シクロペンタジエン
シクロペンタジエン | |
---|---|
Cyclopenta-1,3-diene | |
識別情報 | |
略称 | CPD, HCp |
CAS登録番号 | 542-92-7 |
PubChem | 7612 |
ChemSpider | 7330 |
UNII | 5DFH9434HF |
日化辞番号 | J1.603I |
EC番号 | 208-835-4 |
MeSH | 1,3-cyclopentadiene |
ChEBI | |
RTECS番号 | GY1000000 |
バイルシュタイン | 471171 |
Gmelin参照 | 1311 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | C5H6 |
モル質量 | 66.1 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
匂い | 刺激臭、テルペンのような[1] |
密度 | 0.802 g cm−3 |
融点 |
-85 °C (188 K)[3] |
沸点 |
41 °C (314 K) |
水への溶解度 | 不溶[1] |
蒸気圧 | 400 mmHg (53 kPa)[1] |
酸解離定数 pKa | 16 |
磁化率 | −44.5×10−6 cm3 mol−1 |
屈折率 (nD) | 1.44 (20 °C)[4] |
構造 | |
分子の形 | 平面[5] |
双極子モーメント | 0.419 D[4] |
熱化学 | |
標準モルエントロピー S |
182.7 J·mol−1·K−1 |
標準定圧モル比熱, Cp |
115.3 J·mol−1·K−1 |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 25 °C (77 °F; 298 K) |
発火点 | 640 °C (1,184 °F; 913 K) |
許容曝露限界 | TWA 75 ppm (200 mg/m3)[1] |
半数致死濃度 LC50 | 14,182 ppm (ラット, 2時間) 5,091 ppm (マウス, 2時間)[6] |
関連する物質 | |
関連する炭化水素 | ベンゼン シクロブタジエン シクロペンテン |
関連物質 | ジシクロペンタジエン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
シクロペンタジエン (英: cyclopentadiene) は分子式 C5H6 で表される、5員環構造を持つ環式ジエン。炭化水素のひとつ。IUPAC名 はシクロペンタ-1,3-ジエン (英: cyclopenta-1,3-diene)。
分子量66.10、融点-85 °C、沸点41.5 - 42 °Cである。標準状態で無色透明の液体で、樟脳によく似た強い不快臭をもつ。CAS登録番号は [542-92-7]。
性質
[編集]水に不溶。アルコール類、エーテル類、ベンゼンに可溶。
シソイド配座型が固定された 1,3-ジエン構造を持つため、ディールス・アルダー反応を起こしやすい。室温で放置すると、徐々に二量化し、ジシクロペンタジエン (C10H12) に変わる[3]。このとき endo 体が優先する(エンド則)[3]。これを元のシクロペンタジエンに戻すためには熱分解を行う必要がある。ほか、無水マレイン酸など、各種ジエノフィルと反応する。
シクロペンタジエンは pKa = 16 と、炭化水素としては異常に強い酸性を示す。これは、共役塩基であるシクロペンタジエニルアニオンが 6π共役系の環状構造を持ち、ヒュッケル則を満たし、即ち、芳香族性を示し、電子の非局在化による強い安定化を受けているためである。このシクロペンタジエニルアニオンは、フェロセンをはじめとするメタロセンの配位子となる。
調製法
[編集]二量体であるジシクロペンタジエンを150°C以上で熱分解することで得られる。ただし、熱分解時に発生したシクロペンタジエンの一部は周囲のジシクロペンタジエンとすぐさまディールス・アルダー反応することで三量体(トリシクロペンタジエン)を生成する。同機構による四量体以上の生成速度は遅いが、徐々に溜まってくる。これらオリゴマーの融点は高く熱分解後の缶出液を固化させてしまうため、注意が必要である。
誘導体
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0170
- ^ William M. Haynes (2016). CRC Handbook of Chemistry and Physics [Physical Constants of Organic Compounds]. 97. CRC Press/Taylor and Francis. p. 276 (3-138). ISBN 978-1498754286
- ^ a b c 守谷一郎、藤原祐三「シクロペンタジエンの反応」『有機合成化学協会誌』第24巻第6号、有機合成化学協会、1966年、435-452頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.24.435。
- ^ a b William M. Haynes; David R. Lide; Thomas J. Bruno, eds (2016). CRC handbook of chemistry and physics : a ready-reference book of chemical and physical data. (2016-2017, 97th ed.). Boca Raton, Florida: CRC Press. ISBN 978-1-4987-5428-6. OCLC 930681942
- ^ Faustov, Valery I.; Egorov, Mikhail P.; Nefedov, Oleg M.; Molin, Yuri N. (2000). “Ab initio G2 and DFT calculations on electron affinity of cyclopentadiene, silole, germole and their 2,3,4,5-tetraphenyl substituted analogs: structure, stability and EPR parameters of the radical anions”. Phys. Chem. Chem. Phys. 2 (19): 4293–4297. Bibcode: 2000PCCP....2.4293F. doi:10.1039/b005247g.
- ^ “Cyclopentadiene”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH). 2024年12月25日閲覧。