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ユーリ古細菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユリアーキオータ門から転送)
ユーリ古細菌
Thermococcus gammatolerans
分類
ドメイン : 古細菌 Archaea
: ユーリ古細菌
Euryarchaeota
学名
"Euryarchaeota"
Woese, Kandler & Wheelis, 1990
下位分類(門)

ユーリ古細菌(ユーリこさいきん、ユリアーキオータEuryarchaeota)は、メタン生成菌高度好塩菌を中心とした古細菌の系統である。この他にも超好熱菌や好熱好酸菌、硫酸還元菌、嫌気的メタン酸化菌など多様な生物がおり、既知の古細菌種の8割以上が含まれる。種ベースで原核生物の3%程度を占める。

1984年にレイクが古細菌界として定義したものである[1]1990年カール・ウーズが16SrRNA配列に従いユーリ古細菌界として再定義した[2]。他の古細菌群とは基本的に16S rRNA系統解析によって区別されており、形態・細胞表層構造、代謝系は非常に多様である。幅広い極限環境に適応していることから、ギリシャ語のευρυς(ラテン文字:eurys;エウリュス、意味:広い)にちなんで命名された。

長くユーリ古細菌門として位置づけられていたが、2021年から2023年にかけ、メタノバクテリウム門(Methanobacteraeota)、テルモプラズマ門(Thermoproteota)、ハロバクテリウム門(Halobacteriota)が記載された。スーパーグループとしては、この3門に加え、Hadarchaeotaや場合によってはDPANN群を含んでいる。

特徴

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元々16S rRNA系統解析により定義された界であり、共通する性質は乏しい。クレン古細菌との比較では、やや細菌寄りの細胞骨格細胞分裂機構を持っている。ESCRT複合体の代わりにZリング関連タンパク質(FtsZMin[要曖昧さ回避]など)があり、MreBを持つものも多い。転写関連遺伝子(RpoG、Rpc34、Elf1)やリボソームタンパク質(S25e、S30e、L13e、L38e)のいくつかを保有しないことも特徴である。

メタン生成菌の系統が多く、主要9綱のうち5綱がメタン生成菌のみから構成され、1綱がメタン生成菌を1部含み、1綱が生成メタン菌ではないもののメタン生成経路を備えている。高度好塩菌メタノミクロビウム綱の姉妹群とされる。記載されているメタン生成菌は全てこのユーリ古細菌に含まれる。

分類

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この他にも多くの未培養系統が残されている。

特徴

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脚注

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  1. ^ ここで言う古細菌界は、現在でいうクレン古細菌などを含んでいない。クレン古細菌はエオサイト界として独立の界が与えられ、真核生物の祖先として想定する(エオサイト説)。一方、古細菌界(ユーリ古細菌)は細菌の祖先に位置付けられていた
  2. ^ Woese 1990.
  3. ^ Frigaard, N. U., et al. (2006). “Proteorhodopsin lateral gene transfer between marine planktonic Bacteria and Archaea”. Nature 439 (7078): 847-50. doi:10.1038/nature04435. PMID 16482157. 
  4. ^ Gupta, R. S., et al. (2015). “Phylogenomic analyses and molecular signatures for the class Halobacteria and its two major clades: a proposal for division of the class Halobacteria into an emended order Halobacteriales and two new orders, Haloferacales ord. nov. and Natrialbales ord. nov., containing the novel families Haloferacaceae fam. nov. and Natrialbaceae fam. nov.”. Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 65: 1050-69. doi:10.1099/ijs.0.070136-0. PMID 25428416. 

参考文献

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  • Woese, CR; Kandler O, Wheelis ML (1990). “Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya”. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 4576–4579. PMID 2112744.