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グレープフルーツジュース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グレープフルーツジュース
スライスされたピンクグレープフルーツ。

グレープフルーツジュース: Grapefruit juice)は、グレープフルーツ果実搾ることで得られる、果汁ジュース)である。

グレープフルーツジュースは、ビタミンCが豊富で、ぴりっとした甘さからとても酸っぱいものもある。様々な種類があり、ホワイトグレープフルーツやピンクグレープフルーツ、ルビーレッドグレープフルーツなどがある[1][2]

なお、そのまま飲用される他にも、例えばスプモーニソルティ・ドッグチャイナ・ブルーなどのように、カクテルの材料として使われる例もある。

薬物との相互作用

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グレープフルーツジュースやグレープフルーツは、シトクロムP450スーパーファミリーを構成する分子種の1つであるCYP3A4を阻害することが知られている。多種多様な薬物の代謝に影響を与え、生物学的利用能を増大させる(つまり薬の作用が想定しているよりも、強くなり過ぎるのである)。例えば、アステミゾールやテルフェナジンでは、致命的な薬物相互作用を起こしたため、それらの医薬品が市場から撤退した一因となった。

グレープフルーツに含まれる、CYP3A4を阻害する主要成分としてはフラノクマリン誘導体の6',7'-デヒドロキシベルガモチンとベルガモチン英語版、これらの二量体であるGF-I-1、GF-I-4の4つが発見されている[3]

これらの成分は主に小腸において、CYP3A4に直接結合して不可逆的に阻害し、その作用は3-4日継続するため、同時に摂取することを禁止するのではなく、服薬前後のグレープフルーツジュースの摂取自体を禁止する必要がある[4]。この作用は、グレープフルーツジュースを最後に飲んでから3日から7日継続する[5]。特に肝硬変や、複数の薬を飲んでいる高齢者では、このグレープフルーツジュースと薬物の相互作用の影響が強く出て、健康被害が生じ易くなる[5]

ある薬剤では、最高血中濃度がグレープフルーツジュースと同時に摂取した場合には約3倍に、グレープフルーツジュースを5日間定期的に飲んだ後では約5倍である[4]。また異なる薬剤間での血中濃度の高まり方は一律ではなく、大きく異なる[4]シンバスタチンでは、12倍から13.5倍の血中濃度となった[6]

およそ85種類の薬と薬物相互作用を起こし、そのうち約半数の種類の薬では重篤な副作用を起こして、死亡にかかわる危険性がある[6]

グレープフルーツ摂取の影響で、CYP3A4による代謝が阻害される薬剤の種類としては、マクロライド系抗生物質抗真菌薬オピオイドカルシウム拮抗剤、多くのベンゾジアゼピン、一部の抗うつ薬抗精神病薬など、他にも多様である。

増強する薬の例として以下のものが挙げられる。

研究は積み重ねられているが、2010年の時点で、医師薬剤師に対して正確な情報が提供されていなかったり、添付文書に最新の知見が反映されていなかったりする[4]

適切な量のグレープフルーツジュースを飲む程度であれば、スタチンとの併用を避ける必要はないとの文献が存在する。グレープフルーツジュースとスタチンを併用している患者の横紋筋融解症の発症は10,000人に1人程度であり、グレープフルーツジュースを適量でよく飲む患者であるならば、スタチンの減量で対応できるとしている[8]

健康

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ハーバード大学医学部によると、グレープフルーツジュースにはフラボノイドが豊富に含まれており、野菜や果物と同様に、物忘れを防ぐ効果がある[9]

また、杏林大学医学部教授の古賀良彦協力研究による、アメリカ合衆国フロリダ州政府柑橘局の2015年の発表では、60℃に温めたホットグレープフルーツジュースを飲むと、常温水・常温グレープフルーツジュースを飲んだ時よりも「計算問題達成数」、「落ち着き」、「気分の良さ」の3点すべてにおいて高い点数を獲得したことがわかっている。グレープフルーツジュースは、常温とホット双方にて前頭葉の脳血流量が増加し、脳の活性化が示されたが、とりわけホットグレープフルーツジュースはその効果が持続されており、この事から『勉強前や勉強の合間にホットグレープフルーツジュースを飲むと、集中力を高め勉強の効率化を図りやすい』とコメントしている[10]

出典

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  1. ^ The World's Healthiest Foods; Grapefruit. The George Mateljan Foundation. Article
  2. ^ Fellers PJ, Nikdel S, Lee HS (August 1990). “Nutrient content and nutrition labeling of several processed Florida citrus juice products”. Journal of the American Dietetic Association 90 (8): 1079–84. PMID 2380455. 
  3. ^ 北村正樹, 景山茂「グレープフルーツジュースによる薬物相互作用」『耳鼻咽喉科展望』第42巻第4号、耳鼻咽喉科展望会、1999年、430-433頁、doi:10.11453/orltokyo1958.42.4_430ISSN 0386-9687 
  4. ^ a b c d 奥村勝彦・監修、大西憲明・編著『一目でわかる医薬品と飲食物・サプリメントの相互作用とマネジメント』(改訂版)フジメディカル出版、2010年、15-18頁。ISBN 978-4-939048-44-9 
  5. ^ a b Owira PM, Ojewole JA (2010). “The grapefruit: an old wine in a new glass? Metabolic and cardiovascular perspectives”. Cardiovasc J Afr 21 (5): 280–5. doi:10.5830/CVJA-2010-012. PMC 3721883. PMID 20972517. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3721883/. 
  6. ^ a b Chen M, Zhou SY, Fabriaga E, Zhang PH, Zhou Q (April 2018). “Food-drug interactions precipitated by fruit juices other than grapefruit juice: An update review”. J Food Drug Anal 26 (2S): S61–S71. doi:10.1016/j.jfda.2018.01.009. PMID 29703387. https://doi.org/10.1016/j.jfda.2018.01.009. 
  7. ^ Sugimoto K, Araki N, Ohmori M, et al. (2006). “Interaction between grapefruit juice and hypnotic drugs: comparison of triazolam and quazepam”. Eur. J. Clin. Pharmacol. 62 (3): 209–15. doi:10.1007/s00228-005-0071-1. PMID 16416305. 
  8. ^ Jonathan W Lee, Joan K Morris, Nicholas J Wald "Grapefruit Juice and Statins" Am J Med. 2016 Jan;129(1):26-9. doi:10.1016/j.amjmed.2015.07.036. Epub 2015 Aug 20.
  9. ^ Godman, Heidi (2021年9月17日). “Can flavonoids help fend off forgetfulness?” (英語). Harvard Health. 2022年1月8日閲覧。
  10. ^ グレープフルーツジュースを温めて飲むと、脳が活性化することが判明”. 株式会社マイナビ (2015年12月17日). 2023年8月3日閲覧。

関連項目

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