マクラーレン・MP4-30
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カテゴリー | F1 | ||||||||||
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コンストラクター | マクラーレン | ||||||||||
デザイナー | ピーター・プロドロモウ | ||||||||||
先代 | マクラーレン・MP4-29 | ||||||||||
後継 | マクラーレン・MP4-31 | ||||||||||
主要諸元 | |||||||||||
エンジン | ホンダ RA615H | ||||||||||
タイヤ | ピレリ | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | マクラーレン ホンダ | ||||||||||
ドライバー |
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出走時期 | 2015年 | ||||||||||
コンストラクターズタイトル | 0 | ||||||||||
ドライバーズタイトル | 0 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 27 | ||||||||||
初戦 | 2015年オーストラリアGP | ||||||||||
最終戦 | 2015年アブダビGP | ||||||||||
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マクラーレン MP4-30 (McLaren MP4-30) は、マクラーレンが2015年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。
概要
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2008年以来7年ぶりのF1復帰となるホンダ製パワーユニットを搭載したマシン。「マクラーレン・ホンダ」としては1992年のMP4/7A以来のコンビ復活となる。
正式発表前には、車名の区切り文字が従来のハイフン区切りからMP4/11以前のスラッシュ区切りに戻されるという話が出ており、実際ティザーサイトでは「MP4/30」という表記も見られたが[1]、最終的には従来のハイフン区切りを踏襲している。
車体設計においては、空力的メリットを得るために車体後部をタイトに絞り込んだ「サイズゼロ」コンセプトを導入。パワーユニットはメルセデスが先鞭をつけた「スプリットターボ方式」を採用し、非常にコンパクトにデザインされた。しかし、そのアグレッシブな設計ゆえに冷却系の問題が発生[2]。また、シリンダーバンク内に収められたコンプレッサーを小型化した結果、MGU-H(熱エネルギー回生)の発電量が不足し、デプロイメント(エネルギーの使用配分)の問題にも悩まされた[3][4]。モンテカルロやハンガロリンクのような低速コースでは表面化しないものの、高速コースではバッテリー切れになってしまい、直線でなす術もなく抜かれるような場面が見受けられた[5](回生エネルギーのアシストは160馬力)。
ノーズはフェラーリ・SF15-Tと同じく、前方へ低く長く伸びたデザインを採用したが、第8戦オーストリアGPよりウィリアムズ・FW37のような先端に突起の付いたショートノーズに変更された[6]。
カラーリングはボーダフォンカラー以前の、MP4-20に近いノーズに赤い縁取りのシルバーアローカラーで開幕を迎える。第5戦スペイングランプリで、グラファイトグレーを基調とした新カラーリング[7]に変更された。
2015年シーズン
[編集]プレシーズンテストでは走り始めからトラブルが多発。合計周回数は参加9チーム中最下位[8]。フェルナンド・アロンソはテスト中のクラッシュの影響で開幕戦を欠場した。
開幕戦オーストラリアGPでは気温上昇による熱害を避けるため、パワーユニットをセーブして走行。予選は最後列に2台が並び、決勝はアロンソの代役のケビン・マグヌッセンがスタート前にリタイア、ジェンソン・バトンは完走11台中最下位だった。
第6戦モナコGPでバトンが8位入賞し、初ポイントを獲得。第8戦イギリスグランプリではアロンソが10位入賞した。第10戦ハンガリーGPでは、フェルナンド・アロンソが5位入賞、ジェンソン・バトンが9位入賞となり2015年シーズン初のダブル入賞となった。
第11戦ベルギーGPではニュースペックエンジンを投入。部品交換によるグリッド降格ペナルティが2台合計105グリッド(アロンソ55・バトン50)に達した[9]。ホンダの地元レースである第14戦日本GPでは、マシンの遅さに苛立ったアロンソが、無線で「GP2エンジン」と叫んだ。ホンダへの批難について、新井康久プロジェクトリーダーは「すべてがエンジンの責任ではないんです。シャシーに関しても問題はたくさんあります」と反論した[10]。
第15戦ロシアGP、第16戦アメリカGPではバトンが連続入賞し、最終戦アブダビGPではアロンソがレース中の最速ラップで3番手のタイムを記録した。コンストラクターズ選手権順位は10チーム中9位に終わった。
スペック
[編集]シャーシ
[編集]- シャーシ名:MP4-30
- シャーシ構造:カーボンファイバー/ハニカムコンポジット構造
- ブレーキキャリパー:曙ブレーキ工業(AKEBONO)
- ブレーキディスク・パッド:AKEBONO ベンチレーテッド式カーボンファイバーディスクブレーキ
- サスペンション:前後独立懸架 前輪プッシュロッド式/後輪プルロッド式トーションスプリング
- 無線:ケンウッド
- ホイール:エンケイ
- バッテリー:リチウムイオンバッテリー 20-25kg
- 重量:702kg(ドライバー含む・燃料は含まず)
- タイヤ:ピレリ P-Zero
エンジン
[編集]- エンジン名:本田技研工業(ホンダF1) RA615H
- 気筒数・角度:V型6気筒・90度
- 排気量:1,600cc
- 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)
- ターボ:シングル
- バルブ数:24
- バルブ駆動:圧搾空気式
- 燃料:エクソンモービル High Performance Unleaded
- 潤滑油:モービル1 エンジンオイル
- 重量:145kg
ERS システム
[編集]- バッテリー出力:4MJ(1周あたり)
- MGU-K 出力:120KW
- MGU-K 最高回転数:50,000 rpm
- MGU-H 最高回転数:125,000 rpm
ギアボックス
[編集]記録
[編集]年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | ポイント | ランキング |
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ABU![]() | |||||
2015 | 14 | ![]() |
Ret | 12 | 11 | Ret | Ret | Ret | Ret | 10 | 5 | 13 | 18† | Ret | 11 | 11 | 11 | Ret | 15 | 17 | 27 | 9位 | |
20 | ![]() |
DNS | |||||||||||||||||||||
22 | ![]() |
11 | Ret | 14 | DNS | 16 | 8 | Ret | Ret | Ret | 9 | 14 | 14 | Ret | 16 | 9 | 6 | 14 | 14 | 12 |
- 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ、DSQは失格
- † 印はリタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
- アロンソがシーズン開幕前のテストにて負傷したため開幕戦オーストラリアGPはアロンソにかわりマグヌッセンが出走。
脚注
[編集]- ^ マクラーレン、MP4/30の一部を公開 - F1-Gate.com・2015年1月8日
- ^ "ホンダ「F1挑戦は想像以上に困難」苦戦の原因語る". オートスポーツweb. (2015年8月6日) 。
- ^ "F1:ホンダの弱点、デブロイメントとは?". F1-Gate.com. (2015年10月15日) 。
- ^ "Honda、コンセプト維持のままターボの大型化を目指す". ESPN F1.(2016年1月13日)。
- ^ "ホンダ“サイズゼロ”に未来はあるか 元フェラーリ浜島裕英が今季戦いを解説 (page2/2)". スポーツナビ. (2015年9月24日) 。
- ^ "F1:ショートノーズのメリットは?". F1-Gate.com. (2015年6月29日) 。
- ^ MP4-30の新しいカラーリングを公開 - 本田技研工業・2015年5月7日
- ^ "【2015年プレシーズンテストまとめ】本命メルセデスAMG、追い上げるフェラーリ、苦難のマクラーレン・ホンダ". TopNews.(2015年3月3日)。
- ^ "マクラーレン・ホンダ、合計105グリッド降格が決定". オートスポーツweb. (2015年8月23日) 。
- ^ 実際、スペインGP・モナコGP・カナダGP・シンガポールGPはマクラーレン側が担当する部品のリタイアであり(現にシンガポールGPでは2台ともギアボックスが原因のリタイアとなっている)反論する根拠は存在していた。"マクラーレンの姿勢は生産的ではないと示唆したホンダF1リーダー". TopNews. (2015年9月28日) 。
- ^ "[1]".Honda McLaren-Honda 新型「MP4-30」 2015年3月1日閲覧。