ダム・ブランシュ
ダム・ブランシュ(フランス語: dame blanche)はベルギーの伝統的なデザート[1][2]。冷たいバニラアイスクリームに溶かした温かいチョコレートをかけたもの[1][2][3][4]。
ドイツ、スイスで食されているクープ・デーネマルクについても本項で概説する。
概要
[編集]溶かしたチョコレートが冷たいアイスクリームに触れて固まったパリパリした食感とアイスクリームのなめらかな食感との違いが楽しめるデザートである[1]。
ベルギーでの人気は高く、ベルギーのカフェでは必ずと言ってよいほど提供されている定番デザートである[4]。ベルギーでは、かけるチョコレートソースにこだわりを持ち、提供する店ごとに独自のレシピで作っている[5]。ダークチョコレートにホイップクリームを混ぜ合わせたものが定番であるが、ミルクチョコレートで作る店もあり、アイスクリームもバニラ以外に、モカも人気がある[5]。
歴史
[編集]1825年にパリで公演されたフランソワ=アドリアン・ボイエルデュー作のオペラ・コミック『白衣の婦人(フランス語: La Dame blanche)』にインスピレーションを受けて考案されたスイーツである[5]。フランスに発祥したデザートであるが、ベルギーで人気となった[5]。
ドイツ
[編集]ドイツとスイスでは、バニラアイスクリームに温かいチョコレートソースを添えたデザートをクープ・デーネマルク(ドイツ語: coupe Dänemark、coupe Danmark)と呼ぶ[6]。
チョコレートソースを温かいキイチゴのソースに換えたデザートをハイセ・ヒムベーァレン(heiße himbeeren)、ハイセ・リーベ(heiße liebe)と呼ぶ[6]。「ハイセ・リーベ」は「熱い恋」の意である[6]。
また、チョコレートソースを温かいサクランボのソースを換えたデザートをハイセ・キルシェン(heiße kirschen)と呼ぶ[6]。
クープ・デーネマルクの歴史
[編集]クープ・デーネマルクの誕生には以下のような逸話がある[7]。
コペンハーゲンのチボリ公園のレストランで、夜遅くになってデザートを注文した客がいたが、レストランにはバニラアイスクリームが少ししか残っておらず、シェフが即興でチョコレートを溶かしたソースを作って注いだ[7]。即興で作られたデザートはその客に受け入れられたことで、レギュラーメニューとなった[7]。
「デニッシュ」(こちらも「デンマークの」といった意味があり、ドイツ語では「コペンハーゲナー」)が既にあったことから、クープ・デーネマルク(「デンマークのカップ」の意)と名付けられた[7]。
出典
[編集]- ^ a b c Mii「ダム・ブランシュ」『キレイをつくる魔法のお菓子ロースイーツレシピ』学研プラス、2016年、36頁。ISBN 978-4059162346。
- ^ a b 「ベルギーで過ごす特別なひととき」『ことりっぷマガジン』2017冬第11号、昭文社、2017年、115頁。
- ^ 『るるぶオランダ・ベルギー』JTBパブリッシング、2014年、7頁。ISBN 978-4533095979。
- ^ a b メレンダ千春 (2013年12月27日). “第102回 ベルギーワッフル、味の決め手はジャリっ!”. ナショナルジオグラフィック. 世界のおやつ探検隊. 2024年10月27日閲覧。
- ^ a b c d “ベルギーで“白い貴婦人“と呼ばれる「ダム・ブランシュ」”. ippin (2018年11月28日). 2024年10月27日閲覧。
- ^ a b c d “【独逸見聞録】 アイスクリームのデザート ~アイスクリーム(其の弐)~”. .tsuji (2010年11月2日). 2024年10月28日閲覧。
- ^ a b c d “Coupe Dänemark: aus Not erfunden aber erfolgreich” (ドイツ語) (2009年7月17日). 2024年10月28日閲覧。