タイ国鉄ASR型気動車
タイ国鉄ASR型気動車 | |
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基本情報 | |
運用者 | タイ国有鉄道 |
製造所 |
BREL Derby (イギリス) |
製造年 | 1991年 |
製造数 |
制御車(2500形) 12両 中間車(2100形) 8両 |
運用開始 | 1991年3月10日 |
投入先 |
タイ国鉄北本線 タイ国鉄東本線 |
主要諸元 | |
編成 | 3両(基本) |
軌間 | 1,000 mm |
最高運転速度 | 120 km/h |
最高速度 | 120 km/h |
車両定員 |
制御車(2500形) 72名 中間車(2100形) 80名 |
自重 |
2500形 37,090 kg(空車) 2100形 35,960 kg(空車) |
全長 | 23,370 mm |
全幅 | 2,800 mm |
全高 | 3,786 mm |
機関 |
カミンズ製NTA 855-R1 ディーゼルエンジン × 1基 |
タイ国鉄ASR型気動車(タイこくてつASRがたきどうしゃ)は、1991年3月10日に営業運転を開始したタイ国有鉄道の特急形気動車である。その車番から制御車が2500形1次車、中間車が2100形2次車と呼ばれる場合もある[注釈 2][1]。
導入の経緯
[編集]タイ航空の国内線や中・長距離バスへの旅客の転移に悩まされていたタイ国鉄は、1985年に特急列車用として2等冷房車のATR型を導入し、THN型やNKF型と組み合わせて[注釈 3]ディーゼル特急列車の運行を始めた。しかしTHN型やNKF型は非冷房・セミクロスシートの近郊型として設計された車両であり、またATR型自身もデッキがないなど特急運用にはふさわしくない車両であった。そのためより本格的な特急型車両が求められ、これに応じて登場したのが本形式である。
車両
[編集]構造
[編集]イギリス国鉄158形気動車をもとに設計された。3両編成を基本としている。エンジンは日本のJR東海キハ85系気動車にも採用された水平シリンダ型・NTA-855-R-1が搭載されており、最高速度はTHN型やATR型などよりも20km/h引き上げられ120km/hとなっている。
車体
[編集]車体もイギリス国鉄158形をもとに設計されており、特徴的な卵型の車体を含め多くの特徴を受け継いでいる。客用扉は現地の状況に合わせ、手動の内開き戸に変更された。2011年に改装工事が行われ[2]、ヘッドライトが腰部に新設された車両も登場した[3]。
塗装
[編集]登場当初はイギリス国鉄158形に酷似した、前面は黄色一色、側面は白色地で窓部に灰色が配され、腰部に濃淡2色の青色の帯が入った塗装であった。2011年の改装工事後は、前面はオレンジ色、側面は青色を基調に白色と赤色の細帯が入った塗装となっている。
車内
[編集]全車2等冷房座席車で窓は固定されており、長距離列車でも食堂車等の連結はない[注釈 4]。座席はリクライニングシートだが回転はせず、見合い型の固定式である。
運用
[編集]タイ国鉄肝煎りの特急列車として導入された本形式は、元となったイギリス国鉄158形の愛称と同じ「スプリンター」の愛称を与えられ華々しくデビューした。「スプリンター」(「短距離走者」の意)の愛称とは異なり長距離特急列車に導入され、座席夜行列車などとして活躍した。しかし特急型としての高級装備が災いし整備性が芳しくなく、1996年に同じく特急型の韓国製ADR型が導入されると主役の座を追われた。2011年の改装工事後もADR型の補完としての活躍が続き、2017年現在では「スプリンター」の名の通り昼行の短距離特急に投入されている[3]。
注釈
[編集]- ^ 2両目と3両目はラッピング車。
- ^ 2500形2次車はADR型の制御車、2100形1次車はATR型で、また3次車はADR型の中間車であり、それぞれ本ASR型とは諸元も運用も全く異なるため、同一形式として扱うのは適当ではない。
- ^ ATR型は、THN型やNKF型を制御車として連結する前提で中間車のみ製造された。
- ^ 列車により弁当などのサービスは存在する。
脚注
[編集]- ^ 『鉄道ピクトリアル』2000年6月号 (No.686) p.110 電気車研究会
- ^ Sprinter refurbishment
- ^ a b 『タイのりもの旅』イカロス出版、2017年10月30日、71頁。
参考文献
[編集]- 杉本聖一『魅惑のタイ鉄道』玉川新聞社、2000年。ISBN 4-924882-29-1。
- 渡邉乙弘『タイ国鉄4000キロの旅』文芸社、2013年。ISBN 978-4-286-13041-5。
- “タイ国鉄のDC/ASR型”. タイ国鉄友の会. 2021年9月9日閲覧。