11 1985年11月18日
- 1987年12月7日
2年 + 19日 任期満了前に辞任
[注 4]
005 ヴィータウタス・アストラウスカス英語版
Vytautas Astrauskas
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
12 1987年12月7日
- 1990年1月15日
2年 + 39日 任期満了前に辞任
[注 5]
006 アルギルダス・ブラザウスカス
Algirdas Mykolas Brazauskas
ソビエト連邦共産党(TSKP)
リトアニア共産党(LKP)
13 1990年1月15日
- 1990年3月11日
55日

リトアニア共和国 (1990-現在)

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第二共和政
議長 所属政党 在任期間 備考
007 ヴィータウタス・ランズベルギス
Vytautas Landsbergis
サユディス
(Sąjūdis)
1 1990年3月11日
- 1992年11月25日
2年 + 259日

大統領 (1992-現在)

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大統領 所属政党 在任期間 備考
00 アルギルダス・ブラザウスカス
Algirdas Mykolas Brazauskas
リトアニア民主労働党
(LDDP)
1992年11月25日
- 1993年2月25日
92日 大統領代行
(セイマス議長)
004 4 1993年2月25日
- 1998年2月25日
5年 + 0日
005 ヴァルダス・アダムクス
Valdas Adamkus
無所属 1 1998年2月26日
- 2003年2月26日
5年 + 0日
006 ロランダス・パクサス
Rolandas Paksas
自由民主党
(LDP)
2 2003年2月26日
- 2004年4月6日
1年 + 40日 弾劾による罷免
00 アルトゥーラス・パウラウスカス
Artūras Paulauskas
新同盟
(NS)
2004年4月6日
- 2004年7月12日
97日 大統領代行
(セイマス議長)
0(5) ヴァルダス・アダムクス
Valdas Adamkus
無所属 3 2004年7月12日
- 2009年7月12日
5年 + 0日
007 ダレ・グリーバウスカイテ
Dalia Grybauskaitė
無所属 4 2009年7月12日
- 2019年7月12日
10年 + 0日
5 2014年7月12日
- 2019年7月12日
008 ギタナス・ナウセダ
Gitanas Nausėda
無所属 6 2019年7月12日
- 2024年7月12日
5年 + 165日
7 2024年7月12日
- (現職)

脚注

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注釈

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  1. ^ 1926年リトアニアクーデター英語版にて失脚。
  2. ^ a b スメトナは法令上、大統領を辞任しておらず、メルキスとバレツキスの大統領代行就任は公式に認められていない。
  3. ^ a b 2018年11月20日、政府から追贈。
  4. ^ 党第一書記に選出されたため。
  5. ^ 病気のため。

出典

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関連項目

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