スズキ・ワゴンRスマイル
スズキ・ワゴンRスマイル MX81S/91S型 | |
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HYBRID X 2WD | |
概要 | |
販売期間 |
2021年9月10日 - (発表:2021年8月27日) |
ボディ | |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 5ドア軽トールワゴン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 |
前輪駆動 四輪駆動 |
プラットフォーム | HEARTECT(ハーテクト) |
パワートレイン | |
エンジン | R06D型 657cc 直3 DOHC |
モーター |
WA04C型 直流同期電動機 (HYBRID S/HYBRID X) |
最高出力 |
エンジン 36 kW (49 PS) / 6,500 rpm モーター 1.9 kW (2.6 PS) / 1,500 rpm |
最大トルク |
エンジン 58 N・m (5.9 kgf・m) / 5,000 rpm モーター 40 N・m (4.1 kgf・m) / 100 rpm |
変速機 | CVT |
サスペンション | |
前 | マクファーソン・ストラット式 |
後 |
トーションビーム式(2WD) I.T.L.式(4WD) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,460 mm |
全長 | 3,395 mm |
全幅 | 1,475 mm |
全高 | 1,695 mm |
車両重量 |
840 - 870 kg(2WD) 890 - 920 kg(4WD) |
その他 | |
ブレーキ |
前:ディスク(2WD)/ベンチレーテッドディスク(4WD) 後:リーディング・トレーリング |
ワゴンRスマイル(ワゴンアール スマイル、WAGON R SMILE)は、スズキが製造・販売する軽トールワゴン。ワゴンRのシリーズ車種(派生車種)である。
概要
[編集]スズキの軽トールワゴンであるワゴンRのシリーズ車種として、両側スライドドアを装備し、外観を個性的なデザインとしたモデルである。2020年度に国内販売された軽自動車のうち約半分をスライドドア車が占めるとともに、ワゴンRユーザーを対象に次に欲しい車を聞いた調査で、4割がスライドドア付きを求めたことを受け、シェア拡大を目指して新たに投入されるモデルである[1]。
3代目モデル以降、現行の6代目モデルまで車両型式が「MH」で踏襲されているワゴンR[注 1]に対し、本車種では車両型式が「MX」となっている。車両型式がワゴンRと異なる派生車種としては、普通乗用車規格のトールワゴンであるソリオの前身である「ワゴンRワイド[注 2]」以来となり、軽自動車規格における車両型式が異なる派生車種はシリーズを通じて初となる。
コストダウンのために、フロントとスライドドアは軽スーパーハイトワゴンの2代目スペーシア(MK53S型)と、リアは6代目ワゴンR(MH35S/55S/85S/95S型)と部品を共通化している[2]。チーフエンジニアの高橋正志によれば、異なる車種を組み合わせたケースはスズキでは珍しいとの事。
なお、本車種はマツダへのOEM供給は行われていない。
デザイン
[編集]ワゴンRとは外観を変え、丸みのあるスクエアフォルムのボディとし、ヘッドランプは丸目形状としている。グレードによりハロゲン又はLEDが採用されており、LEDヘッドランプは透明の厚肉インナーレンズを採用したポジションランプとメッキガーニッシュが組み込まれている。リアコンビネーションランプはワゴンRの2代目~5代目モデルと同じ中央に配置し、LEDストップランプはポジションランプと同じく厚肉インナーレンズが採用されており、奥行き感を表現するためフローティングデザインとしている。
内装では、天井にキルティング加工が施され、一部グレードには、インパネカラーパネルやエアコンサイドルーバーにカッパーゴールドのアクセントが施される。
また、ホイールキャップとインパネカラーパネルはボディカラーやグレードにより異なるカラー[注 3][注 4]が採用されている。
なお、純正アクセサリーとして用意されているエンブレムステッカー(助手席インパネエンブレム)やワイドバイザーには、フロンテ800などで採用されていた筆記体の"Suzuki"エンブレムがリバイバルされ、ロゴとして採用されている。
メカニズム
[編集]エンジンには、6代目ワゴンRの2020年1月改良モデルと同じR06D型エンジンが搭載され、ターボは未設定である。トランスミッションはCVTのみの設定。ISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを搭載したモデル(型式:MX91S)も設定される。
機能・パッケージング
[編集]スライドドアを採用するに当たり、上下レールの幅を確保しながら開口部高さを確保するため、全高を6代目ワゴンR(1,650mm)から45mm高くする一方で、2代目スペーシア(1,785mm)よりは低く抑え、燃費性能にも配慮した[2]。6代目ワゴンRに比べて室内高を65mm拡大しつつ、最小回転半径はワゴンRと同等の4.4mを維持。スライドドアは2代目スペーシアと同等となる開口幅600mm、リアステップ地上高345mmに設定されている。一部グレードに装備のパワースライドドアには、閉まる動作中にフロントドアやバックドアに装備のリクエストスイッチや携帯リモコンからドアロックの予約が可能なパワースライドドア予約ロック機能を採用。リクエストスイッチからの予約ロック操作はスズキ車では初採用となる。
予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」は全車標準搭載されており、衝突被害軽減ブレーキはステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」と超音波センサー方式の「後退時ブレーキサポート」の2種類を備え、誤発進抑制機能は前進時・後退時どちらにも対応することで、踏み間違いによる急発進やシフトの入れ間違いによる不意な後退を回避。走行中には、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストを装備し、車線のはみ出し・眠気などによるふらつき・うっかり出遅れ・ハイ/ロービームの切り替え忘れを予防する。一部グレードにメーカーオプションで用意されている「セーフティプラスパッケージ」を設定した場合、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール、標識認識機能、カラーヘッドアップディスプレイが装備され、スピードメーター内に装備されているマルチインフォメーションディスプレイがリモコン電池交換リマインダー、給油口閉め忘れ警告、車速/タコメーター、時計なども表示されるカラータイプへグレードアップされる。メーカーオプションの全方位モニター用カメラ[注 5]は狭路での車速で約5km/h以下でのすれ違い時に、自動でモニターにサイド(左側)とフロントの映像を表示して死角を減らし、壁や対向車との接触防止をサポートするスズキ車初のすれ違い支援機能を備えた改良型で採用されている。
メーカーオプションとしてスマートフォン連携メモリーナビゲーションが用意されており、前述した改良型の全方位モニター用カメラに加えて、9インチのHDディスプレイ[注 6]を搭載し、ホーム画面上に地図・車両情報・オーディオを表示し、ワンタッチでそれぞれの画面へアクセスが可能。また、逆走注意案内や逆走警告機能も備えている。
歴史
[編集]- 2021年8月27日
- 公式発表(9月10日発売)[3]。
- グレード体系はガソリンモデルの「G」、マイルドハイブリッドモデルの「HYBRID S」、「HYBRID X」の3グレードが用意される。
- ボディカラーはモノトーンは既存色のオフブルーメタリック、ピュアホワイトパール(メーカーオプション)、ブルーイッシュブラックパール3に、インディゴブルーメタリック2を加えた4色を設定。「HYBRID S」のメーカーオプション「2トーンルーフパッケージ[注 7]」や「HYBRID X」で設定可能な2トーンカラーでは、モノトーンの4色[注 8]に加え、2トーン専用色として、フェニックスレッドパール(ブラック2トーンルーフ)、アーバンブラウンパールメタリック(ウッディブラウン2トーンルーフ)、シフォンアイボリーメタリック(ホワイト2トーンルーフ)に、新規色のコーラルオレンジメタリック(アーバンブラウン2トーンルーフ)を加えた8色が用意される。
- 2023年7月12日
- 一部仕様変更並びに特別仕様車「HYBRID Sリミテッド」を発表(2型、7月28日発売)[4]。
- 一部仕様変更では、「HYBRID S」に設定されていた「2トーンルーフパッケージ」を「HYBRID X」と同じ2トーンルーフ単体のメーカーオプションに変更され、「2トーンルーフパッケージ」に含まれていたメッキフロントグリル、メッキヘッドランプガーニッシュ、2トーンカラーホイールキャップの3点を標準装備化。マイルドハイブリッド車に装備されているUSB電源ソケットの1ヶ所をUSB Type-Cに変更された。
- 「HYBRID Sリミテッド」は「HYBRID S」をベースに、外観はフロントグリルは「G」の意匠をベースにボディカラー同色とメッキを組み合わせた専用意匠に、14インチフルホイールキャップはシルバー×ソフトベージュに、ドアハンドルはバックドア以外の箇所をメッキ化した。内装はインパネカラーパネルをチタニウムグレー、インパネカラーパネルとドアトリムカラー(運転席・助手席)のガーニッシュをサテンダークシルバー、エアコンサイドルーバーガーニッシュをダーククロームメッキ調に変え、運転席と助手席のインサイドドアハンドルをメッキ化した。装備面ではヘッドランプが「HYBRID X」と同じLEDとなり、それに伴ってLEDポジションランプも特別装備された。ボディカラーは全て特別設定となり、モノトーンは通常は2トーンルーフ専用色であるシフォンアイボリーメタリック、通常はアーバンブラウンパールメタリック選択時のルーフ色であるウッディブラウンメタリック、軽乗用車では初設定[注 9]となるモスグレーメタリックの3色。2トーンルーフはモノトーンと同一のラインナップで、ルーフ色はカタログカラーにはないソフトベージュが設定される。
車名の由来
[編集]「ワゴンR」についてはスズキ・ワゴンRの項を参照のこと。
サブネームの「Smile」は英語で「笑顔」の意で、ユーザーに笑顔になってもらえるような商品を訴求したいという思いを込めて命名[5]。元々「Smile」は本田技研工業(ホンダ)の登録商標(第4104739号)であるが、スズキが交渉し、ホンダが快諾したことで実現した。尚、スズキ側は商標の使用領域を『ワゴン型自動車並びにその部品及び附属品』に限定した上で「WAGON R SMILE」として登録している(第6352406号)[6]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ちなみに、初代モデルは「CT」又は「CV」、2代目モデルは「MC」であった
- ^ 1999年5月にワゴンR+(プラス)へ入れ替わり、2000年12月の一部改良でワゴンRソリオに改名。2005年8月の一部改良を機に現在のソリオへ再改名され、ワゴンRから独立した車種となった
- ^ ホイールキャップは「HYBRID S」と「HYBRID X」で、フェニックスレッドパール・インディゴブルーメタリック2・ピュアホワイトパール・ブルーイッシュブラックパール3選択時はガンメタリック×シルバー、アーバンブラウンパールメタリック・コーラルオレンジメタリック・オフブルーメタリック・シフォンアイボリーメタリック選択時はホワイト×シルバー、「G」はボディカラーに関係なくシルバーとなる
- ^ インパネカラーパネルは「HYBRID S」と「HYBRID X」で、フェニックスレッドパール・インディゴブルーメタリック2・ブルーイッシュブラックパール3選択時はネイビーパール[光沢タイプ]、アーバンブラウンパールメタリック・コーラルオレンジメタリック・オフブルーメタリック・シフォンアイボリーメタリック・ピュアホワイトパール選択時はアイボリーパール[光沢タイプ]、「G」はボディカラーに関係なくアイボリーとなる。また、純正アクセサリーとしても設定されており、「HYBRID S」・「HYBRID X」と同等仕様となるアイボリーパール・ネイビーパールに、コーラルオレンジ・オフブルー・ブラックを加えた全5色が用意されている
- ^ 対応の純正ナビゲーションを装着するか、メーカーオプションの全方位モニター付メモリーナビゲーションで装備する必要がある
- ^ アクセサリーで用意されている純正ナビゲーションには、メモリーナビゲーションよりもさらに大きい10インチHDディスプレイモデルがラインナップされている
- ^ 2トーンルーフに加え、「HYBRID X」に装備されている2トーンカラーホイールキャップ、メッキフロントグリル、メッキヘッドランプガーニッシュ、メッキバックドアガーニッシュ、メッキドアハンドルで構成されたパッケージオプション
- ^ ピュアホワイトパールのみブラック2トーンルーフで、残りの3色はホワイト2トーンルーフ
- ^ スペーシアベースで初登場し、同年7月3日に軽トラックのキャリイ/スーパーキャリイに設定を拡げているが、これまでは未設定となるエブリイを除く軽商用車での設定であった
出典
[編集]- ^ “スズキ、軽スライドドア市場で拡大狙う 「ワゴンRスマイル」発表、安定供給も課題”. 静岡新聞. (2021年8月28日) 2021年9月5日閲覧。
- ^ a b “スズキのチーフエンジニアが明かす「ワゴンR」にスライドドア搭載の舞台裏”. ニュースイッチ. 日刊工業新聞社 (2021年9月3日). 2021年9月5日閲覧。
- ^ 『スズキ、新型「ワゴンRスマイル」を発売』(プレスリリース)スズキ株式会社、2021年8月27日 。2021年8月27日閲覧。
- ^ 『スズキ、軽乗用車「ワゴンR スマイル」を一部仕様変更し特別仕様車「HYBRID Sリミテッド」を設定して発売』(プレスリリース)スズキ株式会社、2023年7月12日 。2023年7月12日閲覧。
- ^ スズキの新型スライドドア車「スマイル」に「ワゴンR」を冠した理由Yahoo!ニュース(driver web)2021年8月27日
- ^ ホンダの商標とバッティング!? スズキ「ワゴンRスマイル」のネーミングの顛末Yahoo!ニュース(driver web)2021年8月27日