ポールポジション
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ポールポジション(英: pole position、PP)は、モータースポーツにおいて、決勝レースのスタート位置の先頭を指す。
概要
[編集]一般的には予選で最速のラップタイムを記録したドライバーが、この位置を得る権利を持つ(ただしリバースグリッドを採用しているレースではその限りではない)。ポールポジションを獲得したドライバーは「ポールシッター」と呼ばれる[1]。
ポールポジションの語源は競馬にあるといわれている[1]。モータースポーツが盛んに行なわれるようになった1900年初頭、競馬の世界では観客席から離れた位置からのスタートでも馬番が判りやすいようゼッケン1番の馬の位置にポールを立てる習慣があった。この「1番の位置にポールを立てる」という習慣がモータースポーツに「1番前のスタート位置」として転じたのがポールポジションだとされている。
ポールポジションを獲得すると以下の様な利点がある。
- スタート形式を問わず最初のコーナーに最も近い。
- スタンディングスタートでは、前方に車両がないため加速を行いやすい。
- ローリングスタートでは、セーフティカーがピットに入る様子を誰よりも早く確認できる。
- 予選と決勝では最適なセッティングは厳密には異なるとはいえ、そのグリッドの中でかなり速いマシンという証明になる。
無論、レース展開において非常に有利なポジションであるためポールポジションを獲得したドライバー(チーム)がそのまま優勝する例は非常に多い。これをポールトゥーウィンと呼ぶ。特にレースの距離・時間が短いほど、ポールポジションのマシンが有利となる。
F1におけるポールポジション記録
[編集]→詳細は「F1歴代記録 § ポールポジション回数」を参照
記録は2024年終了時点。
- ポールポジション獲得者に関する注釈
- (注1)スプリント(予選)実施GPにおけるポールポジションの取扱い
- 2021年の第10戦イギリスGP、第14戦イタリアGP、第19戦サンパウロGPでは
レース形式の「スプリント予選」が実施され、「スプリント予選」の1位をポールポジションとして記録している。
「スプリント予選」に先立ち実施された「予選1位」にはポールポジションの記録は付与されていない。 - 2022年の「スプリント」実施GPにおいては、
ポールポジションは「予選1位」に記録され、「予選1位」は「スプリント」では1番グリッドからスタートする。
決勝レースでは「スプリント1位」が1番グリッドからスタートするが、「スプリント1位」にはポールポジションの記録は付与されない。 - 2023年以降、決勝とスプリントは別のイベントとして扱われるようになった。「スプリント予選(2023年のみスプリント・シュートアウト)」は「スプリント」のスターティンググリッドを決定するセッションに変わり、「予選1位」にポールポジションの記録が付与される[2]。
- 2021年の第10戦イギリスGP、第14戦イタリアGP、第19戦サンパウロGPでは
- (注2)予選1位のドライバーがグリッド降格ペナルティを受ける場合
- 全車のグリッド順位を割り当てた際に1位となるドライバーにポールポジションが与えられる[3]。
通算獲得数
[編集]順位 | 回数 | ドライバー |
---|---|---|
1 | 104 | ルイス・ハミルトン |
2 | 68 | ミハエル・シューマッハ |
3 | 65 | アイルトン・セナ |
4 | 57 | セバスチャン・ベッテル |
5 | 40 | マックス・フェルスタッペン |
6 | 33 | ジム・クラーク |
アラン・プロスト | ||
8 | 32 | ナイジェル・マンセル |
9 | 30 | ニコ・ロズベルグ |
10 | 29 | ファン・マヌエル・ファンジオ |
出典: [4] |
年間獲得数
[編集]順位 | 回数 | ドライバー | 年度 |
---|---|---|---|
1 | 15 | セバスチャン・ベッテル | 2011年 |
2 | 14 | ナイジェル・マンセル | 1992年 |
3 | 13 | アイルトン・セナ | 1988年, 1989年 |
アラン・プロスト | 1993年 | ||
6 | 12 | ルイス・ハミルトン | 2016年 |
マックス・フェルスタッペン | 2023年 | ||
8 | 11 | ミカ・ハッキネン | 1999年 |
ミハエル・シューマッハ | 2001年 | ||
ニコ・ロズベルグ | 2014年 | ||
ルイス・ハミルトン | 2015年, 2017年, 2018年 | ||
出典: [5] |
連続獲得数
[編集]年をまたがない場合、1993年のアラン・プロストと2024年のマックス・フェルスタッペンの7戦連続が最多記録となる[7]。
デビュー戦で獲得
[編集]- ジュゼッペ・ファリーナ - F1最初のレース(1950年イギリスグランプリ)で記録。
- マリオ・アンドレッティ - 1968年アメリカグランプリで記録。厳密には2戦目だが、初参戦した1968年イタリアグランプリは決勝に出走しなかったため、デビュー戦と見なされる。
- カルロス・ロイテマン - 1972年アルゼンチングランプリで記録。
- ジャック・ヴィルヌーヴ - 1996年オーストラリアグランプリで記録。
(出典: [8])
デビューから遅く達成
[編集]順位 | レース数 | ドライバー | レース |
---|---|---|---|
1 | 216 | セルジオ・ペレス | 2022年サウジアラビアグランプリ |
2 | 151 | カルロス・サインツ | 2022年イギリスグランプリ |
3 | 141 | ケビン・マグヌッセン* | 2022年サンパウログランプリ |
4 | 131 | マーク・ウェバー | 2009年ドイツグランプリ |
5 | 119 | ヤルノ・トゥルーリ | 2004年モナコグランプリ |
6 | 115 | ティエリー・ブーツェン* | 1990年ハンガリーグランプリ |
7 | 111 | ニコ・ロズベルグ | 2012年中国グランプリ |
8 | 94 | ミカ・ハッキネン | 1997年ルクセンブルクグランプリ |
ダニエル・リカルド | 2016年モナコグランプリ | ||
10 | 93 | マックス・フェルスタッペン | 2019年ハンガリーグランプリ |
出典: [8] |
- * 唯一のポールポジション
最年少記録
[編集]順位 | 年齢 | ドライバー | レース |
---|---|---|---|
1 | 21歳73日 | セバスチャン・ベッテル | 2008年イタリアグランプリ |
2 | 21歳166日 | シャルル・ルクレール | 2019年バーレーングランプリ |
3 | 21歳237日 | フェルナンド・アロンソ | 2003年マレーシアグランプリ |
4 | 21歳308日 | マックス・フェルスタッペン[9] | 2019年ハンガリーグランプリ |
5 | 21歳317日 | ランド・ノリス | 2021年ロシアグランプリ |
6 | 22歳17日 | ランス・ストロール* | 2020年トルコグランプリ |
7 | 22歳97日 | ルーベンス・バリチェロ | 1994年ベルギーグランプリ |
8 | 22歳154日 | ルイス・ハミルトン | 2007年カナダグランプリ |
9 | 22歳308日 | アンドレア・デ・チェザリス* | 1982年アメリカ西グランプリ |
10 | 23歳80日 | ニコ・ヒュルケンベルグ* | 2010年ブラジルグランプリ |
出典: [10] |
- * 唯一のポールポジション
最年長記録
[編集]順位 | 年齢 | ドライバー | レース |
---|---|---|---|
1 | 47歳79日 | ジュゼッペ・ファリーナ | 1954年アルゼンチングランプリ |
2 | 46歳209日 | ファン・マヌエル・ファンジオ | 1958年アルゼンチングランプリ |
3 | 44歳17日 | ジャック・ブラバム | 1970年スペイングランプリ |
4 | 42歳196日 | マリオ・アンドレッティ | 1982年イタリアグランプリ |
5 | 41歳97日 | ナイジェル・マンセル | 1994年オーストラリアグランプリ |
6 | 39歳188日 | カルロス・ロイテマン | 1981年シーザーズ・パレスグランプリ |
7 | 39歳156日 | グラハム・ヒル | 1968年イギリスグランプリ |
8 | 38歳320日 | キミ・ライコネン | 2018年イタリアグランプリ |
9 | 38歳242日 | アラン・プロスト | 1993年日本グランプリ |
10 | 38歳197日 | ルイス・ハミルトン | 2023年ハンガリーグランプリ |
出典: [10] |
MOTOGPにおけるポールポジション記録
[編集](2020年終了時点)
通算獲得数
[編集]順位 | ライダー | 回数 |
---|---|---|
1 | マルク・マルケス | 90 |
2 | ホルヘ・ロレンソ | 69 |
3 | バレンティーノ・ロッシ | 65 |
4 | ミック・ドゥーハン | 58 |
5 | マックス・ビアッジ | 56 |
6 | ダニ・ペドロサ | 49 |
7 | ケーシー・ストーナー | 43 |
8 | ホルヘ・マルティネス | 42 |
9 | ロリス・カピロッシ | 41 |
10 | エウジーニョ・ラッツァリーニ | 35 |
脚注
[編集]- ^ a b “ポールポジション”. portf.co (2018年9月29日). 2018年11月7日閲覧。
- ^ “F1スプリントの新フォーマットが決定。新予選『スプリント・シュートアウト』が導入、決勝から独立したイベントに”. autosport web (2023年4月26日). 2025年1月2日閲覧。
- ^ “これさえ読めばF1グリッド計算で迷わない!ペナルティ適応方法を含む改定ルールを徹底解説”. Formula1-Data (2022年10月21日). 2025年1月2日閲覧。
- ^ “Statistics Drivers - Pole positions - By number” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ “Statistics Drivers - Pole positions - In a year” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ “Statistics Drivers - Pole positions - Consecutively” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ “Statistics Drivers - Pole positions - Consecutively in early season” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ a b “Statistics Drivers - Pole positions - Grand Prix before” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ 獲得時点でF1通算100人目のポールシッターとなった
- ^ a b “Statistics Drivers - Pole positions - By age” (英語). STATS F1. 2025年1月2日閲覧。
- ^ “Statistics”. MotoGP.com 2018年12月17日閲覧。