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ボビー・チャールズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボビー・チャールズ
出生名 Robert Charles Guidry
生誕
死没
ジャンル R&Bブルースロックンロールスワンプ・ポップ
職業 シンガーソングライター
活動期間 1955年 - 2010年
レーベル
共同作業者

ボビー・チャールズ (Bobby Charles, 1938年2月21日 - 2010年1月14日) は、アメリカ合衆国シンガーソングライター1955年チェス・レコードからデビューし、「See You Later Alligator」などの楽曲を生んだが、自己名義のレコーディングは決して多くない。ライヴ活動を極度に嫌っていることでも知られる。一方、彼の書いた曲はビル・ヘイリードクター・ジョンレイ・チャールズなど数多くのアーティストに取り上げられており、ソングライターとしての存在感を示し続けている。

来歴

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幼少期

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本名、ロバート・チャールズ・ギドリー。1938年2月21日ルイジアナ州南部の街、アビーヴィルケイジャンの家系に生まれた。幼少期から、ケイジャン音楽を聴いて育つ。

通っていた学校では、後にセッション・ドラマーとして活躍することとなるウォーレン・ストームに出会い、彼とともに曲を書いたりデモ・テープを作るようになった[2]

14歳になると、ボビーは地元大学生によるR&Bバンド、ザ・カーディナルズに加入して活動した[3]。このバンドはチャールズ加入後にザ・クリッパーズと名称を変更。大きな影響力を持つバンドに成長した[4]

レコード・デビュー

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1955年クロウリーのレコード店、デゴ・レコード店主、チャールズ"デゴ"レドリッシュに紹介してもらい、チェスのオーディションを受けた。このオーディションは電話によって行なわれ、彼は同レーベルと契約[4]。電話口でチャールズの歌声を聴いたレーベル社長のレナード・チェスは、彼が黒人であると思っていたと言う[2]。チャールズの初代マネージャーを担当したのはレドリッシュだった[5]

デビューに当たって、チャールズは本名からギドリーを取りボビー・チャールズと名乗るようになった。チェスには1957年まで在籍。ポップ・チャート入りこそなかったものの、1956年、「See You Later Alligator」がR&Bチャートの14位、「Only Time Will Tell」が同11位を記録するヒットとなった。その後もレコーディングは継続したが、ヒット・チャートに再び入ることはなかった。[4][6]

チェスから離れたチャールズは、1958年インペリアルと契約。1960年までの2年間で6枚のシングルをリリースしている。また、この頃から他のアーティストへの楽曲提供もするようになり、クラレンス・"フロッグマン"・ヘンリー(「(I Don't Know Why) But I Do」、「The Jealous Kind」)[7]、そして彼のアイドルであったファッツ・ドミノ(「Before I Grow Too Old」、「Walking To New Orleans」、「It Keeps Rainin'」)へ提供した複数の楽曲がチャート入りを果たしている[8]

1960年代初頭から中ごろにかけて、チャールズはシュリーヴポートのジュウェル/ポーラ、そして自ら立ち上げたハブ・シティ等のレーベルにレコーディングを残した[9][10]

ウッドストック時代

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1970年代に入れると一時期、ニューヨーク州ウッドストックへ住居を移し、同じ街に住んでいたザ・バンドのメンバーらのミュージシャン達との結びつきを強めた。1972年、チャールズは初のフル・アルバムとなる『Bobby Charles』をベアズヴィルよりリリース。この作品は、リック・ダンコジョン・サイモンがプロデュースを担当。ザ・バンドのメンバーに加え、ドクター・ジョン、デイヴィッド・サンボーンジェフ・マルダーエイモス・ギャレットらが参加した。このアルバムは、チャールズのケイジャン・ルーツにR&B、カントリーを影響をにじませた内容であり、知られざる名盤と称される[11]

このアルバムのリリース後、1974年に同様のメンバーでセカンド・アルバムがレコーディングされたものの、チャールズがベアズヴィル・レコードと対立してしまったためリリースされなかった。その後2011年にライノ・ハンドメイドがアルバム『Bobby Charles』を3枚組CD版としてリリースした際、その音源の多くが収録された[12][13][11]

ラスト・ワルツへの参加

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1976年には、ザ・バンドの解散コンサート、ラスト・ワルツに参加。その様子を記録した同名のアルバムにはチャールズのトラック「Down South In New Orleans」が収録されたものの、マーティン・スコセッシが監督を務めた映画には彼の姿は記録されなかった[14]

1978年にはリヴォン・ヘルムのRCOオールスターズの一員として来日もしている[15]

後年の活動と死

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その後、暫く空白期となるが、1987年に久々の新作『Clean Water』をリリース。1990年代には、カナダのストーニー・プレインより2枚のアルバムをリリースするなど、マイペースながら活動を続けている。一方で、ライヴ活動からは一層遠ざかるようになり、2004年には、ポンデロサ・ストンプ、2007年にはニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルへの出演がそれぞれ決まっていたにもかかわらず、いずれも出演を取りやめている[16][17]。ドクター・ジョンのアルバム『シティ・ザット・ケア・フォーガット』(2008年)では5曲をドクター・ジョンと共作し、さらに自作曲「Promises, Promises」も提供した[18]

2010年1月14日、アビーヴィルの自宅で倒れ死去。直接の死因は明らかになっていないが、糖尿病など健康上の問題を抱えており、腎臓がんの治療から回復中だった[16][19][20]。生前に新作のレコーディングを済ませており、2010年2月に『Timeless』としてリリースされた。

私生活

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チャールズは、父親エメリー・ギドリーと母親エドヴィーナ・リチャードの間に生まれた。姉ルラ・メイ・バーナード、エミリー・コーティエ、兄フロイド・ギドリーとの4人兄弟の末っ子だった。チャールズには4人の息子マーク・エメリー・ギドリー、バリー・チャールズ・ギドリー、ガイ・ポール・ギドリー、ロバート・チャールズ・ギドリー・Jrがいる[21][22]

ドキュメンタリー映画

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2024年、デイヴィッド・デュボス監督の手にによってチャールズのドキュメンタリー映画「In a Good Place Now: The Life & Music of Bobby Charles」(邦題「ボビー・チャールズ 極楽の歌」)が完成した[23]ドクター・ジョンアラン・トゥーサンサニー・ランドレスジェフ・マルダーエイモス・ギャレットウォーレン・ストームジョニー・アランといったミュージシャンたちに加え、チャールズの幼なじみや親族も出演[24]。日本では2024年9月に劇場公開となっている[25]

ディスコグラフィー

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オリジナル・アルバム

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  • 1972年Bobby Charles』 (Bearsville)
  • 1987年Clean Water』 (Zensor)
  • 1995年Wish You Were Here Right Now』 (Stony Plain)
  • 1998年Secrets of the Heart』 (Stony Plain)
  • 2004年Last Train to Memphis』 (Rice 'N' Gravy)
  • 2008年Homemade Songs』 (Rice 'N' Gravy)
  • 2010年Timeless』 (Rice 'N' Gravy)

編集盤

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  • 1996年The Chess Masters』 (MCA/Chess)
  • 2000年Walking to New Orleans - The Jewel & Paula Recordings 1964-65』 (Westside)

シングル

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  • 1955年Later Alligator」/「On Bended Knee」(Chess 1609)
  • 1956年Why Did You Leave」/「Don't You Know I Love You」(Chess 1617)
  • 1956年 「Time Will Tell」/「Take It Easy Greasy」(Chess 1628)
  • 1956年 「Laura Lee」/「No Use Knocking」(Chess 1638)
  • 1957年Why Can't You」/「Put Your Arms Around Me Honey」(Chess 1647)
  • 1957年 「No More (I Ain't Gonna Love You No More)」/「You Can Suit Yourself」(Chess 1658)
  • 1957年 「One Eyed Jack」/「Yea Yea Baby」(Chess 1670)
  • 1958年Since She’s Gone」/「At The Jamboree」(Imperial X5542)
  • 1958年 「Since I Lost You」/「Oh Yeah」(Imperial X5547)
  • 1959年What Can I Do」/「The Town Is Talking」(Imperial X5579)
  • 1960年Bye, Bye Baby」/「Those Eyes」(Imperial X5642)
  • 1960年 「What A Party」/「I Just Want You」(Imperial X5681)
  • 1960年 「Nothing Sweet As You」/「Four Winds」(Imperial X5691)
  • 1964年Everybody's Laughing」/「Everyone Knows」(Jewel 728)
  • 1964年 「I Hope」/「Goodnite Irene」(Jewel 729)
  • 1964年 「Ain't Misbehavin'」/「Preacher's Daughter」(Jewel 735)
  • 1964年 「One More Glass Of Wine」/「Oh Lonesome Me」(Jewel 740)
  • 1965年Big Boys Cry」/「You Made Me Love You」(Hub-City 715)
  • 1965年 「Worrying Over You」/「The Walk」(Paula 226)
  • 1965年 「Sometimes」/「24 Hours」(Hub-City 716)
  • 1972年Small Town Talk」/「Save Me Jesus」(Bearsville BSV0010)
  • 1986年Lonesome Christmas」/「Lonesome Christmas」(Rice N' Gravy RG22139)
  • 1986年 「Party Town」/「Full Moon On The Bayou」(Rice N' Gravy RG22140)
  • 1986年 「Lil' Cajun」/「Secrets」(Rice N' Gravy RG23138)[26]

脚注

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  1. ^ Bobby Charles - What A Party: The Complete Recordings 1955-1966 (MVD Entertainment Group) 2024年7月9日閲覧
  2. ^ a b "Walking to New Orleans - The Jewel & Paula Recordings 1964-65"ライナー・ノーツ(ポール・ハリス著)
  3. ^ Bobby Charles (Find A Grave 2024年7月4日閲覧
  4. ^ a b c Bobby Charles - See You Later, Alligator (Bear Family Records) 2024年7月4日閲覧
  5. ^ Charles L. 'Dago' Redlich Jr. Obituary 2024年7月4日閲覧
  6. ^ Joel Whitburn's Top R&B Singles 1942-1988 (Record Research), P. 81
  7. ^ Clarence “Frogman” Henry (1937-2024) April 8, 2024 - by Joseph Irrera 2024年8月6日閲覧
  8. ^ Fats Domino - Discography (45cat) 2024年6月26日閲覧
  9. ^ Bobby Charles - Discography (45cat) 2024年8月6日閲覧
  10. ^ Charles, Bobby #166 (English) (Jefferson Blues Magazine) 2024年8月6日閲覧
  11. ^ a b Bobby Charles, Artist Name Bobby Charles-Release Date Tue, 08/16/2011 (Rhino) 2024年7月12日閲覧
  12. ^ Rhino Handmade Edition CD (RHM2 526663)ライナーノーツ(Brian Barr著)とブックレットデータ
  13. ^ Bobby Charles by Ben Sandmel (January 20, 2023) 2024年6月18日閲覧
  14. ^ 39 Years Later: The Band’s Last Waltz November 25, 2015 - by Jan Ramsey (Offbeat) 2024年8月6日閲覧
  15. ^ レコード・コレクターズ誌「ザ・バンド/ラスト・ワルツ」(2002年6月号)
  16. ^ a b Bobby Charles Passed Away 14 January 2010 — by Alex Rawls (OffBeat)
  17. ^ "Lost Legend," New Orleans Times Picayune, 28 April 2007
  18. ^ Jurek, Thom. “City That Care Forgot Dr. John”. AllMusic. 2015年12月8日閲覧。
  19. ^ Louisiana Songwriter Bobby Charles Dies at 71 By STACEY PLAISANCE Associated Press Writer
  20. ^ Bobby Charles, Louisiana songwriter, dies at 71 (by Keith Spera-Nola.com) 2024年6月25日閲覧
  21. ^ Obituary Robert Charles Guidry, Sr., Feb 21, 1938 - Jan 14, 2010 (Vincent Funeral Home) 2024年7月18日閲覧
  22. ^ Official Obituary of Floyd J. Guidry, February 2, 1929 ~ January 16, 2014 (age 84) (Hart Funeral Home) 2024年7月18日閲覧
  23. ^ In a Good Place Now: The Life & Music of Bobby Charles (2024) IMDB 2024年4月3日閲覧
  24. ^ 「ボビー・チャールズ 極楽の歌」インタビュー出演者紹介 2024年10月22日閲覧
  25. ^ ピーター・バラカン音楽映画祭でバーバラ・デインのドキュメンタリーなど6本が初公開 (映画ナタリー) 2024年7月22日閲覧
  26. ^ Bobby Charles - Discography (45cat)2024年7月17日閲覧

外部リンク

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