フジタイゲキ
フジタイゲキ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Euphorbia watanabei Makino | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
フジタイゲキ (富士大戟) |
フジタイゲキ(富士大戟、学名: Euphorbia watanabei)は、トウダイグサ科トウダイグサ属の大型の多年草である。静岡県内の低山地の茶草場として、定期的に草刈り管理が行われたため、現在まで自生していると考えられている。
特徴
[編集]フジタイゲキは、牧野富太郎により、富士山麓産の標本を基に1920年、新種として記載された[2][3]。高さは0.7-1.5メートル程あり、夏に開花し、山地または低山地の草原に見られる。
タカトウダイ (E. lasiocaula Boiss.) とは、苞葉や輪生葉が黄色い点、さらに果実と種子がより大きく、茎が無毛またはほとんど無毛である点でも異なる。また、イワタイゲキ (E. jolkinii Boiss.) とは、葉が細く腺体の表面のくぼみが不明瞭で山地に生える点で異なり、さらに花期が夏、果実の突起がまばらである点でも異なる。
ヒュウガタイゲキ (E. watanabei subsp. minamitanii T.Kurosawa, Seriz.et H.Ohashi) は、宮崎県の丘陵地に自生し、花部および果実の形態がフジタイゲキとよく似るが、輪生葉がより長く、種子表面にしわ状の模様があり、フジタイゲキの亜種と考えられている。
保全状況評価
[編集]静岡県版レッドデータブックにおいては、絶滅危惧IB類 (EN) に指定されている。掛川市でも独自に、生息地でもある粟ヶ岳中腹の東山地区と地権者との3者による「指定希少野生動植物種東山保護地区協定」[5] を締結し、保護に努めている。
化学成分
[編集]- ノナコサン(直鎖アルカン; C29H60 ) CAS RN 630-03-5
- テトラコサノール(脂肪族アルコール; C24H49OH) CAS RN 506-51-4
- 蝋状物質、融点59~60 ℃
- β-シトステロール(植物ステロール)
- 5環性トリテルペン類
- タラキセロールアセテート(またはタラクセロールまたはアセタート ˈæsətèɪt)(C32H52O2) CAS RN 2189-80-2
- ルペオール アセテート(C32H52O2) CAS RN 1617-68-1
- タラキセロン(C30H48O) CAS RN 514-0-78
- タラキサステロール(C30H50O) CAS RN 1059-14-9
- アルヌセノン(alunusenone) (?)
- ルペロン(luperone)
- オイホルビンI (euphorbin I)[6]
この節の出典[7]。
注意点
[編集]根茎は、中国の生薬・大戟(ターチ、dà jǐ)の1種である。内服用途として、利尿、峻下剤等あるが、ある種のオイホルビンは、発がんプロモーターであるため、猛毒とされ、一般に使用禁止となっている[8]。漢方薬として、腎臓病のむくみ緩和などのため外用のみに用いるなどがある[9]。大戟の取り扱いには、専門家の注意を要する。
アメリカ食品医薬局 (FDA) に認可された日光角化症の治療薬インゲノール 3-アンゲラート(商品名 Picato (R) gel ピケイトー・ゲル) については、チャボタイゲキ (Euphorbia peplus) 参照のこと。
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Galarhoeus watanabei (Makino) H.Hara”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList). 2013年6月27日閲覧。
- ^ 山田辰美・杉野孝雄 (2013年3月). “再発見種フジタイゲキの繁殖戦略と保護対策”. 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨. 2013年6月27日閲覧。
- ^ “GKZ植物事典 ヒュウガタイゲキ”. 2013年6月27日閲覧。
- ^ “レッドリスト(植物I)維管束植物”. 環境省 (2012年8月28日). 2013年6月27日閲覧。
- ^ “掛川市指定希少野生動植物種東山保護地区協定”. 掛川市ホームページ (2013年5月31日). 2013年7月8日閲覧。
- ^ Amakura, Y.; Yoshida, T. (1996). “Tannins and Related Polyphenols of Euphorbiaceous Plants. XIV. Euphorbin I, a New Dimeric Hydrolyzable Tannin from Euphorbia watanabei”. Chem. Pharm. Bull. 44 (7): 1293-1297. doi:10.1248/cpb.44.1293.
- ^ 竹本常松、石黒敏弘 (1966). “フジタイゲキの成分 その1 ”. 藥學雜誌 86 (6): 530-533. NAID 110003653250.
- ^ “フジタイゲキ_データ”. 静岡県立大学薬学部・薬学研究院. 2013年6月27日閲覧。
- ^ “タカトウダイ”. e-yakusou.com. 2013年6月27日閲覧。
参考文献
[編集]- Kurosawa, T.; Serizawa, S.; Ohashi, H. (1996). “A Taxonomical Note on Euphorbia watanabei Makino (Euphorbiaceae)”. Acta Phytotax. Geobot. 47 (1): 11-17. NAID 110003758846.