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バナッハ空間の一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学函数解析学の分野において、バナッハ空間(バナッハくうかん、: Banach spaces)は最も重要な研究対象の一つである。その他の解析学の分野においても、実際に現れる空間の多くはバナッハ空間である。

古典バナッハ空間

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Diestel (1984, Chapter VII) によると、古典バナッハ空間(classical Banach spaces)は Dunford & Schwartz (1958) によって定義されたもので、それらを以下の表に示す。

以下の表で、Kまたは複素数を表し、I は有界閉区間 [a, b] を表す。p1 < p < ∞ を満たす実数で、q はそのヘルダー共役(これも 1 < q < ∞ を満たす)を表す。すなわち

である。記号 Σσ-集合代数を表し、Ξ は(ba空間のような有限加法性のみが要求される空間に対する)ある集合代数を表す。また記号 μ は正測度、すなわち、適当な σ-集合代数上で定義される可算加法的な正の実数値集合函数とする。

古典バナッハ空間
双対 回帰性 完備 ノルム 注釈
Kn Kn Yes Yes
 n
p
 
 n
q
 
Yes Yes
 n
 
 n
1
 
Yes Yes
p q Yes Yes 1 < p < ∞
1 No Yes
ba No No
c 1 No No
c0 No No c と同型であるが等長ではない。
bv 1+K No Yes
bv0 1 No Yes
bs ba No No と等長同型。
cs 1 No No c と等長同型。
B(X,Ξ) ba(Ξ) No No
C(X) rca(X) No No Xコンパクトハウスドルフ空間
ba(Ξ) ? No Yes 測度の変動英語版
ca(Σ) ? No Yes
rca(Σ) ? No Yes
Lp(μ) Lq(μ) Yes Yes 1 < p < ∞
L1(μ) L(μ) No ? 測度 μS 上で σ-有限である場合。
L(μ) N 
μ
 
No ? N
μ
= {σ ∈ ba(Σ) | λ ≪ μ}
BV(I) ? No Yes Vf(I)f全変動英語版
NBV(I) ? No Yes fNBV(I) (⊂ BV(I))
AC(I) K+L(I) No Yes ソボレフ空間 W1,1(I) と同型。
Cn(I) rca(I) No No 特にテイラーの定理により RnC(I) と同型。

その他の解析の分野におけるバナッハ空間

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反例を与えるバナッハ空間

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注釈

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  1. ^ W.T. Gowers, "A solution to the Schroeder–Bernstein problem for Banach spaces", Bulletin of the London Mathematical Society, 28 (1996) pp. 297–304.

参考文献

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  • Diestel, Joseph (1984), Sequences and series in Banach spaces, Springer-Verlag, ISBN 0-387-90859-5 .
  • Dunford, N.; Schwartz, J.T. (1958), Linear operators, Part I, Wiley-Interscience .