ノート:ピックルスコーポレーション/削除
削除依頼で賛否が少ない上、意見が分かれているようなので見てみました。
依頼が出ている主な理由は沿革部分が外部サイト(この会社の公式サイトにあるもの[1])と同じだということでした。
異同
異同を調べてみたところ、二十数項目分の沿革が「当社」という表現が用いられている部分を除いて同じものでした。
依拠
そこで依拠があったかどうかについて考えてみましたが、投稿がIPからであることを考えると、沿革部分の著作権者であろうこの会社の公式な決定によって投稿されたというのはちょっと考えにくいように思いました。(もっとも、この沿革部分が著作物には相当しない、創作性のない文章であるということになれば、著作権者も存在しないので、ちょっと不正確な言い方になってしまいますが。)
ただ、このIPの方の投稿記録を見ると、この会社を宣伝するような内容になっているので、あるいは会社の関係者の方ではあるのかも知れません。
創作性の有無
さしあたり仮に依拠があったとして、無断利用であったらどうなのかということを考えてみました。
外部サイトの沿革と投稿された沿革はほとんど同じものなので、この同一部分が著作権法でいうところの複製にあたるのか、それとも著作物ではないから複製にもあたらないのか、ということが考えどころだと思いました。そこで、この公式サイトの沿革に果たして著作権が認められるか、ということを考えてみました。
内容を見ると、工場などの拠点新設、受賞、他会社の買収、新会社への資本参加、商号変更というのが主な構成要素になっているようです。
個々の項目を見た限りでは、特に書き手の個性が感じられないような簡潔な表現に終始しているような印象があり、その点では著作権保護の対象になりうるのかどうかかなり微妙な気がしました。(ただ、誰でもこんな風に書くだろうと思えるような文章にも著作権が認められているとおぼしきケースがあるので、著作権保護の対象になりえないと断言することは僕にはできないようにも思いますが。)
また、こうした事実の取捨選択からなるものには取捨選択、配列などに創作性が認められる可能性もあるという風に理解しているのでその点についても考えてみましたが、配列について言えば単に時系列順なので創作性はないと言って間違いないように思いました。
取捨選択の点では、まず目に付くのは、業務拡大など、この企業のよい面をとりあげているように見える点です。この企業をめぐるトラブルやスキャンダル、経営危機、直面した苦難などがあれば、物事を中立的に記述するというウィキペディアの観点からはそれらをとりあげることが望ましいと思うのですが、あまり中立的でないような印象を持ちました。
また、売り上げ、資本金、主力商品やブランド、市場シェア、などについて触れていない点が特徴的であるように思いました。また、そうした点についての項目にはしばしば事業分野や経営上の戦略・事情などについての言及があるように思いますが、そうした点も見られないようです。(xx地域の活動基盤強化のため、とか、拡大するOOへの需要に対応すべく、といった形容がない)この特徴は、他社の沿革と比べてみるとわかるように思います。 http://www.njc.co.jp/company/com-his.html http://www.fujixerox.co.jp/company/history/ http://www.atimes.co.jp/corporate/outline/history/ http://www.sigma-koki.com/company/history.html http://www.jem-net.co.jp/company/comp_enkaku.html
このように、一見誰が書いても同じようになるだろうと思われる沿革でも、実際にはいろいろと選択の余地があるように思いました。そこで、この会社の沿革についても、この事実の取捨選択を通じて一定の思想を表現しているし、その取捨選択に創作性がないとは断言しづらいように思いました。
仮に記述内容の取捨選択について創作性があるとしたら、この沿革には素材の選択と配列の内、選択には創作性が認められるが配列には創作性が認められない、ということになると思います。両方について創作性があるわけではなく、配列に創作性が欠けているとしたらそれは著作物たりえるのか、ということはWikipedia‐ノート:ウィキプロジェクト アルバム/著名なアルバム一覧に最近書きましたが判例レベルでは明快な答えがなく、学説上も見解が分かれているグレーゾーンのようです。
それらを考え合わせると、この件は明らかな著作権侵害とは到底言えないものの、どうやら侵害ではないということも断言しづらい、微妙な件なのではないかと思いました。
そうすると、著作権者の許可なく投稿されたのであれば、どちらかといえば削除する方がよいのではないかと思いました。
なお、著作物として認められるための最低限の創作性については、非常に微妙で判断が難しい件が多いと感じることがあります。また、具体的にどういう風に判断するのが適切なのかわからないとも、しばしば感じます。疑問を解消すべく、判例を読んでみても、一貫した基準があると考えていいのかどうか疑問に思う部分もあります。(いわゆる応用美術の著作物や建築物などについては、明らかに異なる基準が適用されていますが、散文やそれに類する文字系の著作物を見てもそのように感じます。)
基本的には、他と比べて基準が低い(一見凡庸に思えるものであっても著作物として認めるべきだとするような)と思われる次のような意見、例を参考に考えました。
- 「客観的な事実を素材とする表現であっても、取り上げる素材の選択や、具体的な用語の選択、言い回しその他の文章表現に創作性が認められ、作成者の評価、批判等の思想、感情が表現されていれば著作物に該当するということができる。」東京地裁 平成13年1月23日判決(史跡紹介の文章の著作性)
- 「著作物性が認められるための創作性の要件は厳格に解釈すべきではなく,むしろ,表現者の個性が何らかの形で発揮されていれば足りるという程度に,緩やかに解釈し,具体的な著作物性の判断に当たっては,決まり文句による時候のあいさつなど,創作性がないことが明らかである場合を除いては,著作物性を認める方向で判断するのが相当である。」東京高裁 平成14年10月29日判決(電子掲示板上の書き込みの著作権)
- 「...著作物といえるためには、それが「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であることが必要である(著作権法第二条第一項第一号)ところ、「思想又は感情」とは、人間の精神活動全般を指し、「創作的に表現したもの」とは、厳格な意味での独創性があるとか他に類例がないとかが要求されているわけではなく、「思想又は感情」の外部的表現に著作者の個性が何らかの形で現われていれば足り、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」というのも、知的、文化的精神活動の所産全般を指すものと解するのが相当である。」
- 「編集著作物における独創性とは、学問的な完全無欠さを要求するものではなく、素材の選択又は配列に、何らかの形で人間の精神的活動の成果が顕れていることをもって足りる」名古屋地裁 昭和62年3月18日判決 解説ページ
Tomos 2005年12月31日 (土) 03:12 (UTC)
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議論の結果、削除 に決定しました。
―sketch(話/履) 2005年12月31日 (土) 05:15 (UTC)
初版の沿革が[2]からの転載。現況、業績、関連会社など概要以外の表記も公式サイトに酷似。--BitBucket 2005年12月19日 (月) 06:59 (UTC)
- (存続より)企業現況と沿革はコピペ。冒頭は見当たらない。この程度の企業現況と沿革に著作性があるとは思えず、「コピペは削除」の規定がない以上削除用件が見当たらない。Zz2 2005年12月20日 (火) 07:12 (UTC)
- (削除)沿革が丸々コピペ。それにしてもJASDAC上場の割には知名度が低いような(ヒット数615、上位は就活サイトばかり)。JASDAC上場でなければ特記事項の有無が微妙。--6144 2005年12月21日 (水) 03:14 (UTC)
- (削除)何とも判断しづらい件ですが、著作権者による投稿などでなければ、一応著作権侵害の可能性も考えられるので念のため削除しておく方がよいのではないかと思いました。詳細は同項目のノートに書きました。Tomos 2005年12月31日 (土) 03:15 (UTC)
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