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ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム
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識別情報
CAS登録番号 16923-58-3 チェック
PubChem 11134193
ChemSpider 9309311
UNII Q7589P090H チェック
EC番号 240-983-5
特性
化学式 Na
2
PtCl
6
モル質量 453.7742 g/mol(無水物)
561.86588 g/mol(6水和物)
外観 橙色結晶
密度 2.5 g/cm3
への溶解度 可溶
危険性
GHSピクトグラム 腐食性物質急性毒性(高毒性)水生環境への有害性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H300, H301, H317, H318, H334
Pフレーズ P261, P264, P270, P272, P280, P285, P301+310, P302+352, P304+341, P305+351+338, P310, P321, P330, P333+313
関連する物質
その他の陰イオン ヘキサフルオロリン酸ナトリウム
ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム
その他の陽イオン ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウム
ヘキサクロリド白金(IV)酸アンモニウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム(ヘキサクロロはっきんよんさんナトリウム、: Sodium hexachloroplatinate(IV))は、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム塩である。組成式Na
2
[PtCl
6
]であらわされる無機化合物であり、ナトリウムカチオンとヘキサクロロ白金(IV)酸アニオンからなる。無水ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウムは黄色を呈するが、湿った空気中ではオレンジ色の6水和物を生じる。6水和物は110 °Cで熱することにより脱水できる[1]

最も使用量の多い用途は195Pt-NMR英語版分光法における化学シフト基準物質である。すなわち、溶液に含まれるその他の白金化学種の化学シフトはヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウムの化学シフトからの比率で報告される[2]

調製と反応

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ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウムは、王水白金を溶かして得られたヘキサクロロ白金(IV)酸を塩化ナトリウムと反応させて乾かすことにより乾燥したとして得られ、さまざまな白金錯体の調製における中間体として用いられる[3]。。

Pt + 4 HNO
3
+ 6 HCl → H
2
[PtCl
6
] + 4 NO
2
+ 4 H
2
O
H
2
[PtCl
6
] + 2 NaCl → Na
2
[PtCl
6
] + 2 HCl

この塩はアンモニウム塩へ転換したのちに熱分解させることにより金属白金として回収することができ、実験廃液からはこの方法で回収される。

Na
2
[PtCl
6
] + 2 NH
4
Cl → (NH
4
)
2
[PtCl
6
] + 2 NaCl
3 (NH
4
)
2
[PtCl
6
] → 3 Pt + 2 N
2
+ 2 NH
4
Cl + 16 HCl

塩基とも反応し、たとえば水酸化ナトリウムと反応させると[Pt(OH)6]2−を生じる[4]

用途

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ヘキサクロロ白金酸ナトリウムの1.2 MD
2
O
溶液は195Pt-NMR英語版における化学シフト標準化合物としてもっとも一般的に用いられる。この塩は他の白金化合物にくらべて比較的安価で販売されており、溶解度も高く、スペクトルの素早い取得も可能であることからよく使われる[2]

出典

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  1. ^ Cox, Lawrence E.; Peters, Dennis G. (1972). “Disodium Hexachloroplatinate(IV)”. Inorganic Syntheses. 13. pp. 173–176. doi:10.1002/9780470132449.ch34. ISBN 9780470132449 
  2. ^ a b Priqueler, Julien R. L.; Butler, Ian S.; Rochon, Fernande D. (2006). “An Overview of 195 Pt Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy” (英語). Applied Spectroscopy Reviews 41 (3): 185–226. Bibcode2006ApSRv..41..185P. doi:10.1080/05704920600620311. ISSN 0570-4928. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/05704920600620311. 
  3. ^ Kauffman, George B.; Teter, Larry A. (1963). “Recovery of Platinum from Laboratory Residues”. Inorganic Syntheses. 7. pp. 232–236. doi:10.1002/9780470132388.ch61. ISBN 9780470132388 
  4. ^ Vasilchenko, Danila; Berdyugin, Semen; Komarov, Vladislav; Sheven, Dmitriy; Kolesov, Boris; Filatov, Evgeny; Tkachev, Sergey (2022). “Hydrolysis of [PtCl6]2− in Concentrated NaOH Solutions”. Inorg. Chem. 61 (15): 5926–5942. doi:10.1021/acs.inorgchem.2c00414. PMID 35380806.