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ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』
ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズスタジオ・アルバム
リリース
録音 1966年5月 ウエスト・ハムステッド デッカ・スタジオ[2]
ジャンル ブルースロック
時間
レーベル イギリスの旗デッカ・レコード
アメリカ合衆国の旗ロンドン・レコード
プロデュース マイク・ヴァーノン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 6位(イギリス[3]
  • ジョン・メイオール アルバム 年表
    ジョン・メイオール・プレイズ・ジョン・メイオール
    (1965年)
    ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン
    (1966年)
    ジョン・メイオールとピーター・グリーン/ブルースの世界
    (1967年)
    テンプレートを表示

    ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』(原題:Blues Breakers with Eric Clapton)は、イギリスブルースロックバンドジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ1966年に発表したスタジオ・アルバム

    背景

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    メイオールが1964年12月に録音・1965年に発表したリーダー・デビュー作『ジョン・メイオール・プレイズ・ジョン・メイオール』には、ロジャー・ディーン、ジョン・マクヴィーヒューイ・フリント英語版が参加していたが、間もなく元ヤードバーズエリック・クラプトンがディーンの後任として加入した[4]。バンド側は、ヤードバーズの曲「ガット・トゥ・ハリー」を聴いて感銘を受け、クラプトンに白羽の矢を立てたという[5]。ただし、クラプトンは1965年8月にバンドを一時的に脱退しギリシャへ旅行したため、ピーター・グリーン(後にブルースブレイカーズの正式メンバーとなる)が代役を務めたが、同年のうちにクラプトンが復帰した[6]

    メイオールは当初、クラプトン、フリントおよびジャック・ブルースを迎えた編成で、ライブ・アルバム制作を前提とした録音をソーホーの「フラミンゴ・クラブ」で行うが、録音状態が悪かったことから、スタジオ・アルバムの制作に変更された[2]。なお、フラミンゴ・クラブ公演における録音は、後にメイオール名義のアルバム『プライマル・ソロズ』(1977年)に収録され[7]、2006年には本作のデラックス・エディション盤のボーナス・ディスクにも収録された。

    そして、1966年5月には、オリジナル・ベーシストのマクヴィーを含む編成で本作が録音された。

    クラプトンは1960年製のギブソン・レスポール・スタンダードと1962年製のマーシャル・アンプを使用した[2]。本アルバムで聴かれる、レスポールとマーシャルという組み合わせから奏でられたディストーションの効いたギターは、現在にまで至るロックギター・サウンドの基礎となったと言われている。

    また、本作にはジョニー・アーモンド、アラン・スキドモア、デニス・ヒーリーから成るホーン・セクションも参加しており、メイオールは以前より、ジャズ・クラブでスキドモアの演奏を聴いてきたことから、レコーディングに抜擢したという[5]

    「オール・ユア・ラヴ」はオーティス・ラッシュが1958年に発表した曲のカヴァーである[8]。「ハイダウェイ」はフレディ・キングのカヴァーで、本作ではエルモア・ジェームスの録音による「ダスト・マイ・ブルーム英語版」のリフが挿入された[8]。「ホワッド・アイ・セイ」はレイ・チャールズのカヴァーで、本作ではフリントのドラム・ソロに続いて、ビートルズの「デイ・トリッパー」のリフが挿入された[9]。「さすらいの心」はロバート・ジョンソンのカヴァーで、クラプトンが正式なレコーディングにおいて、初めてリード・ボーカルも兼任しており、クラプトンはソロ転向後のライブでもこの曲を取り上げて、ライブ・アルバム『エリック・クラプトン・ライヴ英語版』(1975年発表)に収録された[8]

    ジャケット写真において、クラプトンがコミック雑誌『The Beano』を読んでいることから、本作は「The Beano Album」という通称で呼ばれることも多い[2]

    反響・評価

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    母国イギリスでは、1966年7月30日付の全英アルバムチャートで初登場27位となり[10]、最終的には17週にわたりチャート入りして、最高6位を記録するヒットとなった[3]。一方、アメリカではチャート・インを果たせなかった[1]

    Bruce Ederはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「ブルース・ギタリストとしてのエリック・クラプトンが正当に評価された初のアルバムという以上に、1960年代に発表されたブルース・アルバムとしては特に影響力が強く、恐らくブリティッシュ・ブルース史上最高のアルバムで、ブルースブレイカーズの最高傑作でもある」と評している[11]。『ローリング・ストーン』誌が2003年に選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では195位となるが[12]、2020年の改訂版ではリストから外された。2013年には、『クラシック・ロック』誌による「クラシック・ロック・ロール・オブ・オナーズ賞」でクラシック・アルバム賞を受賞した[13]。2021年には、uDiscoverMusicのスタッフが選出した「ブルース・アルバムのベスト120」(順不同)の一つとして挙げられた[14]

    影響

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    本作は、当時生産終了となっていたギブソン・レスポールの人気を再燃させたことで知られ、1968年にはレスポールの生産が再開された[15]

    ゲイリー・ムーアは、本作の1曲目の「オール・ユア・ラヴ」を聴いた瞬間に人生が変わったと述懐しており[16]、自身のアルバム『スティル・ゴット・ザ・ブルーズ』(1990年)で同曲を取り上げた。ムーアはさらに、1992年のアルバム『アフター・アワーズ英語版』で、本作収録曲「愛の鍵」をカヴァーしている[17]

    収録曲

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    特記なき楽曲はジョン・メイオール作。2. 11.はインストゥルメンタル

    1. オール・ユア・ラヴ - All Your Love (Otis Rush) - 3:37
    2. ハイダウェイ - Hideaway (Freddie King, Sonny Thompson) - 3:17
    3. リトル・ガール - Little Girl - 2:37
    4. アナザー・マン - Another Man - 1:46
    5. ダブル・クロッシン・タイム - Double Crossing Time (John Mayall, Eric Clapton) - 3:03
    6. ホワッド・アイ・セイ - What'd I Say (Ray Charles) - 4:29
    7. 愛の鍵 - Key to Love - 2:06
    8. パーチマン・ファーム - Parchman Farm (Mose Allison) - 2:24
    9. ハヴ・ユー・ハード - Have You Heard - 5:57
    10. さすらいの心 - Ramblin' on My Mind (Robert Johnson) - 3:10
    11. ステッピン・アウト - Steppin' Out (Memphis Slim) - 2:30
    12. イット・エイント・ライト - It Ain't Right (Walter Jacobs) - 2:42

    40周年記念デラックス・エディション盤

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    ディスク1

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    本編12曲のモノラル・ヴァージョンとステレオ・ヴァージョンの両方を収録。

    ディスク2

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    1. クローリング・アップ・ア・ヒル(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Crawling up a Hill" - 2:06
    2. クロコダイル・ウォーク(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Crocodile Walk" - 2:22
    3. バイ・バイ・バード(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Bye Bye Bird" (Sonny Boy Willamson, Willie Dixon) - 2:47
    4. アイム・ユア・ウィッチドクター - "I'm Your Witchdoctor" - 2:09
    5. テレフォン・ブルース - "Telephone Blues" - 3:56
    6. バーナード・ジェンキンス - "Bernard Jenkins" (E. Clapton) - 3:47
    7. ロンリー・イヤーズ - "Lonely Years" - 3:17
    8. チーティン・ウーマン(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Cheatin' Woman" - 2:01
    9. ノーホエア・トゥ・ターン(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Nowhere to Turn" - 1:40
    10. アイム・ユア・ウィッチドクター "I'm Your Witchdoctor" - 2:08
    11. オン・トップ・オブ・ザ・ワールド(ステレオ・ミックス) - "On Top of the World (Stereo mix)" - 2:49
    12. 愛の鍵(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "Key to Love" - 2:01
    13. オン・トップ・オブ・ザ・ワールド(BBCサタデー・クラブ・セッション) - "On Top of the World" - 2:32
    14. ストーミー・マンデイ(ライヴ・アット・ザ・フラミンゴ・クラブ) - "They Call It Stormy Monday" (T-Bone Walker) - 4:33
    15. イントロ〜モーディ(ライヴ) - "Intro into Maudie" (John Lee Hooker, J. Mayall) - 2:25
    16. イット・ハーツ・トゥ・ビー・イン・ラヴ(ライヴ) - "It Hurts to Be in Love" (Julius Dixon, Rudolph Toombs) - 3:21
    17. ハヴ・ユー・エヴェー・ラヴド・ア・ウーマン(ライヴ) - "Have You Ever Loved a Woman" (Billy Myles) - 6:42
    18. バイ・バイ・バード(ライヴ) - "Bye Bye Bird" (S. Williamson, W. Dixon) - 3:49
    19. フーチー・クーチー・マン(ライヴ) - "Hoochie Coochie Man" (W. Dixon) - 3:53

    参加ミュージシャン

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    アディショナル・ミュージシャン

    脚注

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    1. ^ a b Gallucci, Michael (2016年7月22日). “When John Mayall Retooled for 'Blues Breackers With Eric Clapton'”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2022年12月1日閲覧。
    2. ^ a b c d Smith, Sophie (2022年7月22日). “'The Beano Album': John Mayall’s Bluesbreakers And Eric Clapton Create A Classic”. uDiscoverMusic. 2022年12月1日閲覧。
    3. ^ a b JOHN MAYALL | full Official Chart History | Official Charts Company
    4. ^ Unterberger, Richie. “John Mayall, John Mayall & the Bluesbreakers - Plays John Mayall Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2022年12月1日閲覧。
    5. ^ a b Shapiro, Harry (2018年5月4日). “John Mayall's Bluesbreakers with Eric Clapton: The Making of 'the Beano album'…”. loudersound.com. Future.plc. 2022年12月1日閲覧。
    6. ^ Jurek, Thom. “John Mayall Biography, Songs & Albums”. AllMusic. 2022年12月1日閲覧。
    7. ^ Ruhlmann, William. “John Mayall - Primal Solos Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2022年12月1日閲覧。
    8. ^ a b c Eric Clapton's 50 Greatest Guitar Moments”. Guitar World. Future plc (2015年3月30日). 2022年12月1日閲覧。
    9. ^ Fanelli, Damian (2016年5月12日). “Flashback: Eric Clapton Injects George Harrison's "Day Tripper" Riff Into a Ray Charles Cover”. Guitar World. Future plc. 2022年12月1日閲覧。
    10. ^ Official Album Chart Top 30 - 24 July 1966 - 30 July 1966 | Official Charts Company
    11. ^ Eder, Bruce. “John Mayall & the Bluesbreakers, John Mayall - Bluesbreakers with Eric Clapton Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2022年12月1日閲覧。
    12. ^ The RS 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone (2003年11月18日). 2008年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月1日閲覧。
    13. ^ Black Sabbath pick up Classic Rock's legend award”. BBC (2013年11月15日). 2022年12月1日閲覧。
    14. ^ The 120 Best Blues Albums: Classic Records You Need To Hear”. uDiscoverMusic (2021年9月15日). 2022年12月1日閲覧。
    15. ^ 佐藤輝 (2016年8月13日). “レスポールとレス・ポール〜ある偉大なギタリストの軌跡〜”. TAP the POP. 2022年12月1日閲覧。
    16. ^ Shapiro, Harry (2016年8月12日). “Gary Moore: the story of Still Got The Blues”. loudersound.com. Future plc. 2022年12月1日閲覧。
    17. ^ Gary Moore - After Hours Album Reviews, Songs & More | AllMusic

    外部リンク

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