コンテンツにスキップ

チャラン (植物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャラン
1. チャラン
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
: センリョウ目 Chloranthales
: センリョウ科 Chloranthaceae
: チャラン属 Chloranthus
: チャラン C. spicatus
学名
Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino (1902)[1]
シノニム
英名
chulantree[2][3]

チャラン (茶蘭[4]学名: Chloranthus spicatus) は、センリョウ科チャラン属に属する小低木の1種である。鋸歯をもつ対生し、分枝した円錐状の花序をつける (右図)。花は花被を欠き、雌しべは黄色の雄しべで包まれている。中国南部原産であり、東南アジアなどで広く栽培されている。

地下茎から精油を採取するために栽培される[5][6]。香り付けに花や葉をお茶に入れたり、薬用とされることもある[5][6]。またときに観賞用に栽培される[7]

特徴

[編集]

直立またはやや匍匐する常緑小低木であり、高さ30–150センチメートル (cm)[5][8](図2)。茎は緑色で細く、円筒形、無毛、節はややふくれる[8][3]対生し、葉柄は長さ 0.4–1.8 cm、葉身は楕円形から卵状楕円形、4–13.5 × 2–8.5 cm、表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡黄緑色、表裏とも無毛、先端は鋭形または鈍形、基部はくさび形、葉縁には低い波状鋸歯がある[3][5][8]葉脈は羽状、側脈は4–8対[5][8]托葉は膜質、微突形、長さ2–3ミリメートル (mm)[5]

2. チャラン

花期は4–7月、芳香があるを多数つけた花序がふつう頂生、ときに腋生する[8]。花序は長さ 2–5 cm、10–20個に分枝して円錐状の複穂状花序となる[3][5][8][9](図1)。花は両性花、強い芳香を発し、三角形のに腋生し、花被を欠く[8]雌しべ子房の背側 (背軸側) に雄しべがついている。雄しべは黄緑色から黄色、3個が合着し (または1個が3裂し)、半球状卵形で雌しべ上部を包んでおり、中央裂片は2個の葯をもち、ときに先端がさらに3裂、左右の裂片にそれぞれ1個の葯がある[5][8]。雌しべの子房は卵形[8]。果期は8–9月、果実は緑色〜黄色、楕円形で長径約 4 mm[3][5][8]染色体数は 2n = 30[8]

分布

[編集]

中国南部に自生しているが、東南アジアなどで広く栽培されており、帰化している地域も多い[1]。日本への渡来は江戸時代にさかのぼり、観賞用に栽培されるが、沖縄では逸出し野生化したものが人里近くの雑木林で見られることがある[3][5]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i Chloranthus spicatus”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月15日閲覧。
  2. ^ GBIF Secretariat (2021年). “Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年8月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 植村修二, 勝山輝男, 清水矩宏, 水田光雄, 森田弘彦, 廣田伸七, 池原直樹 (2010). “チャラン”. 日本帰化植物写真図鑑 第2巻. 全国農村教育協会. p. 398. ISBN 978-4881371558 
  4. ^ チャラン」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%B3コトバンクより2021年8月15日閲覧 
  5. ^ a b c d e f g h i j 大森雄治 (1999). “日本のドクダミ科・コショウ科・センリョウ科植物”. 横須賀市博物館研究報告 自然科学 46: 9-21. NAID 40003710131. 
  6. ^ a b Chloranthus spicatus”. Tropical Plants Database, Ken Fern. 2021年8月15日閲覧。
  7. ^ チャラン”. 観葉植物の種類・育て方. 2021年8月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k Flora of China Editorial Committee (2008年). “Chloranthus spicatus”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月15日閲覧。
  9. ^ チャラン”. 植物図鑑. 筑波実験植物園. 2021年8月15日閲覧。

外部リンク

[編集]